仕事中の電気工事士

⑩スカスカの女、前編。

たまには箸休めならぬ笑える話でも、、、

カナダの生活にも慣れてきて仕事も始めると、次に目が行くのはやはり異性だと思う。仕事をしていなくても気になるのだが、失業中でアプローチしてもそれほどの効果は期待できないような気がする。

カナダで「俺は仕事をしている」は、立派な口説き文句として価値があるのを知った。基、やはり私の場合は求職を頑張るべきだ。

丁度その頃、ワーキングホリデーで来た数多くの人と知り合った。中に一人かなりの美人がいたので、当然気になって仕方がない。何とかお知り合いになりたかったが、あまりに美人なのでどうしても近寄りがたかった。

程なく、知らない振りをしていても話す機会と言うものは訪れるものだ。そういう時はどうしても普通を装う(今まで話すチャンスがなかっただけだよ~)という感じで振舞う。もっとも長年美人をやっている人はそんなことは百も承知だろう。くそ~

何時だったか覚えていないけれど、特別な日があったので「おしゃれなジャズ・バーがあってさ。一緒に行ってみない?」と、意を決して誘ってみた。そうしたらあろう事か、この美人は私の誘いに一つ返事でオッケーをした。

店の中心にあるグランドピアノを囲むようなカウンター席。二人でそこに座りおしゃれにカクテルなどを注文する。ちなみに私はあまり酒を飲めないため、バーで何を注文していいのか分からないのだ。

流石は長年美人をやっている人は違う、私の様子をすばやく察して彼女はお勧めの飲み物を注文してくれたのだ。大体飲めもしない私がジャズバーへ行っても、普通にビール一本で顔を真っ赤にしてしまうのだ。

そのうちに酔いが回ってきて(私だけ)お腹も空いてきたので、すし屋へ行くことにした。察しのよい人ならもうお分かりだろう。

日本語の通じる店でないと男としての面子が立たないのだ。

そうでないと昔話題になった成田離婚になる。

周囲が日本の文化に変わってくると、私の緊張感も次第に溶けてきた。そうなると饒舌になるのだが、この辺から彼女の様子も変わってきた。彼女も私の話に乗ってきたのだ。やはりデートは男が主導を取るべきだろう。

こうなってくるとお互いの距離も近づき、話もどんどん弾んでくる。

次第に彼女の話しぶりも分かってきたのだが、、、

もちろん私の頭の中にあったことは、この後どうしようかと言う点である。


こういうときに日本ではお泊り施設が充実しているのがうれしい。

あまり悩むことはない。

二人でそのまま突き進めばよろしい!

しかし私の場合の「この後」は、別のことを意味していた。


その昔日本で電車通勤をしていたある時、お年寄りと若い女性の会話が聞こえてきた。その女性は満員電車の中でご老人の男性に席を譲っていたのだ。


話が逸れながら⑰スカスカの女、後編へ続く








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