【レトロゲーム・レビュー&解説】#001 重装機兵ヴァルケン【みろく☆クロニクル】
■重装機兵ヴァルケン
・機種:スーパーファミコン
・ジャンル:アクションシューティング
・発売日:1992年12月18日
・販売:メサイヤ
・開発:メサイヤ
■はじめに
このわし、浮御堂みろくがこよなく愛するゲームとその魅力を紹介する企画、それが369クロニクルじゃ。
まあ、あくまでわしの独断と偏見じゃが、皆が興味をもってプレイしたり語り合うきっかけになれば何よりじゃ。
元々はYoutubeチャンネルの動画向けの内容じゃが、記事化にあわせて若干補足・修正を加えつつ、だいたい10分程度で読み終えるようにまとめたものなので、ご承知おきいただきたい。
■概要
今回紹介するのは、「重装機兵ヴァルケン」じゃ!
本作は、1992年12月18日にスーパーファミコン用ソフトとして、メサイヤから発売された、横スクロール形式のアクションシューティングじゃ。
「機動戦士ガンダム」や「装甲騎兵ボトムズ」などに代表されるリアルロボットアニメを意識したストーリーや演出、世界観、そして何よりその完成度の高さから、ロボットアクションのゲームの傑作と呼ばれる作品じゃ。
全7ステージの構成となっており、途中の展開でエンディングは2種類に分岐する。
1990年に発売されたメガドライブ用タイトル「重装機兵レイノス」と同じ世界観であり、ゲーム性は多少異なるが、基本的には続編と言えるのじゃ。
■ストーリー
西暦2093年、月面の資源採掘権を巡って環太平洋合衆国と欧州アジア連邦で第三次世界大戦が勃発した。
一旦は休戦し外宇宙探査艦隊を結成するなど協調の動きもあったが、火種はくすぶり続け、西暦2101年に「グラハム号事件」をきっかけに両国の間で第四次世界大戦がはじまった。
戦場の主役となったのは、戦車の火力と戦闘機の機動性を持つ有人ロボット兵器、アサルトスーツ。
合衆国兵士であるジェイク・ブラウン中尉は、合衆国が開発した新世代のアサルトスーツ・ASS-117ヴァルケンを駆り、最前線へと赴く。
という感じで、まさにガンダムっぽい世界観じゃな。
■開発スタッフ
本作のプロデューサーは、のちに「フロントミッション」シリーズや「アークザラッド」シリーズを生み出した土田俊郎氏。
ディレクターの鈴木英夫氏は、後に「フロントミッション・ガンハザード」や「カルドセプト」シリーズを手掛けている。
このお二人は前作である「重装機兵レイノス」も手掛けていて、そのコンセプトを引き継ぎつつ、長所や短所を見極めてヴァルケンへと発展させた立役者と言えるじゃろう。
さらに、グラフィックデザインは「ジノーグ」「カルドセプト」でその個性を発揮した仲井さとし氏、そしてキャラクターデザインは「ラングリッサー」シリーズで有名なうるし原智志氏が担当しているのじゃ。
音楽は、メサイヤ初期から数々の作品に関わり、前作レイノスにも参加していた元ガブリンサウンドこと、オーパスが手掛けている。
PCエンジンやメガドライブで次々と良作を生み出していたメサイヤの全盛期ともいえる布陣じゃな。
■魅力①「ロボットアクションゲームとしての『気持ちよさ』」
スーパーファミコンの6つのボタンをすべて使用するほど、使うボタンの数が多いので、最初のうちはどうしても慣れるのに時間がかかるというのは否めない。
しかし、ローラーダッシュや防御などの操作のレスポンスやSEが良いので、上達具合がとてもわかりやすいのじゃよ。
最初はまさに戦場に出たばかりの新兵のようにぎこちないが、ローラーダッシュやショット角度の固定を使いこなせるようになっていくと、実戦経験を積んだベテランのような動きができるようになっていく。
また、キャラクターの動きが非常にリアルっぽく仕上げられているのも素晴らしいのじゃ。
例えば、バーニアの時間が切れたあとの自由落下の動き、着地したときに自重で一瞬沈み込む脚部、ローラーダッシュを止めた時の慣性など、ロボットの動きとして納得できる不自由さが、むしろそれを利用してカッコよく動かせたときの気持ちよさにつながっていると思うのじゃよ。
プレイを重ねるうちに慣れていき、ローラーダッシュで一気に敵に近づいてパンチで倒したり、ショット角度を固定して相手に攻撃しながらホバーで後退するなど、自分なりの「魅せる」プレイができたときの気持ちよさがたまらないのじゃ。
最大4種類、隠し武器のナパームも入れると5種類の武器もそれぞれ強化することができ、最大レベルの溜めパンチの威力や極太レーザーで敵を倒すのもなかなか爽快感がある。
もちろん有利な武器、使いやすい武器はあるが、パンチ攻撃主体でクリアする、あえて使いづらいミサイルを使うなど、独自のプレイスタイルで繰り返し遊べる奥深さ、懐の広さが素晴らしいのじゃよ。
■魅力②「リアルロボットものとしてツボを抑えたシナリオと演出」
リアルロボットアニメといえば、代表的なのはガンダムやボトムズといった作品のように、兵器としてのロボットと、それを操る兵士の物語といえる。
前作レイノス同様、それらの有名作品のエッセンスを非常にうまく取り込んでいるのがヴァルケンの特徴じゃ。
大気圏突入や隕石落とし、仲間の戦死、ライバル的な敵キャラの存在など、リアルロボットアニメ好きにはたまらない多彩な展開でプレイを盛り上げてくれるのじゃ。
敵のボス的なキャラとの会話が繰り広げられる中での戦闘シーンは、ガンダムなどの作品が好きな人ならきっと燃えること間違いなしじゃ。
プレイを止める会話とそうでない会話のチョイスが絶妙で、ゲームのテンポの良さを殺さずに、むしろテンションを高めてくれるのじゃよ。
また、細かいドット絵のモーションにも注目してほしい。
敵を倒すとパイロットが逃げ出したり、生身の兵士が攻撃してくるなど、「戦争」を感じさせる演出は、なかなか他のゲームにはないインパクトがあるのじゃよ。
特に、海外版では削除されてしまったという大統領との対面シーンや、エンディングなどのドット絵キャラクターの演技は、ビジュアルシーン全盛の今のゲームにはない想像力を掻き立てられ、一見の価値があると思うのじゃ。
■魅力③「戦争のリアルさを感じさせる骨太なストーリー」
「戦争」の描き方についてのこだわりもヴァルケンの魅力の一つじゃ。
主人公は英雄的な存在ではなく、特別な兵器や能力もない、あくまで量産型兵器で戦う一兵士という視点でストーリーは進む。
ゲーム中での主人公の活躍も、大きな戦争の流れの一部でしかなく、ほんの少し被害を減らしたり敵に損害を与える程度でしかないのじゃ。
もちろん戦う相手も悪の集団というわけでなく、仲間同様にそれぞれの立場や考えがあり、信念を持って戦っているように描かれているのじゃよ。
悲しみや怒り、エゴをお互いにさらけ出して戦うという、まさに「戦争」を描いた物語は、アクションゲームと思えないほど奥深くて、わしは大好きじゃ。
多くを語らずというか、あえて結論を安易に表現せずに現実のみを提示することで、真実や是非はプレイヤーに委ねるというのも、ひとつのフィクション作品として非常に素晴らしい。
特に、戦いの結果は同じでも、まったく違う印象を与える二つのエンディングは必見じゃ。
■まとめ
ヴァルケンが凄いのは、これらの要素が絶妙なバランスで構成されていることじゃと思う。
ゲームというのは、ゲーム性はもちろん、ストーリーや演出、難易度など複数の要素のバランスをどう調整するかで完成度が変わる。
このヴァルケンはそういう意味で非常に完成度が高いゲームだと、わしは思うのじゃよ。
実際、前作「重装機兵レイノス」で不評だった難易度の高さや、武器の種類が多すぎてわかりにくいなどの要素はしっかり見直されている。
そのうえで、「一兵士の視点」「正義も悪もない戦争」というテーマは残し、プレイフィールを向上させるという選択をしたことは、本当にすごいと思うのじゃ。
難易度が低くて飽きる、という意見もあるが、プレイヤーが自分でロボットをカッコよく動かすという楽しさを堪能するには、これくらいの難易度でよかったとわしは思うのじゃ。
似たようなアプローチのゲームは多々あるが、ゲームとしての面白さやテンポなど総合的に絶妙な完成度でヴァルケンを上回る作品は少なく、今でも十分に通用する価値があると思う。
時代を超えて今でも楽しめる、未プレイの方はぜひ実際に自分でプレイしてみてもらいたい名作じゃ。
それでは、今回の369クロニクルはここまでじゃ。
次回もよろしくな。
■最後に
「重装機兵ヴァルケン」は長らく移植に恵まれなかったが、2023年3月30日に「重装機兵ヴァルケン DECLASSIFIED」という名称で、Switchにてダウンロード形式で移植作が販売され、現在も販売中じゃ。
移植を手掛けたのは、レトロゲームの移植では定評のあるエムツーが担当しているため、移植度も高く、ステートセーブ・ロードなどの機能も充実している。
興味を持った方にはぜひプレイしていただければ幸甚の至りじゃ。
また、369クロニクルで取り上げたゲームは、プレイ動画も公開中じゃ。
実際にプレイしながらより深く紹介しているので、興味をもったらぜひ観てくれると嬉しいのじゃ。
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