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肩の亜脱臼(反復性肩関節亜脱臼)手術を終えるまで。【亜脱臼癖について】

肩の亜脱臼癖がついた理由については、前の記事で書いた通り妹を殴ろうとした拍子に、勢い余って外れてしまったからだ。

それからというもの、合計で20回以上は肩が外れ続けていたと思う。自業自得という議論はいったん置いておいて、僕の大事な方の話をしようと思う。もちろん、それまでも整形外科にかかったものの、根本的な治療は手術をすることでしかできない、と聞かされていた。

ただ、手術をしないまでも肩を外れにくくする方法というのはあるらしく、インナーマッスルを鍛えることで、それが可能になるときいた。何回か挑戦してみたものの、いまいち目に見える効果が表れにくく、ふとした振りかぶりの動作で外れることが継続していたので、インナーマッスルを鍛えるのは嫌になってしまった。

そもそも肩が外れる、というのはどういうことか。
簡単を極めて言えば、腕の骨が通常の位置からずれてしまう状態だ。例えば、あなたの右手を握りしめてこぶしを作ってほしい。そのこぶしを覆うように左手で覆う。この状態が、通常の腕の状態。右手が腕(肩)で、左手が肩甲骨。

この正常時から、右手がボコッと外れてしまうのが脱臼。

一方で亜脱臼は、外れはしないけど、正常時からずれてしまっている状態。僕はこの亜脱臼の癖がついてしまっていた。亜脱臼と脱臼の最大の違いは、自然と治るかどうかだと思う。
脱臼は完全に外れてしまっているので、医師なり、自分なりで整復しないと元には戻らない。だけど、亜脱臼はいわば「外れかけ」の状態なので、痛いのを我慢し続ければ自然と元の位置に戻る。逆に言うと、自分で元に戻す方法がわからないから、自然と治るまで悶絶し続けてしまう。経験した人にしかわからない痛さだと思うけど、無理やり例えるならタンスの角に足の小指をぶつけた痛さの10倍の痛みが肩にある感じ。長い時だと5分くらい。

こんな爆弾を抱えながら、10年くらい生きてきた。なるべく振りかぶるような動作を避け、腕を早くうごかすような生活はせずに。それでも、不注意や予期せぬことで肩は外れてしまう。何度も手術をしようと思ったけど、やはり実行に移せなかった。その理由は大きく3つある。

1つは、手術をするためには入院をしなければいけないこと。
大体術前入院で1日、手術から退院まで3~4日。合計で5日間ほど入院する必要がある。もちろんその間、学校や会社には行けない。絶対安静なので、メールも手術をしていないほうの腕でしか打てない。デスクワークなんてもってのほかだ。これは、かなりの障壁だった。社会人にとって1週間を休むというのはかなりハードルが高い。

2つめは、退院後の制限だ。
手術が終わり、退院できてもその後3週間は三角巾のようなもので腕を固定し続けなければいけない。その間、パソコンはもちろん携帯も触れない。というか、着替えひとつとってもかなりの時間と労力がかかる。手術をした腕は使用禁止のため、力を抜いてだらんとさせた状態でTシャツを着たり、脱いだりしないといけない。

3つめがお金の問題だった。
亜脱臼の手術をするのに、入院から退院までで大体30万円前後かかる。そして、退院後のリハビリや診察でプラス5~10万くらい。(交通費などもろもろ込みで)まあまあな大金をかけなけば、脱臼癖とはおさらばできない。そう考えたときに、人は天秤にかける。40万かけて、脱臼しにくい肩にするか。このまま年を取っていけば激しいスポーツはしなくなるし、体も固くなるので脱臼しにくくなる。だから、この肩と一生付き合っていくか。

この3要素が常に付きまといっていて、手術に踏み切れない期間が続いていた。
ただ、あるタイミングが来て、無事に手術を受けることができた。結果的に言えば、手術を受けてよかったと思う。だから、肩の脱臼で悩んでいる人や、手術を迷っている人に向けて、少し書いていこうと思う。



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