仕事中の電気工事士

㉝私の評価2

㉜私の評価1からの続きです。
新しい仕事に就くと通常3ヶ月の試用期間がある。これを『probation period』と言います。そのへんは日本もカナダも同じだと思う。そしてこの期間を無事に過ごせれば本採用となり、契約を結ぶ手続きをする。例えばベネフィットが付き始めるのです。

簡単に言えば歯医者や薬などの医療費の他に、マッサージや鍼や整骨など、めがねや補聴器などの補助。それに『RRSP』という退職貯蓄プランを給料のパーセンテージで会社が補助してくれる場合もある。これは税金も安くなるので非常にお得なプランです。特に歯の治療費が異常に高いカナダでは歯科治療のベネフィットは死活問題といえましょう。

一例として親不知を4本同時に抜く必要があり、カナダの歯医者ではその治療費がなんと何と80万円とでました。そこで日本に一時帰国をして短期滞在で住民登録を済ませて国民健康保険証をゲット。めでたくその費用数万円プラス飛行機代で60万円近くもの歯科治療費を浮かせたという話です。

とは言えこれらはある程度の規模である会社でないと補助は出ません。前の店番のときはこういったベネフィットは皆無だったのです。個人の店では限界がありますが、スターバックスコーヒーはそういう意味では世間の常識を破った革命的な会社だと思います。

話は戻って、私の試用期間が無事に済み、本採用の日には先の面接をしてくれた社長代理がわざわざここのショップまで駆けつけてくれました。本採用の書類とベネフィットの書類を受け取り、これまで給料のほとんどを歯の治療代に充てていたがこれが大幅に軽減される。私はこの一連の流れに感謝をしました。

社長代理が手土産として会社が手続きをしてくれて目出度く『1st Year Apprentice』となり、必要なログブックとクレジットカードよりもう一回り大きい登録証明書を受け取りました。そこにはこれから生涯にわたって使う電気工事士としてのIDナンバーが記録してありました。

そしてその社長代理は課長から聞かされている私の仕事ぶりを聞いて、わたしのことを褒めてくれたのです。無論私を採用した彼の目に狂いはなかったということも喜んでいたのでした。カナダに住み始めておおよそ10年目にして、やっと将来を見据えることの出来る仕事に恵まれました。

社長代理、課長、課長代理のマイクの4人で嬉しそうに話していると、その話をあまり面白くないように聞いている人が若干一名いました。⑭初出勤、其の四で登場した先輩アペランティス3年生のマイクの存在。さすがに年齢が若いために私のような年上の東洋人が、仕上がりのよい仕事を褒められているのを黙って聞いているだけでは気が済まなかったらしい。


間もなく始まるカナダの職場での微妙な嫌がらせも仕方ないことなのだろう、、、

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