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御用地遺跡 土偶 19:愛染古墳と真言密教

安城市の東川古墳のほぼ真西350m以内に位置する藍染古墳(あいぜんこふん)に向かいました。

●後頭部結髪土偶

1MAP藍染古墳

藍染古墳は南北に走る県道286号線の交差点の北西の角に面していた。
藍染古墳は南北に走る県道286号線の交差点の北西の角に面していた。
藍染古墳は円墳と思われるが、区画整理のために四方が削られ、方墳状態になっている。
周囲は住宅で埋まっており、地図上に見える空白は全て駐車場だ。

下記写真は藍染古墳の北西の角から撮影したもの。

1藍染古墳

墳頂には瓦葺の黒っぽい建物が建っており、墳頂の西端にタブノキの巨木が生えている。

下記写真は藍染古墳の南西の角から撮影したもの。

2藍染古墳

こちら側にはタブノキの他に種々の中・低木が生えている。

反対側(東側)の286号線沿いは駐車場となっており、墳丘はバターをカットしたかのように切り取られ、切り口はコンクリートで固められている。

3藍染古墳

墳上の切妻造瓦葺の建物は切妻屋根の破風板だけが韓紅(からくれない)に染められ、際立っている。

墳丘の南側に石段が設けられており、石段の上左右には円柱の石柱が立っているが、円柱上部の内側に丸い穴が空いているので、貫(ぬき:横棒)が無くなっていると思われるのだが、修験系、あるいは密教関連の門のようだ。

4愛染明王堂JPG

門の正面奥に瓦葺の建物が位置している。
石段左手の土手に石が二つ露出しているが、石室と関係のあるものかは不明。
上記写真の翼を広げたような影は南側に面した路地を隔てた場所にある薬師如来堂の宝形造の屋根の影だ。

薬師如来堂脇に愛車を駐め、墳上に向かう石段を上がると、門柱の脇に「愛染明王」(あいぜんみょうおう)と達筆の刻まれた堂号標が建てられていた。

5堂号標

愛染明王堂と薬師如来堂という真言密教系の二つの堂が隣接し、修験系の門が存在しているということは、ここは密教寺院の一角だったのだろうか。
愛染明王とは密教特有の以下のような憤怒相をした尊格の仏である。

墳上の愛染明王堂は、その木部が韓紅に染められた部分と垂木の小口の白く染められた部分を除けば、全て滅紫(めっし)に染められている。

6愛染明王堂

賽銭入れの小穴から堂内を覗くと、堂内も全て滅紫に染められ、奥の壇上中央にやはり滅紫に染められた祠が奉られていた。

7藍染明王祠

墳上のタブノキは線香や蚊取線香の材料になるタブ粉が得られる樹木だが、根元に大きなコブができている。

8タブノキ

8Bタブノキ瘤 2

タブノキのコブは材木としても、装飾品としても貴重品であり、特別な価格で取引されるようで、たまたまネットで見つけた同寸法くらいのコブに25万円の価格が付いていた。

ところで、墳上からの眺望は特別なものではなく、比較的開けている南東方向を見下ろすと、以下のような感じだった。

9眺望

ネット上の愛染古墳のデータを整理すると、以下のようになっている。

墳丘直径=約24m(現状南北24m×東西15m)
 墳丘高=約6m(愛染堂再建の際に4mほどが削られ、現状約2m)
築造時期=不明(古墳時代前期の可能性)
出土遺物=刀剣類(堂の再建の際に出土、堂の地下に埋納した、との由緒書が伝わる。)

発掘調査は行われていないが墳丘測量調査は行われた。
墳丘、墳頂に花崗岩が認められるが、石室に伴うものかどうかは不明。

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愛染古墳に関する情報も発掘調査が行われていないので少ないものだ。

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