みやふきん

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最近の記事

選ばれたくなかった私

「Eggs 選ばれたい私たち」という映画を観た。 卵子提供を通して、女性という性について、結婚や出産について考えをめぐらせるという感じの内容だった。 私のこの記事のタイトルにある通り、私は「選ばれたくない」人だった。 今の夫に出会うまで、結婚する気はなかったし、夫とおつきあいしていた時も、同居はするけれど結婚出産する気はなかった。 でも、まあ結果として結婚出産してるんだけども。それはその気になれる環境下にあったから。 だから、私の通る道筋として、映画の中の登場人物は、容易に

    • 映画「PERFECT DAYS」を観て思ったこと

      昨日、観てきました「PERFECT DAYS」。 12月に劇場へ観に行った映画でこの作品の予告を観てヴィム・ベンダース監督作品と知ったので、急きょ観ることにしました。 「ベルリン・天使の詩」「パリ、テキサス」なんかは観たことがあって、わりと好きな監督です。 映像や音楽に、この監督らしい感じがあって、いいなぁと思って見ていました。 なかでもいちばん感銘を受けたのは、役所さん演じる平山のほほえみのまなざし。 些細な出来事にほほえむ平山のまなざしの先にある感情を共有したくなる

      • 遊劇体「灯灯ふらふら」感想

         劇団の演劇を見はじめたきっかけは、よく覚えている。社会人一年目の春、大学生最後の春休みを過ぎてもまだ自動車免許を取れてなくて、仕事を始めても自動車教習所に通っていた。待ち時間に暇だったからだろう、チラシの棚を見ていて演劇のフライヤーを見つけた。白っぽいちょっと幻想的な雰囲気のフライヤーに惹かれて、何も知らないのにいきなり観に行くことを決めた。それが遊劇体との出会い、1995年のことだったと思う。  最後に遊劇体を見たのは1997年で、舞台が好きな友人を誘って、京都大学西部講

        • 会話を考えてみる

           会話が苦手だ。人の話を聞くのは好きだけれど、自分が話すことは苦手。理由はわかっている。会話は言葉を自分から放したとたん、曖昧なものに変わってしまい、記憶の中にしか存在しなくなるからだ。私も相手にも。  そんな想いを140字小説にしたことがあった。2017年6月の作品。  こんなふうに、そのへんに話した言葉が漂ってくれていたら、どんなにいいだろうと夢想する。当時、びっくりするほどいいねの数が少なくて、共感が得られなかったのだろうな、と思った。  私は比較的言葉を選びながら、

          私の音楽との出会いの軌跡

           好きなものやことについて、これまで語ってきたことが多いので、今回もその流れで、好きなように語ろうと思う。今回は音楽について。私が聴いてきた音楽を履歴みたいに語っていく。  そもそものはじまりはMUSIC TOMATO JAPANだった。  中学生の頃、夕方に再放送していた、ひたすらMVを流す番組。そこで私は久保田利伸さんの「流星のサドル」という曲に出会った。のびやかな歌声とグルーブ感にすっかり引き込まれた。 https://youtu.be/4BD5GUiizHk そ

          私の音楽との出会いの軌跡

          「好き」っておもしろい!

           「好き」っておもしろい。今泉力哉監督の「サッドティー」を観てそう思った。今泉監督の作品は「愛がなんだ」を観て以来、レンタルしたり劇場に足を運んだりして、何作か観ている。私が観たなかで最も古い作品が「サッドティー」で、2014年の作品。この作品を観ると、今泉監督作品の原点であるように勝手に思ってしまった。登場人物たちの「好き」の多様さだったり、登場人物同士が実は関連性があったりするというおもしろさに加えて、どこかずれているおかしみがあって、それが今泉節だと私は解釈して、「サッ

          「好き」っておもしろい!

          好きな服(私の場合)

           私の好きなバンド「ゴホウビ」が「好きな服」という曲をリリースした。好きな何かのなかでも服を選んで、それを曲としてメッセージ性のある歌にした。人生において、時と場合に合わせなくてはならないことも多い服。そのなかで、「好き」な服を着ることについて、私なりに語ってみたい。    私は裕福な環境に育ったわけではないが、貧しかったわけでもない。それでも好きな服を好きなだけ買えるようになるのは、ずいぶんあとになってからだった。  幼い頃は親戚や知り合いからのお下がりがほとんどで、服を好

          好きな服(私の場合)

          ぜんざいの記憶

           お正月も過ぎてしばらく経った1月15日がまだ祝日だった頃、幼い私が楽しみにしていたのが、おばあちゃんの作るぜんざいだった。たまたまその日、転校生で親しくなった子が遊びに来ていて、おばあちゃんのぜんざいを一緒に食べることになった。「おもちじゃないんだ」とその子は言った。  おばあちゃんの作るぜんざいは、小麦粉で練ったお団子が入っていた。 「なんか変」そう言われて初めて、私はぜんざいに入れるものが他にもあることを知った。急に恥ずかしくなった。  ぜんざいに入れるものは、お餅とか

          ぜんざいの記憶

          ほんのりと爪に魔法をかけたくなるのだ

           ほんのりと水色の爪がきれい。私が最初にマニキュアを見たのは小学生の頃、三年生になって初めて同じクラスになった子と身体測定のために廊下に並んでいた時だった。小学生がマニキュアなんて、今となってはもしかしてまぼろしだったのではないかと思ってしまうし、のちに仲良くなったその子にマニキュアのことを確認しても、そんなのしてたっけ?と言っていた。でも、初めてマニキュアを意識したのは、その時だったと私は勝手に記憶している。  私自身は真面目な子どもだったので、マニキュアを初めてしたのは大

          ほんのりと爪に魔法をかけたくなるのだ

          年越しそばはいつ食べる?

           私が育った家は年中行事に無頓着で、かろうじて正月には鏡餅を飾り、餅を食べて、買ってきたおせち料理をちょっとつまむ程度のものだった。幼い頃には家で餅つきをしていて、それは楽しい記憶として私に残っているのだが、祖父母が80代後半になった頃にはやめていた。  実家で年越しそばをちゃんと食べた記憶がない。どん兵衛を買ってきて食べていたかもしれないけれど、覚えていない。結婚で実家を出てから二十年以上経った。まだ実家で過ごした年数を超えてはいないけれど、自分の家族と過ごす時間が長くなる

          年越しそばはいつ食べる?

          2022年に観たドラマを振り返る

           2022年も残すところあとわずか。この一年を振り返っての何かをと考えて、2022年、私が観ていたドラマについて語ってみようと思いついた。ドラマ大賞という雑誌の企画への投票をしたことで、思ったよりもこの一年はドラマを観ていたと気づいたのだ。私なりのランキング形式でお届け!  まず、何を観ていたのかを明らかにしなくては始まらない。  私が2022年に観ていたドラマはこちら!(途中で観るのをやめたのも含む) 〔2022年冬ドラマ〕 「ファイトソング」「妻、小学生になる」「おい

          2022年に観たドラマを振り返る

          「母親の後悔」について考える

           母親の後悔について特集したNHKの番組「クローズアップ現代」が2022年12月13日に放送されていて、たまたま視聴した。この番組は、イスラエルの学者が母親たちにインタビューしたのをまとめた「母親になって後悔してる」という本が、 日本でも翻訳されて話題になったことから取り上げたということのようだ。  その番組の内容についてまとめたものはこちら↓  端的に言うと、子どものことは愛しているが、母親になったことを後悔しているという内容のもので、番組では数組の母と子を取材し、母性

          「母親の後悔」について考える

          クリスマスにはケーキを食べない

           今朝、ニュースでクリスマスケーキは5%程度値上がりというトピックを見て、「大変やなぁ」と他人事のように夫に話した。  私はクリスマスにはケーキを食べない。  これは実は幼い頃からなのだ。  たぶん、小学生になったくらいの頃、地域の児童館でクリスマスイベントがあった。参加した私は、出されたショートケーキを食べたのだと思う。すぐに胃が気持ち悪くなって調子を崩した。理由は不明。私だけが調子を悪くしたので、私に原因があったのだろう。  それ以来、私は長らく生クリームのあるケーキを避

          クリスマスにはケーキを食べない

          ふでばこの中身(第4回/最終回)

          私の持っているふでばこ(ペンポーチ)の中身を紹介するだけのこの文章も、いよいよ最終回です。 いちばん使う頻度の低いふでばこの中身を紹介していこうと思います。 まずはペンポーチ。10年以上前に年上のお友だちからもらったもの。ファスナーにつけているストラップはちぃぶっくさんの飾り罫原稿用紙豆本ストラップ。 順に紹介していきます。 エナージェルの替え芯。エナージェルにハマったばかりの時に購入したまま、時間だけが経過する。結果、エナージェルを替えるまで使うことがなかった。ちょっと

          ふでばこの中身(第4回/最終回)

          ふでばこの中身(第3回)

          私が普段使っているふでばこ(ペンポーチ)を紹介するだけの文章も3回目です。 今回はインクをいちいち吸い込ませて、あるいはインクをつけて使用するペンばかりの紹介です。 まずは、ふでばこにしているもののことから。 友だちと京都に行ったとき、ふらっと立ち寄ったお店で購入。たしか美術館の帰り道でした。神宮道あたりかな? つけているチャームは、箱根で購入した寄木細工。 ペンを上から紹介します。 ビスコンティのヴァン・ゴッホというシリーズの万年筆。夫から誕生日プレゼントにもらったも

          ふでばこの中身(第3回)

          アートとの出会いは数珠つなぎ

           私が現代アートと出会った最初の記憶は、麻谷宏さんの赤い布のインスタレーションだ。文学部を卒業して事務の仕事をしていた頃、毎月一回は京都市内へ来て、本屋やギャラリー巡りをしていた。その頃、よく行っていたのはギャラリーマロニエやギャラリーにしかわ、四条ギャラリーなど、大通りに面したわかりやすいギャラリーだった。1997年の四条ギャラリーで麻谷宏さんの赤い布のインスタレーションに出会って衝撃を受けた。ギャラリーの空間の奥の方から送風機で送られてくる風で、大きな赤い布が風をはらんで

          アートとの出会いは数珠つなぎ