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今朝平遺跡 縄文のビーナス 9:花と石
豊田市足助町(あすけちょう)の足助庚申(こうしん)前を通っている県道366号線を西に向かうと巴橋で巴川を渡りますが、巴橋を渡る手前の左手に香嵐渓(こうらんけい)の観光客のための駐車場がありますが、平日は観光客が居ないため、無料で開放されています。その駐車場にもっとも近い飯盛山(いいもりやま)の麓に、もっとも短距離で飯盛山山頂に登れる登山道の登り口がありました。
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飯盛山に関しては、ちょうど10年前の9月の中旬に登った時の方が情報量が多いので、その時の写真を中心に、昨年7月初旬の写真は新しい情報に関して補足する形で紹介していきます。
下記写真は昨年に足助町にやって来た時に撮影したものですが、飯盛山全体を収めるために、巴橋の西側に渡り、そのたもとから対岸に位置する飯盛山を撮影したもの。
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10年前のこの日の前日まで雨が降り続いたので、巴川の水量は多く、水は濁っている。
飯盛山の麓を中心にした巴川右岸(東岸)は「香嵐渓」と呼ばれ、愛知県を代表する紅葉の景勝地として知られている。
上記写真でかすかに赤く色づいているのがカエデ、他はほとんどが杉だが、9月中旬の紅葉具合は、このようにまだまだだ。
飯盛山の登り口に戻り、登り始めたが、この低い部分では登山道は幅2.5mほどの石畳になっていて、登山道の両側は木杭が並び、杭には上下2本のロープが渡してある。
これはイノシシ除けの機能もあるようだ。
登り口に入ると3分くらいで登山道脇に足助町観光協会の製作した案内板『カタクリ(ユリ科)群生地』が掲示されていた。
樹木が芽を出す直前の三月下旬ごろ、地上に姿を現わして薄茶色の紋様がある葉を出し、十数センチの花茎の先にうす紫色のかれんな花が一輪下向きに約二週間咲き、球根は、カタクリとして食用できます。ブナやミズナラが自生する寒い落葉樹林帯に多いが、県内で群生しているのは珍しく、貴重な植物です。
(以下略)
下記写真には大小2種類の白っぽい花が見えますが、花も葉も大きい方がカタクリ。
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昨年も10年前も季節的に、すでにカタクリの姿は確認できなかったが、10年前の9月中旬にやって来た時にはタイワンホトトギスという初めて見る花が自生していた。
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台湾では、ごくふつうに見られる花だというが、日本での花期は9月〜10月というから、ちょうどのタイミングだった。
ユリ科ホトトギス属の多年草で、花は白地に紅紫色の斑点が付き、艶かしい形状と色彩の花だ。
滝の水が滴るような場所に生育するというのだが、ここは飯盛山の北西の傾斜地に位置し、陽光が長時間当たることのない場所であることと、前日まで雨が続いたことは開花と関係しているのかもしれない。
幸運だった。
タイワンホトトギスの場所を過ぎて、石畳の通路が終わり、いよいよ土の踏み面に丸太の段鼻を埋めた階段が始まり、登りが急になる入り口に金網のゲートが設けられていた。
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ゲートには以下の案内板が取り付けられていた。
お願い
イノシシからかたくりを守るため、通行の際は鍵の開閉にご協力ください。
7月にやって来た時には、このゲートは開け放たれていたので、秋になって気温が下がると、山岳部から豊田市街に近い足助町に降りてくるのかもしれない。
イノシシはマムシを獲ってくれるので、藪によく入る私にはありがたい動物だ。
上り階段は急だが、登っている山道はもっとも短距離で登れるコースなので、そのぶん坂は急になっているわけだ。
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ゲートを開いて通り過ぎるとすぐ、急な斜面にヤブランが蕾をつけていた。
開花期は7〜10月ころだし、西日本ならどこでも見られる花なので珍しいものではないが、やはり、あまり日当たりの良くない林内の樹木の下草として自生する植物だという。
薬草でもあり、のどの腫れ、せきを鎮める目的で使用されてきている。
登山道の中腹に入ると、登り通路に花崗岩の自然石が目につくようになってきた。
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陽光の当たらない部分であり、前日の雨で石も地面もかなり湿っている。
石の窪みからはシダ類のノキシノブが生え、苔も生している。
スイッチバック式に折れ曲がる登山道から北側の斜面の上方をみると地面は完全に草に覆われ、杉の他に幹が白くて細い樹種が多く見られる。
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ブナだろうか。
太い幹の全体が苔に覆われている樹木はミズナラか。
登山道脇には根を編んだように美しく交差させている杉も所々で見られる。
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登山道を登っていると、路肩に凸レンズ状の線刻が二つ並んだ石が1コ、ポンと路肩に乗っていた。
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自然にできない線刻でもないのだが、この山には方位石や磐座が存在するので、人為的な線刻である可能性もあると思われる。
さらに登山道を登っているとシダの多い藪の中に、明らかに花崗岩とは異なる石があった。
今朝平八幡社(けさだいらはちまんしゃ)境内にあった行良親王(ゆきよししんのう)の袈裟(けさ)かけ石と共通するものを感じさせる石だ。
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2種類の地衣類が大きく繁殖し、その周囲を2種類の苔が覆っている。
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急斜面を登りきり、尾根の上に出てくると、乾いた石も見かけるようになりましたが、そのうちの石の表面に長さが15cmほどの美しい蛾か蝶の幼虫が取り付いていました(ヘッダー写真)。似たような幼虫が多いので、図鑑の写真では何の幼虫かは特定できませんでした。