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奏欺 水鵺/鵺
2020年1月25日 13:31
いつもと変わらぬ日常だった。 朝、鳥のさえずりで目を覚まし、窓の外に集まる彼らに餌を与えると、隣の部屋へ兄であるレートを起しに行く。 寝ぼけたままの彼を連れ階段を降りれば、キッチンではセレストが朝食の配膳を終えたところで、先に席に着いていたキュノリアとトダを交えて食卓を囲んだ。 後片付けの手伝いを終え、身支度を済ませると、親友であるスェズが迎えに来て共に村の奥にあるリベルの森へ遊びに出掛
2020年1月26日 00:16
東の空が赤く染まる中、薄靄の立ち込める草原をひとりの少女が駆け抜ける。 腰まで伸びた深紅の髪を振り乱し、同色の大きな瞳に恐怖を滲ませながら、少女――イユ・フロシオ――は、唸り声をあげながら追ってくるウサギに似た魔獣の群れに大声で叫んだ。「お話くらい聞いてよぉおおおおおっ!!」 そんなことを言ったところで、魔獣に人間の言葉など通じはしない。 けたたましいその声を威嚇ととったのか、数匹が怯み