#毎週VALIS感想 - 015 ◆ 革命バーチャルリアリティ

作詞作編曲カンザキイオリさん。イントロのピアノのリフレインが印象的な、VALISの大人気楽曲の一つ。

VALISサーカスショーの一連というテーマのMVは、メンバーの能力を生かしたサーカスが描かれる。超常現象でもそれは同じだったが、あちらは単体での能力紹介に対し、こちらは今度はそれを生かして連携が取れるようになっている。「上達」したことが表れており、VALISショーの全盛期だ。ーー尤も、ストーリー的にこのあとこの全盛が彼女らに疑問を投げかけることになるのだが。

耳に馴染みのあるピアノのメインリフと四つ打ちと、随所に挟まれるピアノのフレーズから、バレエのような格式高いダンスが頭をよぎる。「人形は綺麗に踊れて当然」というメタファーもここには込められているのではないかと邪推すらしてしまうが。ダンスやポーズの随所に糸で操られているような表現も見られる。

タイトルからある通り、歌詞は非常にメタいものになっている。ヴァーチャルとリアルを行き来するサーカス団であるVALISだからこそのメッセージである。「妄想側へおいでよ」と、ヴァーチャルの世界はいいぞと呼び込んでいる革命の歌である。

しかし、よくよく読んでみると、現実世界のぼくらヴァンデラーがいなければヴァーチャル世界は存在し得ないという歌にもなっている。力強い勇気をもらう歌であり、彼女たちがまたぼくらと繋がっていることを示す歌なのである。

一番では観客目線のステージ、こちらへおいでよと手招きをされるが、二番ではステージ目線の映像に。これは「覚醒」のほうでも同じ演出がされており、鳥かごというリアルに雁字搦めになっている一番から、二番ではそこから脱して取り囲むように踊っている(ちなみに、鳥かごの演出は後に続く再構成ウィーバーでも登場する)。

そして、最後のサビでは転じて、モニター越しに観ている「そんな現実」がヴァーチャルになっている。革命は起きたのだ。

しかしよく見ると観客席には誰もいない。視線には晒され続けるが声援を直接浴びることはなく、そして「オリジン」である本当の自分をさらけ出すことができない、そんな孤独な存在でもあることを示唆しているように思える(いまはオリジンでのステージも増え、すっかり過去のストーリーである)。

アウトロではさらにそんなステージの様子を、オリジンの手が映されることで、革命で生まれ変わった様子が表されている。最後の Sow a character 〜は有名な一節で、人格が変われば運命が変わる、という意味だ。人格、というのがVTuber的には非常にメタい内容だが、彼女らはそうやって生まれ変わったのだと、それこそが最初の革命なのだと、この歌は教えてくれる。

妄想側へおいでよ、VALISはいいぞ。

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