2021岐阜大学入試問題二次試験 化学 第3問~第5問解答解説
岐阜大の入試問題 後半やっていきます。
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第3問 芳香族
問1 は,基本事項
問2,3もよくある流れなので,しっかり押さえておきたい。共通テストレベル。
問4 は,構造をよく見ながら考えていきたい。とはいえ,あまり長時間は考えられないのでサクサクやろう。①のフェノール性や,②のアルデヒド基は簡単。問題は③で,還元と考える。カルボキシル基の還元だと明らかにOの数が減少して題意に合わなくなる。アルデヒド基の還元で第一級アルコール,ケトン基の還元で第二級アルコールなら無理なく検討できる。ただ,さらに,Hの行き先としてC=Cもあることに注意しよう。付加させてみると分子式があうはず。問④は炭酸との強さの関係を考えよう。
問5 のけん化は,あまり問題文から読み取りにくい。普通にNaOHを1価分反応させる形でも式はできるが,「完全に進行して溶解」という記述から,NaOHが十分にあればナトリウムフェノキシドになりイオン状態で水に溶けやすくなると考えられるので,NaOHを2価分つかうかなあと。(2)で遊離があることからも,(1)ではやっぱりナトリウムフェノキシドが生成しているのかな…?
第4問 高分子 イオン交換樹脂
問1 選択問題は難しくはない。イオン交換樹脂の可逆反応など少し選びにくいものもあるが,とりあえず教科書をしっかり押さえておこうレベル。
問2 ここの加水分解,H₂Oを反応させるでも式はできるが,ふつうこのようなエステルの加水分解は「けん化」を指している場合も多い。(普通に水での加水分解は起きにくい(硫酸触媒でもそれほど))ので,けん化を使ったほうがいいような気もする。
問3 は,まず重合度nを求めて,アセタール化されたときの単位当たりの分子量増加を考える。全体を1,反応した分を割合xとして,反応後の分子量を利用して求めよう。
問4 は,見たことがないと書きにくい。イオン交換樹脂はここ10年くらいでかなり幅広く出題されるようになっているので,しっかりさえておきたい。
問5 イオン交換された後の塩化物イオンを出せば,普通に中和滴定。
問6 は,問3がクリアできれば同じような方法でできる。重合度nのうち,反応前後の量がxとyと出てくるので,それらを利用して質量に変換し,%を出していこう。
第5問 無機・状態方程式
前半はもうこっちに直接書く。
問1 ア 還元 イ 製錬 ※「精錬」は純度を高める操作なので×
ウ 鋼 エ ステンレス鋼 オ ブリキ カ トタン
キ 電解精錬 ※ここでは純度を高めています。
ク 青銅
問2 A 濃硝酸 B 濃塩酸
問3 Fe₂O₃(固)+2Al(固)=Al₂O₃(固)+2Fe(固)+(Q₂-Q₁) kJ
生成物の生成熱Q₂と反応物の生成熱Q₁の差が反応熱になる。
問4 3Fe + 4H₂O → Fe₃O₄ + 4H₂
黒さび(四酸化三鉄)がわかれば簡単。
この大問の本丸はこの問5
(1)は簡単。ふつうにやればOK。
(2)も,演習問題レベル。(1)で計算間違いしないように。
(3)ダイレクトに物質量を求めに行くのは多少面倒。同温・同体積の条件なので,圧力比=物質量比と考えればだいぶ楽。
(4)(5)は基本的な記述。
所感
岐阜大はいつも標準的。まんべんなく取り組もう。記述や文章読み取りは増加傾向なので,少し難関を対策しておくと取り組みやすい。計算も割とボリュームがある問題もあるので,時間配分をきちんとしましょう。