サピエンス

旧満州国からの引揚者。趣味は読書と孫の一老生です。現生人類(ホモ・サピエンス)が築き上げてきた歴史に照らし合わせて、現代のことを考えていきたいと思っています。noteは小生の日記代わり。三日坊主にならぬよう心掛けます。どうぞよろしく。

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旧満州国からの引揚者。趣味は読書と孫の一老生です。現生人類(ホモ・サピエンス)が築き上げてきた歴史に照らし合わせて、現代のことを考えていきたいと思っています。noteは小生の日記代わり。三日坊主にならぬよう心掛けます。どうぞよろしく。

最近の記事

犬吠埼灯台がスコットランドの灯台と姉妹関係になった

 千葉県銚子市の犬吠埼灯台。断崖絶壁の岬の先端に立ち、太平洋の大海原を一望できる日本有数の洋式灯台である。国際航路標識機関(IALA)が1998年に提唱した、「世界各国で歴史的に重要な灯台100選」に、日本から選ばれた5つの灯台のひとつで、国の重要文化財にも指定されている。  この世界に誇る犬吠埼灯台(レンガ造り、高さ地上31メートル)の初点灯は1874年(明治8年)で、今年150周年になる。これを記念して、全国に約3200ヵ所ある灯台の監督官庁である海上保安庁は11月20日

    • シェーンが帰ってきた! アラン・ラッド没後60年

       米国西部劇で最も好きな映画を挙げよと言われたら、即座に『シェーン』と答える。ワイオミングの大自然を舞台に流れ者のガンマンが、開拓農民を守るため、悪者どもと闘い、そして去ってゆく。「遥かなる山の呼び声」のメロディが流れるなか、「シェーン、カムバック!」と叫ぶ少年の姿。どのシーンを見ても心に残る不朽の名作である。  そのシェーンを演じたアラン・ラッドが50歳の若さで死んで今年60年になる。小柄ながら金髪碧眼の白人美男。渋みのかかったその声と合わせ、女性ファンの絶大な人気を博した

      • 老人と犬の物語ーウンベルト・D

         戦後間もないイタリアのとある町。アパートの1室に1匹の犬と暮らす孤独な老人ウンベルト。元小役人。不況下にあって年金だけでは十分な生活はできず、女家主から家賃滞納で立ち退きを通告される。年金引き上げのデモに参加したり、金策に励んだりするが、すべて思うようにいかず、遂には犬を連れて着の身着のまま町を出ていく—。  巨匠ビットリオ・デ・シーカ監督のイタリア映画『ウンベルトD』(1952年作)は、一言で言うなら、老人と犬の物語だ。名もなくしがない1人の老人の日常の姿を淡々と描く。1

        • 中東和平の仲介役に再登場か―オスロ合意の立役者ノルウェー

           昨年10月7日のイスラム原理主義組織ハマスによる対イスラエル奇襲攻撃を機に始まったパレスチナ・ガザ紛争。イスラエル軍が報復のためにガザ空爆を開始して1カ月経った昨年11月、以下のようなオスロ発のロイター電が配信された。  —―ノルウェーのアイデ外相は6日、イスラエルとパレスチナの数十年にわたる紛争の政治的解決策を見い出すため、双方の外交チャンネルを復活させる方法を模索している、と明らかにした。地元公共放送NRKに語ったもので、「米欧やアラブ諸国のほか、紛争当事者からも関心が

          アイルランドに魅せられて

          ▽最貧国から世界2位の経済強国へ  ロシアのウクライナ侵攻、そしてイスラエル・ハマス紛争。文字通り激動する国際情勢の中で、なぜ今アイルランドなのかと叱責を受けるのを覚悟で、「緑と湖の島」アイルランドへの一老生の思いを書かせていただく。  筆者がこの国の魅力にとりつかれたのは、ある一冊の本を読んでから。司馬遼太郎が30年前に書いた『愛蘭土紀行』だ。長いこと読み欠けたままになっていたのを最近読み直し、感銘を受けた。内容を紹介すると長くなるので省くが、司馬がその独特の筆致でアイルラ

          アイルランドに魅せられて

          ハマスの息子

           発刊されたばかりのモサブ・ハッサン・ユーセフ著の「ハマスVSイスラエル」(ヒカルランド社刊)を読んだ。著者は原題の「Son of Hamas」にあるように、パレスチナのイスラム原理主義テロ組織ハマスの元幹部で、イスラエルの国内治安機関「イスラエル総保安庁」(シンベト)のスパイとして活動、2007年にアメリカに亡命した現在47歳の男性。  「テロ集団ハマスを根絶し、ガザをガザの人々に返さなければ、もっと大きな戦争をもたらすだろう。」パレスチナ・ガザ地区を実効支配するハマスがイ

          ハマスの息子

          許せぬメディア、学者の偏向ぶり

           ——日本のメディアや「専門家」の立場は、これ(※注)とは全く異なります。彼らはパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム過激派テロ組織ハマスの暴力行使については、イスラエルの軍事力に比べて「圧倒的な差がある」と言って非対称性を強調することで論点をずらして擁護したり、あるいは「抵抗運動」だと賛美したりする一方で、イスラエルの自衛権を否定します——  これは、イスラム思想研究者で麗澤大学客員教授の飯山陽が、昨年5月に著した『中東問題再考』(扶桑社刊)の中で述べている、痛烈なメデ

          許せぬメディア、学者の偏向ぶり

          味わい深い文章とは

           西欧の小さな島国アイルランドに関心を持つ筆者だが、「勉強」の過程で作家・司馬遼太郎が30年ほど前に著した『愛蘭土紀行Ⅰ、Ⅱ』を読んでみた。通読して感じたのは、そのレトリックというか表現力の豊かさに改めて凄さを感じた。例えば、司馬氏アイルランドを旅するまえに訪れた1992年ごろのイギリスの首都ロンドンについての次のような描写である。 「街も人も、銅版画のなかにある。まことに、秩序的である。あるいは大英帝国のころの繁華の形態そのものを国をあげて保存しようとしているかのようであ

          味わい深い文章とは

          豊島茣蓙

             筆者の苗字「豊島」がトヨシマでもトシマでもなく、なぜテシマと読むのか、子供の頃から謎に思っていた。このことは以前この欄でも書いた。その中でテシマという読み方はインチキな読みではなく、瀬戸内海にある豊島という島をテシマ、福島、山形、新潟三県にまたがる飯豊山地をイイデと読むと、実例に挙げてみたが、ここにきて正統性(?)を決定づけるモノが現れた。「豊島茣蓙」(てしまござ)だ。  これを知ったのは、NHKのテレビ番組「新・街道をゆく」の奈良の旅編。司馬遼太郎の名作シリーズ「街道

          現代の鷹狩り

          鳩対策の新兵器?  わが家は築45の古マンション。今秋、4度目の大規模修繕工事が予定されている。あちこち老朽化しているのだから、工事による騒音や人の出入りなど、煩わしさは我慢しなければならない。ところで、われら住民が長い間悩まされているのが鳩の被害だ。ただ飛び回るだけならいい。厄介なのはベランダの物置の下などに住みつき、卵を産み、親鳥だけでなく仲間も集まってくる。彼らのまき散らす糞は洗濯物を汚したり人のからだに付いたりする。鳥インフルエンザの心配もある。  住民たちは独自に

          現代の鷹狩り

          或る猫の一生

           <出会い>  息子夫婦が飼っていた一匹の雌猫が今年の秋、天国に旅立った。名前は「フク」という。丸い顔に大きな目と小さな耳。フクロウに似ているからそう名付けた。享年は推定18歳。「推定」というのは、元々フクは保護猫で、犬猫の譲渡会で引き取ったとき、年齢不詳だったから。予防注射を施した獣医が「おそらく5,6でしょう」と判定したのだ。猫の平均寿命は約15歳とされていることからすれば、フクは長寿。大往生だった。  息子夫婦は我が家のすぐ近くに住んでいる。したがって、フクはしばしば

          或る猫の一生

          私のお名前

           私の名前は豊島棟克。問題は苗字の読み方で、「てしま」と読む。普通は「としま」か「とよしま」だ。子供のころから何故「てしま」なんだと疑問に思っていたのだが、いちいち説明するのも面倒で、「とよしまさん」「としまさん」と呼ばれても放っておいた。  この豊島を「てしま」と呼ぶ島が世間の注目を集めたのが昭和50年頃。瀬戸内海の小豆島の西に浮かぶ、この小さな島に毒性廃棄物が長年にわたり放棄され、住民の猛烈な反対運動が起きた。「豊島事件」という。公害被害者救済で有名な弁護士、中坊公平氏が

          私のお名前