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ビジネス書の起源 #3

「暇があるときは、書物を読みたまえ!」

15世紀イタリア商人、ベネデット・コトルリさんのお言葉です。

え? この本って、
「どうやってたくさん儲けてお金持ちになるか」が書かれているんじゃないの?
と思った方もおられるかもしれません。

そうなんですよ。ただ儲けるのではいけないのであります。
優れた商人は「名誉とともに富む」ことを目的とすべきなのだそうです。

どういうことか、ざっくり背景をお伝えしますと、

中世キリスト教世界において、商売は大変低く位置づけられた営みでした。
たとえばお金に利息をつけて貸すなどの行為は、大変卑しいこととして否定されてきたのです。

そんな中、東方貿易の成功、キリスト教会の分裂や腐敗、ペストの流行による世界観の揺らぎなどを経て、ようやく商売を肯定しようとする機運が高まってきたのが、コトルリが生きた時代です。

ナポリの王宮に出入りし、また、フィレンツェの人文主義を目の当たりにしたコトルリは、自身の著作を通して、商売(ビジネス)の素晴らしさを全肯定し、最も高貴な技芸として位置づけたいと願ったのでした。

このため、彼の著作の中では、「理想の商人」が描かれ、そのための数々の警句や教え、古典の引用が散りばめられているのです。

というわけで、当時のビジネス最先端の地、イタリアでは、自己啓発と人文主義が渾然一体となった、大変不思議な書物が誕生したのでした。

これが、今私たちが、日々手にしている「ビジネス書」の起源というわけです。

そして、見本ができて参りました。やったー!!!

記事内写真候補1

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五体満足にあがってくるか、やはりモノを見るまでは絶対に絶対に安心できないのが、編集者なのです。

今回は紙やカバー、印刷も、いろいろ工夫されており、担当としては大変勉強になりました!!!
ですので、できれば紙の本で入手することを強くおすすめします。

予定としては、3回くらいの投稿をイメージしていたのですが、この本については、いろいろ思うところもあり、もしかするとまた投稿するかもしれません。

それでは。


参考文献

中世後期の商人観についてなど知りたい方は、ぜひぜひ、こちらをおすすめします。
『嘘と貪欲 ―西欧中世の商業・商人観―』大黒俊二著(名古屋大学出版会)
https://www.amazon.co.jp/dp/4815805326/



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