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別れ:私のスクーター全史

24年間2代に渡って乗り続けてきたスクーターHONDAフォーサイト(ヘッダー写真)と別れることになりました。
フォーサイトまで6車種のスクーターに乗ってきましたが、その中で最も気に入ったスクーターでした。
その理由の1つは高速道路の長距離走行と、日常のスーパーマーケットでの買い物の両方にイージーに使用できる車種だったからです。
2つ目の理由はアメリカン・ホンダで製作された車体のデザインが素晴らしかったことと、動力性能がズバ抜けていたことです。
日本の第1期スクーターブームは下記のYAMAHAパッソルという、

低価格49,800円の名車がきっかけになりましたが、第2期スクーターブームは、このフォーサイトが切っ掛けになり起きたと言える車種で、素晴らしい完成度のスクーターでした。
私にとっての初代フォーサイトは18年間で12万kmオーバーの走行をしたのですが、1度オーバーホールしたエンジンが再び劣化したことから、乗り換えることにしました。
しかし、その時点で欲しいスリムなボディーを持った250ccスクーターが他には存在せず、やむなく中古車で見つけたフォーサイトに6年間(走行距離5万6千km)乗ったところで、部品供給が終了し、フォーサイト以降に発売されたスクーターに乗り換えざるを得なくなりました。
しかし、250ccクラスのスクーターは現時点でもスーパーの自転車置き場に気軽に突っ込めるようなスリムなものが存在せず、妥協する形で高速道路走行と日常の買い物に使用できるHONDA ADV 150という150ccのスクーターをチョイスすることになりました。
スクーターで別れが寂しいと思った愛車は4年間乗ったYAMAHA トレーシー 125と、このフォーサイトの2車種のみですが、24年間関東圏と愛知県周辺を巡ったフォーサイトとの別れの寂しさはトレーシーの比ではありません。
当初、長年愛車としてきたフォーサイトの記録を何か残しておかなければと考えたのですが、これを機会に自分の乗ってきたスクーターのみを整理して、簡略ですが記録に残すことにしました。


●HONDA SKY (スカイ:50cc)

1HONDA スカイ1982

最初に愛車にしたスクーターがHONDA スカイでしたが、スカイを手に入れるまでは高校時代に親父から受け継いだ、スーパー・カブに1年間乗ったのみで、車を所有することにまったく興味が無く、免許更新をしなかったので、免許を失効したままになっていました。
この時は自分の住居兼事務所が渋谷区の並木橋交差点の近くにあり、都内の各地に打ち合わせに行くための脚として自転車を購入しました。
しかし、1週間としないうちに、渋谷区の歩道は人が多くて自転車で走ることはほとんどできず、車道は歩道側の多くが駐車区間になっており、その駐車区間もいつもほとんどが車で埋まっており、自転車で交通量の多い車道を快適に走るのはとても無理でした。
さらに、渋谷が名称どおり谷底にあるため、どっちの方向に向かうにも、まず坂を登ることになることに気づくのに時間はかかりませんでした。
そこで、筆記試験だけで原付2輪車に乗れる原付免許を取り、当時街にあふれていた原付2輪車YAMAHA パッソルを避け、ライバル車HONDA スカイを購入しました。
価格はパッソルと同じヨンキュッパ(49,800円)、ボディーカラーは暗い赤を避け、白をチョイスしました。
スカイのTVCMは大竹しのぶさんがしていたのが印象に残っています。
しかし、このスカイは見事な欠陥車でした。
穴ボコを通過すると、右側の前面カバーが振動で外れてしまうのです。
価格が価格なので、ありえることですが、パッソルに対抗するために短期間で開発した車種であることが関係していたと思います。
それで、2年もしないで乗り換えることになったのですが、その決定的な理由がありました。
新橋から六本木を通って並木橋に帰ってくる際、溜池交差点で六本木交差点に向かうためには右車線に入らなければいけない場所があるのですが、溜池交差点はタクシーが多く、原付のスピードではいつまで経っても右車線に入っていくことができず、そのストレスが決定打となって、自動車教習所に通って中型2輪車免許を取得することにしたのです。

●YAMAHA TRACY CZ125 
(トレーシー:2ストローク125cc)

2YAMAHA トレーシー 125ー

中型2輪車免許を取得し、そのボディー・デザインと価格で選択したのがYAMAHA トレーシーで、RZ 125というスーパースポーツ車のエンジンを搭載した特殊なスクーターでした。
「CZ125」という名称はRZ 125の係累車であることを示しています。
このスクーターは、おそらく同好会が存在した唯一のスクーターだと思われます。
それくらい、個性的で魅力的なスクーターだったのです。
YAMAHAの2輪車のデザインワークを担当していたデザイン事務所GKデザイン(現GKダイナミクス)が力を入れて制作したことが伝わってくる、その尖んがったボディーデザインも気に入っていました。

トレーシーが届いた時は嬉しくて、深夜にパジャマ姿のまま、何度も駐車場にその雄姿を観に行ったほどです。
想像するに、気持ちとしては一般の人が初めてポルシェを購入した時の気持ちと同じだと想像しています(笑)
現在になっても、この時より買い物をして嬉しい気持ちになったことは一度もありません。
すばらしいデザインと高機能の製品を手に入れた時のみに味わえる気持ちだと思います。
この気持ちを上回るには、おそらく、お気に入りの建築家と相談しながら自分の1軒屋を建設するしかないと思います。
トレーシーは車体が軽量であることから、加速が凄く、東京都内ではいつでも最初に次の交差点に到着していました。
ナナハンがいても、スピードに乗る頃には、トレーシーは次の交差点に着いていました。
2ストロークエンジンは飛ばすことが楽しめるエンジンですので、常に飛ばす走り方になり、車輪がギャップを通過するたびに、そのスピードからバウンドして、いつも振り落とされそうになりましたが、フットブレーキだったために、バウンドすると無意識にブレーキを踏むようになっており、危険な乗り物だったのに、不思議に恐怖感の無いスクーターでした。
どこまで安全性を計算されて制作された車体なのか想像ができないスクーターでした。
ちなみに兄貴分に当たる250ccエンジンを搭載したスーパースポーツRZ250は多くの高校生が亡くなっていることで知られたオートバイです。
友人のRZ 250を借りて、能登半島を1周したことがあるのですが、トレーシーとはまったく違い、非常にバランスの悪い、怖い乗り物でした。
トレーシーは4年間乗ってガールフレンドに譲り渡しましたが、四輪車の免許を持っていなかった私にとって、この車種まではスクーターが私にとってメインの脚でした。
トレーシーで何度かツーリングしたことから、これだけ気に入っていたトレーシーからツーリングを本格的に楽しむためにオートバイに乗る気持ちになったのです。
トレーシーは本格的なツーリングを楽しむにはイージー過ぎたビークルだったのです。
そして、400ccの単気筒オートバイYAMAHA SRX 400に乗り換えました。

●YAMAHA CHAMP (チャンプ:50cc)

3YAMAHAチャンプ

スクーターとオートバイを乗り継ぎ、電車に乗るのがストレスに感じるようになりました。
そして、メインのオートバイをメンテナンスに出している間、乗れる2輪車が無いことにストレスを感じるようになり、贅沢ではあったのですが、2台目の脚として原付スクーターを購入することにしたのがYAMAHAチャンプでした。
しかし、チャンプに1年も乗らないうちに息子が4歳になり、スクーターの前に乗せてなら、タンデムで近所に買い物に行けそうなことに気が付き、タンデムで乗れる125ccのスクーターを物色し始めたところ、YAMAHAが50ccエンジンをボアUPして55ccにし、タンデム走行のできるスクーターがタイミング良く発売されたのです。
そして、その55ccスクーターに乗り換えることにしたため、チャンプの記憶も思い出もほとんどありません。
車名からして高校生向けで、デザインは良かったもののそれ以外に特徴の無いスクーターでした。
ただ価格通り、HONDA スカイなど比較のできない欠点の無いスクーターではありました。

●YAMAHA 55cc スクーター

買い換えたYAMAHA 55cc スクーターはチャンプより5cc排気量が多いのにも関わらず、パワーのまったく無いダメスクーターで、乗っていて、ストレスしか感じられないスクーターでした。
我慢して1年間は乗りましたが、2年間で3台目のスクーターに乗り換えることにしました。
そのため、この55ccスクーターは銀色のボディー・デザインは記憶しているのですが、名称の記憶がまったく無く、ほとんど売れなかった不人気車でもあることから、現在のネット上には情報がまったく見当たらず、車種名は不明です。

●SUZUKI VECSTAR (ヴェクスター:125cc)

5SUZUKI ヴェクスター125

YAMAHA 55cc スクーターから乗り換えた、SUZUKI ヴェクスター125は250ccクラスのボディーサイズを持つスクーターでした。
しかし、足回りがチープで常に不安定感があり、エンジンも回さないとパワーが無く、ストレスの多いスクーターで、危険な乗り物でした。
そのためもあったと思われますが、翌年には25cc増やした150ccエンジンを載せたヴェクスター150が発売されました。
そこで、買い替えを検討したのですが、その前にバッテリーがすぐに上がってしまうトラブルが起きるようになりました。
これは、このトラブルでヴェクスター125を手放した後になって、シート下トランクの蝶番の合わせが悪く、それが原因でシートを閉めても、トランク内の照明が切れないことが原因で起きていたことが判明しました。
このバッテリー上がりの原因はSUZUKIの専門店でも把握できておらず、このヴェクスター体験から、今後二度とSUZUKI車には乗らない決心をしました。
あまりにも設計がアンプロフェッショナルでした。
蝶番の合わせが悪いのは純正オプションで購入したリアトランクも同様で、鍵が時代物の古い代物で、やはり蝶番の合わせが悪くて、トランクの蓋が気軽に閉めることができないストレス商品でした。
ヴェクスター125に2年ほど乗った時、HONDAから圧倒的な動力性能を持つスクーターが発売されました。

●HONDA FORESIGHT (フォーサイト:250cc)

6HONDA フォーサイト

メンテナンスをお願いしていたオートバイ屋にHONDA フォーサイトが届き、動力性能が凄いからと、試乗を勧められ、乗ってみました。
確かにYAMAHA トレーシーに乗って以来の動力性能で、1発で気に入ったものの、この時のメインの脚はHONDA V-TWIN マグナになっており、2台目の脚も250ccでは、どっちがメインなのか判らない贅沢な状況になるので、躊躇しましたが、ヴェクスターのバッテリー上がりが解消しないのと、ほかの車種の当てが無く、結局フォーサイトをサブの脚として購入することになりました。

フォーサイトはYAMAHA トレーシー以来の傑作車でした。
足回りにコストが掛けてあり、安定感が高く、横風にも強く、デザインも出来が良く、ヘッダー写真でわかるように、耳のように突き出た方向指示ランプがハンドルに風が当たらないような形状に整流の工夫がされています。
足元も暖かいことから、真冬のツーリングではマグナよりもフォーサイトの方をチョイスしていました。
リアトランクはGIVI製ですが、フォーサイト2代に渡り24年間、雨風の中、使用してきたので、さすがに風化してきています。
私が乗ってきた全スクーターの中では最高の傑作車でした。
ただ、息子とのタンデムツーリングにはスクーターは使用しなかったので、息子との思い出はありません。

●HONDA ADV 150 (150cc)

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フォーサイトから乗り換えた現在の愛車HONDA ADV 150はエンジン排気量が高速道路に入れる乗り物の中で、おそらく最小の排気量のスクーターであり、フォーサイトのように高速道路で追い越し車線を走ることは望みませんが、すでに購入して1ヶ月半で走行1,000kmオーバーし、名車の予感がしています。
エンジンが電気モーターのようによく回り、40km走行でも80km走行でもまったくストレスがありません。
音は静かです。
1,000km点検を終えたら1度、高速道路でフルスロットルにしてみようと思いますが、120kmは出ないかもしれません。
250ccのエンジンを載せて欲しかったところです。
ADV 150は悪路に強いアドベンチャータイプのスクーターという唯一無二のスクーターなのが購入の決め手になりました。
スクーターは便利でイージーなビークルなのですが、最大の欠点は悪路に弱いことです。
東京でも名古屋でも道路工事を行なって荒れた路面は長い間放置され、毎日通る場所がそうなっていれば、オートバイと違い大きなストレスになります。
その悪路がオフロードにも対応したADV 150で、オートバイ同様に気にならなくなったのは凄く大きいことです。
ただ、逆に自動車専用道路の大きな継ぎ目ではショックを拾いやすく、継ぎ目が連続していると大きなストレスになりますが、自動車専用道路は日常で利用することは無く、工事で荒れた道に対応してくれていることの方がありがたい。
シートも考えかたが新しく、非常に良く出来ていて、長時間走行でも楽チンです。
そして、鍵がスマートキーなのは物理キーと違って、少し走っては撮影をするという作業を繰り返す私には、一々鍵を外したり刺したりする物理的な手間が無くなり、大きな負担軽減になっており、車体の軽さと回転半径の小ささから、林道にも入りやすく、これまでならV-TWIN マグナで行っていた場所にもすでにADV 150で行くようになっています。
V-TWIN マグナも部品供給が停止していることから、すでに次期オートバイは注文済みですが、ガソリン高騰が続きそうな昨今、本当にオートバイも必要なのか疑問が出てきている状況です。

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