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愛ハムと一日でも長く暮らしたかった時の試行錯誤【老ハム介護】


はじめに

2歳8か月と25日生きてくれました ハムチ キンクマ♂

2024年6月28日、生後999日でキンクマの男の子「ハムチ」を看取りました。
その時の介護の記録などをまとめ、これから老ハムの介護が始まる方や愛ハムに同じような症状が出た方などの参考になればと思いこの記事を書きます。

実際自分の家の子の介護が始まった時、藁にも縋る気持ちで様々な事を調べましたが、今のインターネットで以てしても、検索して出てくるのは10年以上前の記事だったり、本当に合っているか疑わしいものだったり、そもそも類似する症例が出てこないということが何度もありました。

ハムスターの飼育に関する情報はイヌやネコと比べて出てきにくい、というのはかねてより感じておりましたが、老ハムの介護となるとここまで情報がないのかと、自分が当事者になってから改めて感じました。

そのため、誰かの役に立てばと思い「ハムチ」の飼育を通じて学んだこと、実際役立ったことをまとめていますが、この記事を書いたのは動物の飼育関連の資格などは持っていない素人です。あくまで「参考程度」にとどめていただき、最終的な判断はご自身でお願い致します。
困った時、迷った時はかかりつけの獣医師さんにご相談いただくなどして、自分の家の子にあった正しい処置をできるよう努めてください。

そもそも「老ハム」っていつから?

ハムスターを飼うのが初めての場合、そもそも「老ハム」とはいつからなのか疑問だと思います。
一般的には、一歳六か月を超えてからが老ハムの定義とされています。

しかし私が過去何匹かのハムスターを飼育してきて感じたのは、個体差がかなり大きいということです。
今回紹介したハムチの場合は介護が必要になったのは2歳6か月を超えたあたりでしたし、過去の子では1歳を超えたあたりから少しずつ老いを感じる子もいました。
一歳六か月というのはひとつの目安にはなりますが、自分の家の子を日々観察し、その時の状態に合わせた適切な飼育をしてあげることが大切だと思います。

ハムスターの「老化」とは

少しずつ老化を感じるようになったハムチ 2歳5か月頃

そもそも、ハムスターの老化はどこで分かるのでしょう?
・食欲の低下
・活動時間の減少
・見た目の変化

の三つのサインを確認していきましょう

【食欲の低下】
・最近エサ皿のご飯が減っていない
・掃除の際回収する巣の中の食べ残しが増えた

【活動時間の減少】
・最近回し車(ホイール)を回さなくなった
・散歩をしたがらなくなった
・眠っている時間が増えた

【見た目の変化】
・寝起きでなくても耳がくしゃっとしていることが多い
・毛が薄くなってきた、毛並みが前より悪いと感じる
・目やにがついていることがある

一歳六か月を超えたハムスターで上記が複数、かつ長期的に認められる時は老化のサインである場合が多いです。

(ちなみに、まだ若年なのに上記のようなサインが現れる場合は、何か病気の可能性があるため病院で獣医師さんに診てもらいましょう。)

自分の家の子の老化をはじめとした変化に気が付けるよう、若い時から日々の健康チェックを習慣づけましょう。

健康チェックって、どこをどう見ればいいの?

ハムスターは喋れないし、不調を隠そうとする生き物です。
そんな子たちの老化や病気のサインを見落とさないようにするには、飼い主の私たちが「いつもと違う」「以前と違う」をいち早く発見する必要があります。家でできる健康チェックで自分の家の子の状態を把握しましょう。

ちなみに私は健康チェックは、年齢関係なく家にハムスターをお迎えして触れ合いが可能になった時期から行うことを推奨しています。

以前Twitterにて上げた実際の健康チェックの様子(動画verです)

【外見のチェック】

【触診】

【おしっこ、うんちでのチェック】

ハムスターの「介護」

【食事】

老化に伴い歯が弱くなったり、以前より食欲が低下する場合があります。
動物たちにとっての食事はそのまま生きる力に直結するため、とても大切なことです。特にシニア期は体重が落ちやすく増えにくいため、食欲の維持=体重の維持=体力の維持がどこまでできるかが鍵になってきます。
2歳を超えていない子であれば、体力の残り具合によっては病院の方でできる処置の選択肢も増えてきます。

今の食事が十分食べられないならば、こちらで変えてあげる必要があります。
シニアのハムスターの食事は「低脂質、高繊維質」を基本に、介護初期~介護後期にかけて状態を見て食事内容を変えてあげられるとより良いと思います。

「低脂質や高繊維質というのはどこで確認できるの?」
パッケージの裏や各メーカーさんのサイトに記載してある【保証成分】の欄で確認できます。若年期のペレットなどと比較して選んでみてください。

ちなみに我が家では若年期にはイースターさんのハムスターセレクションプロ パフォーマンスを、シニア期には同じくイースターさんのハムスターセレクションプロ メンテナンスをあげています。
下記のように配合によって成分の違いがありますので参考にしてみてください。

イースター様のHPより引用

https://www.yeaster.co.jp/d/hspro/

前置きが長くなりましたが、ここからは介護期に実際に与えていた食事を紹介していきます。

【介護初期】
我が家のハムチの場合1か月に5g以上の体重の減少が認められた、2歳6か月より食事内容の変更を始めました。

ペレットを今までのものからハムスターセレクションプロ メンテナンスへ変更→更に水でふやかしてあげる。
高齢期向けのペレットはいくつかありますが我が家は便の出具合も悪かったためより高繊維質だったこちらのものに変更。ハードタイプのペレットなので水でふやかしたりして食べやすくしていました。元々ペレットが好きじゃない子だったので食いつきはイマイチでしたが少しでも口にしてくれたら良い…と思い継続。
水でふやかすと、特に梅雨時期や夏は痛みやすいので食べ残しはこまめに取り除いてあげてください。

チキンペーストやぴゅーれなどの、柔らかく歯を使わなくても食べられるものを食べる練習をしてみる。
食べられるうちはなるべく硬い物を食べてほしいと思っていたので、我が家ではこの時期からの導入となりました。
各社から色々なものが出ていますが、我が家ではイースターさんの「小動物用チキンペースト」が食いつきがよかったのでこちらをこの時期から2~3日に一袋あげていました。

いざ硬い物が食べられなくなってから探すのは食べられる物がなかなか見つからない間不安になると思いますので、なにならよく食べるか把握しておくためにも少し早めの時期から流動食系の食べ物も試しておくといいと思います。

糖分、脂質が低いおやつは少し増やしてあげる。
ハムチの場合は体重の減少が激しかったため、サクサク豆腐やポップコーンなどの、かねてより食いつきがよかった糖分脂質が少ないおやつを少し増やしてあげました。(ハムチは食べませんでしたがこの間は高たんぱくなミルワームや食いつきの良い主食であるハムまんまなども試しました。)
人間も、いっぱい食べても罪悪感の少ないおやつと少しにしておいた方がいいおやつってあると思います。その中の罪悪感の少ない側を増やす感覚です。

若い時期は食べすぎたり食事が偏ると体重がすぐに増えるため飼い主が気を付けてあげる必要がありますが、このくらいの時期からはとにかく食べられるものを少しでも多く食べられたら御の字!という感覚で食事を選んでいます。高齢になるまでに、ご自分の家のハムちゃんの好物を少しでも多く把握しておいてあげましょう。

【介護中期】
2歳7か月頃~ 食事内容を変えてもまた先月より5g体重が減りました。

雑食小動物用パウダーの導入
ペレットよりも更に柔らかくすることもできるイースターさんの雑食小動物用パウダーを購入しました。
こちらをギリギリつまめるくらいの柔らかい団子状にしたものを与えていました。ハムチは結局口に合わなかったようでしたが…


カケシアの導入
我が家ではカケシアを使用しましたが、各種小動物用のミルクでも大丈夫です。ハムチの場合体重の減少が激しかったため、こちらの記事を参考に少しの摂取で高エネルギーを摂取できるカケシアを使用していました。
高齢期には低カロリー低脂質が基本なので、こちらを与えたことが本当に良かったのかは分かりませんが、何かに混ぜやすくこれ単体でもよく飲んでくれるので助かっていました。我が家では初期はチキペーに混ぜて、それも食べられなくなったらサツマイモミルクにしてあげていました。

茹で野菜や茹でたまごをあげる
歯が悪くなったことと食欲がなくなったことで、ほぼ硬い物や穀物類が食べられなくなってきたため、食いつきがよく柔らかく食べやすいものということで、毎晩野菜とたまごを茹でてあげていました。
あげていたのは主にブロッコリー、ニンジン、サツマイモ、トウモロコシなど。かねてよりの好物だったキャベツや豆苗、キュウリ、豆腐などもあげていました。そのうち生のキャベツや豆苗も食べにくそうにしていたため、こちらも茹でて与えていました。
たまごは固ゆでにして、白身の部分のみ。

この頃には食欲の低下が激しかったので、とにかく少しでも口にしてほしくて色々なものをあげていました。柔らかく、香りの強いものがオススメです。

毎晩何かしらを準備してかなり時間と負担がかかりますので、開けてすぐ食べられて更に食いつきの良いチキンペーストにはかなり助かっていました。ペースト状で、香りも強いためひとつ好きなものを見つけられると投薬などの際にも役立つと思います。

イースター様 小動物用チキンペースト
ドギーマン様 腸活生活 ハムちゃんぴゅ~れ
マルカン様 はむはむぴゅーれ
GEX様 ハムテイン
三晃商会様 エナジーバイト ラクトバイト

など各社様々な製品を出されていますので、是非お調べください。

また、私は毎晩生野菜を茹で、裏ごしなどもしていたので使用機会がなかったのですが、初期のベビーフード(いわゆる赤ちゃんの離乳食)もオススメいただきました。調味料不使用、無添加、タマネギなどの入っていないものを選んで使用するのも良いと思います。

【介護後期】
2歳8か月2週間~ 最期の一週間です
この時期には自分で食事をとるのが難しかったため、食事の補助もしてあげていました。また、給水器を使用しての水分補給も無理だったため食事から水分をとるよう意識していました。

サツマイモミルク
うんちがとにかく出ていなかったため、少しでも食物繊維をとってほしく裏ごししたサツマイモとカケシアを混ぜた自作のサツマイモミルクをシリンジで与えていました。ハムスターの口に対してシリンジの口が大きかったので、口元に持っていき少しずつ、少しずつ舐めるように与えていきます。

各種フルーツ
若年期のハムスターには糖分と水分が多いのを理由に多くの果物を非推奨としているサイトもありますが、ハムチの場合食事で水分を摂るしかなかったため少しでも口にできるなら…と旬の果物もあげていました。食べられたのは、ちょうど時期だったライチとメロンを少し。
つらい話にはなりますが、もう先が長くないことを覚悟してからは、最期に少しでも食べる気になれる美味しいものを与えることを意識しても良いと思います。その子の好みによって、プリンやヨーグルトでもいいです。食べられなくなってからは早いので、飼い主様の判断で。

最終手段 糖液の投与
これはもう、ふやかしたペレットはおろか野菜やフルーツ、流動食も食べられなくなってからです。
ハチミツをお湯で溶いたもので食欲が増進した!と言ってくださった方もいましたが、ようはこういう事だろうと私は糖液を選択しました。

通常健康なハムスターは糖分を分解することができないため、糖は摂取する必要がないのですが、何も食べられなくなった場合はブドウ糖液は素早くエネルギーへと変わるため有効な手段です。
私は下記の記事を参考にブドウ糖液を与えていました。
最期の1~2日は糖液を頼りに栄養補給をしていました。

【飼育環境】

足腰が悪くなり、床材に足を取られるようになってから変更したケージレイアウト

老化に伴い、足腰が弱ります。
歩くのが困難になったり、運動性が悪くなり以前のように高低差のあるケージ配置だとケガをする可能性があります。また、我が家の場合は従来敷いていた床材(ごきげん快適マット)に足を取られ何度も転倒する姿を確認していたため、床材を撤去し、歩きやすく段差のないケージレイアウトを目指しました。

一日の大半を過ごす寝床は大きく環境を変えない方がいいと判断し、以前より使用していました綿の巣材を引き続き使用しております。
先が長くないと分かってからは、ハムスターのストレスを最小限にするために巣材や床材は全取り換えではなく、汚れている部分を取り換えるのみにしても良いと思います。活動性が下がり汚れる部分が減るのと、自身の匂いに包まれている方が安心なので。

よく往復する給水機の前(画像右側)にはしっかりとした足場を設置。
しかしこのお皿の上で力尽き寝てしまっている場面も何度か見ました。
夏場とは言え、体温が下がっている状態のため心配だったのでその横にハンカチに包んだカイロを設置しております。(カイロは水に塗れると高温になるので配置にはご注意ください。)

ハムチは亡くなる一週間前ほどから体温が低くなり、ヒーターなどを持っておらず目も離せない状態になりましたので、その時家にあったカイロで適宜あたためていましたが、カイロは水に塗れた際の高温での発熱、ハムスターがかじってしまった場合の誤飲、またカイロに酸素が取られるため周辺の酸素濃度の低下など心配な事も多々あります。
私はこの時24時間体制で介護ができる状態だったのでこの選択をしましたが、この記事を読んでいる皆様におかれましては、早めにヒーターなどを用意されていると老後も安心かもしれません……

【排泄】

以前同じ症状で困っていた方にお送りした資料

我が家では亡くなる2週間前(2歳8か月1週間)あたりから便が詰まるようになりました。
原因は恐らく、老化による食欲の低下で排泄物が元々小さく硬くなっていたところに加え、首元の大きく膨らんだ腫瘍や老化により体が硬くなったことが原因で口がお尻まで届かなくなったからだと思います。

オリーブオイルを使用したり、人間の手による排泄の介護も時には必要になります。詳しくは画像をご確認ください。

最後に

ここまで読んでくださった方はきっと、ご自宅のハムちゃんが愛おしくてたまらない方ばかりだと思います。
命あるものいつかは終わるとは分かっていても、愛するハムちゃんとのお別れはつらいですよね。

ですが、私はハムチを看取った時、私もやれる事はやったし、ハムチも生き抜いた!本当に偉くて強く、美しかった!!と晴れやかな気持ちにすらなりました。
介護はやる事も多く時間も手間もかかりますが、その分お世話させてもらえる事が増える度とても嬉しい気持ちになっていました。

愛ハムが老ハムになることは、きっと悪いことばかりではありません。
ハムスターは突然死も多い中、介護までさせてもらえるなんてとてもありがたく幸せなことだと私は思います。
最期のその時まで、ハムちゃんに愛を伝えてあげてください。

ここまでお読みくださってありがとうございました。
皆様と皆様の大切なハムちゃんのお力に少しでもなれば幸いです。

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