9.天河さんから、さらに修験道の深みへ。
4年前に、iPhoneに行く先があらわれた、奈良の旅に戻ります。
「天河大弁財天社に、呼ばれた。」なんて、おこがましいことは思わないけれど、
今回、天河さんにお参りさせていただいて、
今まで私なりに歩んできたこと、
崩壊して新しく再生しているような行程を
労ってもらっているような、
そうだったらいいなあと、感じていました。
もちろん、他の人には
「朝、起きたら天河大弁財天社までの車でのルートが表示されていたから来たのです」
なんて説明はせず。(説明はできない。。。)
お宿に到着したのは、天河さんをお参りして、夕刻前ぐらい。
ご主人は、とても親切にしてくださり、
温泉に入りたいという私の言葉に、ご近所でおすすめの温泉を教えてくださいました。
運転でかちこちになっている身体を癒そうと、
でも、あまり暗くならないうちに、と車で出かけて、到着すると、
教えていただいた温泉は、なんと絶賛改装中。
うわあ、どうしよう・・・
温泉気分に浮かれていた子どもたちの手前、
ドキドキしてきました。
お宿のお風呂は、今日はいただきません。と宣言してきたばかり。
温泉気分満々だった私たちは、すぐにネットで他の温泉を探します。
ありました。ありました。
しかも薬湯温泉。すてきです。
そこは、もっと山中になりますが、ここから行かれない距離ではありません。
ナビを設定し、すぐに出発。
大丈夫。まだ日は明るい。
山道を運転しながら、とある、行き先表示の看板に釘付けになりました。
「栃尾観音堂」
<江戸時代は、延宝3年(1675)。大峯の地で修行中この地を訪れた円空が、栃尾の集落の小さな祠にこもって彫ったといわれる聖観音菩薩立像、大弁財天女立像、金剛童子像、護法神像の4体を安置する観音堂です。元はもっと奧の谷にありましたが、明治時代の台風で流され、現在地に移りました。観音堂の仏像はいずれも微笑みの表情が見られます。小さな観音堂ですが昔より栃尾の集落に暮らす人々に信仰されています。>写真と、紹介文は、日本遺産 吉野 HPより
天河さんの他に行かれるならば、こちらの観音堂に伺ってみたいと思っていた場所。
でも、日程の関係で、今回は、行かれないと思っていたのです。
「栃尾観音堂」の表示に驚いて、車を停止し、
道を確認しながら、駐車場へ。
(写真は、天河村観光案内HPより)
興味のある方は、Lineトラベルjpさんの、
「その微笑みに魅せられて!円空仏を安置した奈良 栃尾観音堂」のページを観てくださいね。とても美しい円空仏の木彫りの観音さまの写真が詳しく掲載されています。(なぜか、URLが紹介できないのです)
駐車場に停めて、お堂の中に入り、全身鳥肌が立つ中、
手を合わせました。
じんわりと涙がこみあげます。
こちらの円空仏は大峰山で厳しい修行に明け暮れていた時代に彫られたものといわれていて、4体の円空仏が並んで安置されています。
そのお顔はどちらも、安寧の優しい表情。
しばらく、手を合わせ、ありがたい時間を味わっていました。
お宿のご主人が教えてくれた温泉が改装中でなかったら・・・
その場で行き先を変更していなかったら・・・
この道を通っていなかったら・・・
地理に詳しくない私が、
行きたかった場所「栃尾観音堂」にはたどり着けなかったでしょう。
まるで、ご褒美のように、
観音堂に導かれるように辿り着けたことが
半ば信じられなくて。ありがたくて、ありがたくて。
その後の温泉地へは、山道で、帰りは真っ暗だったのですが、
護られているような安心感でいっぱいで怖い思いをせずに無事に帰ることができました。
しかも、薬湯温泉!きもちよかったのです。
(写真は、天河村観光案内HPより)
薬湯でとても癒された翌朝のこと。
お宿のご主人とあらためてゆっくりお話させていただきました。
お世話になった、天河村のお宿のご主人の目にも、きっと不思議な親子の旅だなあと映ったのだと思います。
だって、世間は、学校がある時期の平日。
繁忙期には予約が取れないというこちらのお宿も、私たちで貸切だったのです。
朝食を準備されながら
確か、旅の目的のようなことを尋ねられたのだと思います。
「お参りさせていただきたくて、来ました」
幼稚園と小学校低学年の子どもたちと一緒に、
神奈川県から奈良県まで、車で「お参りの旅」へ。
すると、天河村の洞川(どろがわ)という地域の、
暮らしの中に息づいている信仰のさまを
教えてくださいました。
昨日、おまいりした、大峰山龍泉寺さんでの護摩炊きの様子
日常にあふれる般若心経のこと。
中学生の男子が護摩?を背中にさして、通学路にあるお寺さんに毎朝
般若心経を唱える様子。
村に暮らす高齢のお姉さんたち(と、表現されていて素敵だと思った)が
とても元気なのは、毎日大きな声で般若心経を唱えているからだと思うということ。(声を出すってとても元気になる)
そして、この村を舞台にした児童文学があること。
「菜の子ちゃんと龍の子」福音館創作童話シリーズは、
児童文学作家の富安陽子さんの作品です。(写真は、Amazonページより)
作品紹介(Amazonページより)
「修験道のメッカ・大峰山の麓にある村の小学校に、ある日突然、不思議な転校生・山田菜の子ちゃんが現れます。秋祭りの夜、地元の少女トキ子は、菜の子ちゃんとともに、龍の子が天に昇るのを助けようとします。燃えさかる大護摩の炎、鳴り響く法螺貝。こわい目にもあいながらあと一歩のところまできましたが、そのとき、龍の子を運ぶ頼みの風がぱったりやんでしまいました。さあ、このピンチを菜の子ちゃんはどう切り抜ける! ?」
長男は、紹介してくださった本をさっそく読ませていただいています。
聞けば聞くほど、
<祈り>の開祖と言われるようなこの村の魅力に、
どんどんひきこまれていく私の様子を感じてくださったのだと思います。
本当におまいりのためだけにこの地に来た不思議な親子に、お宿のご主人が、教えてくださったのがこちらでした。
「そうですか・・・
それなら、よかったらこちらにもお参りしていってください。」
紹介してくださったのが、
修験道の開祖や、
高僧の役行者、様々な修行僧が
最後の業の締めくくりに、こもられた山。
有名な漫画家さんがご寄付をされた、という
とても立派な山門があり、
そして、日本の国をほんとうに良くしたいと考えている政治家の方々が
お参りされるのだという場所。
女人禁制の修験者のための山。
そして、月日が経ってから、
私は、「天河大弁財天社」さんへというよりも、
このお宿のご主人が教えてくださった、
こちらの修験道の開祖の場所に行くことが目的だったのだと
思い知ることになります。
もうすぐ、3000文字になってしまうので、続きはまた明日。
今日もお読みくださり、ほんとうにありがとうございます!
愛しい日々を。
咲多美唯喜