[創作1000ピース]3,もしもの話。繋がれば(ショートショート)
ITC、情報通信技術がすべてを変えた。
「情報を仲間とシェアして仕事をする時代です」
会議もネット。
議事録もネット。
報告書も企画書もネットで共有。
「デジタルノートを共有して、業務内容を書き込んでいきましょう」
「タスクも予定も見える化して、シェアすれば効率アップ」
ネットが繋がれば、いつでもどこでも仕事ができて、誰とでも会議ができる。
自宅でも、サテライトオフィスでも、カフェでも、電車の中でも、昨日の続きから書類が書き始めれる。
ネットさえあれば、繋がれば、何でもできるし、自由なスタイルで仕事ができる。
ネットさえあれば、繋がるだけで何でもできる。
「もう手書きのノートや手帳なんて必要ないですね。だって、デジタルノートとタスクを仲間と共有しているのですから」
ある日。
大雪が降った。
送電線にのしかかり、重みで電線が切れた。
あたり一帯停電だ。
電気もつかなければネットも使えない。
ネットが繋がらないから、会議ができなかった。
繋がらないから、ネットで共有した資料が更新できなかった。
繋がらないから、自分の今日やるべきタスクさえわからなかった。
ネットが繋がらないだけで、自分は無力だった。
停電はなかなか解消せず、ネットもすぐには復旧せず、不安定な通信状況は数ヶ月続いた。
そのせいか、しばらく落ち込んでいたノートの売上が伸びたらしい。
手帳離れも戻ったようだ。
「やっぱり紙は残るし、手書きすると頭で覚えるし、仕事してるって実感があっていいよね」
そんなことを誰かが言っていた。
さて、自分もノートでも買って帰ろうかな。
時代はまたアナログ主義へと逆戻り。
……と、言うのはもしもの話。
*** 創作1000ピース ***
たくさん書いて書く練習をするためにまずは1000の物語を書く目標を立てました。形式は問わず、質も問わず、とにかく書いて書いて、自信と力をつけるための取り組みです。
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