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いままででいちばん、おいしかったもの
今までで一番おいしかったものは何ですか?
先日ふと、こんな問いが自分の中に浮かんだ。深く考えないで、ぱっと思いついた答えは、
「ウィーンのベトナム料理屋さんで食べた、青梗菜の炒め物」
多分これからしばらくは、この答えをすると思う。「好きな食べ物」ではなくて、あくまで「今まででいちばんおいしかった食べ物」のおはなしです。
わたしは和食が好きだ。お米がなかったら絶対嫌だし、お味噌汁とか煮物とか、白和えとか、大好きだ。
お米かパン、どちらかしか今後食べられないと言われたら迷わずお米を選ぶ(パンも好きだけど)。
話が逸れてしまったけれど、本題に戻ります。
わたしの数少ない海外経験で心に決めていることは、「日本食を食べない」ということです。
長くても2週間だったから、そんなことがいえたのかもしれないけれど、大好きだからこそ変なものは食べたくないし、帰ったときに感動を取っておきたい。鯖の塩焼きとかでウルウルしたいんです。
まぁ、そううまくは行かなくて、フィンランドに短期留学した時はやっぱりジャパニーズカルチャー的なものを紹介することがあって、「スシ」とか「カレー」とかなんなら「トンジル」まで作った。
ウィーンに行ったときは、和食屋さんも紹介されたのだけれど、わたしは海外で日本食は食べないんだあああああと騒いで、結局四川料理(めっちゃ素敵な店員さんだった)とベトナム料理を食べたわけなんです。お米とか食べてんじゃん。笑
青梗菜の炒め物なんて、日本にいれば何の意識もすることなしに口に入ってくる食べ物だ。みんな好きで食べているかはわからないけれど、とにかく青菜って一日ひとかけらは食べてるんじゃないかなって思う。少なくともわたしは食べている。
だけど、薄暗くて虫が飛んでくるウィーンのベトナム料理屋さんで食べた、何かの付け合わせとして出てきたちょっと餡のかかった青梗菜クンのことが忘れられない。アジア人でよかったーーー!と叫びたくなった。青菜ばんざい、お醤油ばんざい、あんかけばんざい。
食べ物とそれを口にする環境って密接に結びついていて、たとえば独り暮らし最初の晩餐の肉じゃがの味は忘れない(大量にできちゃった)。味覚って記憶とともによみがえるものだ。
「無人島に持っていくなら?」とか、「これから一生、どっちかしか食べられないとしたら?」とか、非生産的な話ができるってすごく幸せで、平和で、うれしい。