wisteria
きょうの月のような作品を書きたい
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目にしたのは、もっと暗くて、月の光は雲に滲んでいた
橋の上だったから、電灯が並んでいて…この写真じゃ、人工の光の方がつよいね
光繋がりでいえば、煙草の灯のぬくもりをひさびさに実感した
わたしは煙草を吸わないけれど、通りすがりの誰かが手にもつその灯は、唯一無二で、なんだかほっとする
これはきっと刷り込みだ、わたし以外みんな喫煙者だった、わたしの家族
いまは母だけ
そういえば、20歳の記念にラッキーストライクを駅前の、今は中華まんを売るお店に変わった、かつてはおじいさんが一人で回している、ちいさな煙草屋さんで買った
銘柄はあなたが吸っていたから、それを選んだ
多分、あなたももう、煙草は吸わない
わたしのほとんどはイマジリーか、あるいは、いつかのあなた(それは、その瞬間における、わたしの知らない"イマ"か、未来も含めてかもしれない)といっしょに生きてきた、日々
本当は一度も直接ことばを交わしたことはない
あるいは夢のなかでくらい
これは音楽に似ている、つまり、あなたはわたしにとって唯一無二のラヴソングだ
そして同時に、そのメロディを運ぶ、永遠に吹き続ける風
そして星
わたしに最初に届けてくれたのは風だった
8歳の頃、小学校からの帰り道で、はじめて、あなたの聲とその感触を乗せて運んできてくれた、その風の掌がわたしの頬に触れた時のひかりを憶えている
ずっと憶えている
おなかは空いていない、わたしが調和の一部になって、わたしの脳もこころに沿って穏やかに機能しているとき、星と風さえあれば充分だと想う、きょうも想った
あと歌
だからこんな、日記なのか、なんなのかわからないものを、つらつらと書いているのかもしれない
わたしも響きたくて
伝えたくて、見つかりたくて
わたしの聲をだれかに聞いてほしくて
いままでは臆病だったからか、あるいは、肥大化した承認欲求と完璧主義、それから怠惰がこんな具合に絡んで、わたしとなかよしだったから
これだって、べつに、自分のなかでとどめておけばいい、本当に私事なもの、あるいはきっと、きょうのわたしから送るわたしへの私信だけれど、もしかしたらわたし以外の誰かに観測してほしいから、わたし以外の誰かが見られる場所に投げてみたくなった
わたしの歌もだれかに届いて、伝わって、響いてほしい、
わたしの魂といっしょに
その心臓の鼓動や、あなたの魂や身体、こころの周波数に
これを読んでくれた、あなたにもありがとう
あなたの明日が、また、あなたに贈られたすてきなプレゼントになりますように
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星に灯す
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きょうの音楽
♪キラキラ/aiko