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泣けない子供だった頃の話し
突然ですが、子供の頃から喜怒哀楽を上手く表現できていましたか?
私はできていませんでした。
たとえ家族であれ、人前で泣くのがどうにも苦手。
中学最後の部活の試合、地区優勝して県大会出場をした時のことを今でも鮮明に覚えています。
私は、ソフトボール部の部長をしていました。
ポジションは、ピッチャー。
打順は3番か5番。
バッテリーを組む友人Rちゃんとは、小学校からの友達でした。
毎日練習に明け暮れ、これが一緒にプレーできる最後の試合かもしれない。
そんな気持ちの中でみんな試合に臨んでいたと思います。
もちろん私も、Rちゃんも。
チームの気持ちは一丸だ、確かにそう思っていました。
地区予選決勝、県大会出場をかけた試合。
見事に勝利した私たちは、ベンチに戻るなり喜びを分かち合いました。
チームメイトと、
「お疲れ様!」「良かったね」
そう言い合った私の気持ちは、
ホッとしたぁ〜。
そんな感覚でした。
周りを見ると目を赤くしている人がほとんどでした。
私と周りの友達たちは、確実に感情の差があると感じました。
なぜそうだったのか、私なりに理由はあります。
私たちが試合をしていた同じ場所で、その30分後には3位決定戦が行われる予定でした。
そのため、事前に試合後はすぐにベンチを空ける必要があると言われていたからです。
部長である私は、同級生から後輩まで全員に声をかけ、ベンチを空けるよう片付けを促しました。
みんなが使ったバット数本やヘルメット、個人のカバンやグローブなど、とにかく忘れ物がないように確認しながら。
一通り確認してベンチ裏に出ると、バッテリーを組んでいたRちゃんが、お母さんの胸で泣いているところでした。
「あ、そうやって泣いて良いのか」
私の頭の中には、母親に抱きついてわんわん泣くなんて行動を1mmも思い付いていなかったのです。
なんだか少し、羨ましい。
ちょうどそこに顔を出した私の母親。
私もRちゃんと同じように母親に抱きついてみました。
泣けなかった。
人並みの感情を曝け出さない自分が恥ずかしかったです。
けれど、先々月、母からの電話で祖父の訃報を聞いた時。
それはそれは子供のように泣きました。
電話口では母も私と同じように、子供のように泣きじゃくっていました。
私は人に涙を見せられる大人になっていたし、母は既に子育ての緊張から解き放たれていたのだな、と安心しました。
涙を見せない美しさもあるけれど、涙を見せれる勇気もまた美しい。
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