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[大山阿夫利神社+牛嶋神社+佐久奈度神社] 叱咤激励する神、融合する神、罪や穢れをとる神
祝詞には六根清浄大祓という人間の知覚である眼・耳・鼻・舌/口・身・意/心の六根から入り込む諸々の罪や穢れを祓い清める祓祝詞があります。この祓祝詞を奏上すると不思議なことに、身の疲れや心の不調から解き放たれる解放感を感じます。
また祝詞は、言霊となり、物事を具現化していくポテンシャル、すなわち潜在能力や可能性として人間を動かす原動力にもなります。
祝詞の源には神々が存在しており、その祝詞を通して私が出会った神々をご紹介していきます。
大山阿夫利神社(おおやまあふりじんじゃ) ー 神奈川県伊勢原市
山の神 大山祗大神(おおやまつみのおおかみ)、火雷の神 大雷神(おおいかずちのかみ)、そして水の神 高龗神(たかおかみのかみ)が御祭神として祀られている。
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大山祗大神には二人の娘がおり、その一人である木花咲耶姫が富士山の御祭神として祀られていることより、大山と富士山の両方の神様を参拝する「両詣り」が流行ったとされる。
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水にまつわる御祭神 大雷神や高龗神は雨乞いの神様として古くより信仰が厚く、雨降り(あめふり)が転じて社名の阿夫利(あふり)となったとされる。
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境内への階段を登り始めた瞬間、鞍馬寺と同じように大山には天狗のエネルギーを感じます。鞍馬の天狗さんは目標に向かって切磋琢磨させるような、試練を与えて可能性を伸ばすエネルギーですが、大山の天狗さんは褒めて能力を伸ばすといった伴走型コーチングのエネルギーです。
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大山の中腹にある大山寺へも足を延ばしてみたところ、このお寺は大山にて修行をする修験者が無事、修行を終えることを助けるエネルギーでした。
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四国八十八のお寺と同じような佇まいをもつ大山寺は、奈良 東大寺の開祖 良弁僧正が開山後、弘法大師も修行をされたようで、今でも多くの修行者が後を経たず、山や水の神々を祀る大山の叡智を会得するために、大山を訪れる理由が分かります。
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大山という大地に大きなエネルギーが宿っていることを証明するかのように磐座にまとわりつく木々を見ながら、この土地に招かれたことに感謝をしました。また、この土地に導かれる方は自分の中にある潜在的な能力を開化・開発するために必要なエネルギーを頂戴するためです。訪れようかと躊躇しているようでしたら是非、機会を逃さず、今すぐ訪れてください。
牛嶋神社(うしじまじんじゃ) ー 東京都墨田区
かつては牛御前神社(うしのごぜんじんじゃ)として、御祭神には神仏習合の神 牛頭天王(ごずてんのう)と同一視される須佐之男命をはじめ、天之穂日命(あめのほひのみこと)と貞辰親王命(さだときしんのうのみこと)が祀られており、除災招福や五穀豊穣の神徳があるとされる。
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明治以後、牛嶋神社と称するようになり、その所以には慈覚大師の前に須佐之男命が老翁の姿で現れ、その託宣により建立したとされる。
明神鳥居の両脇にさらに鳥居を組み合わせた三輪鳥居と言われる奈良県 大神神社にある三ツ鳥居(みつとりい)から名づけられた鳥居があり、夏至の日の出、春分・秋分の日の出、そして冬至の日の出には、この三輪鳥居を通して太陽を遙拝してきたのではないかとされ、三光の鳥居とも言われる。
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自分の体の悪い部分をなでた後に、撫牛の身体の同じ箇所をなでると、悪い部分が牛に移って病気が治るという言い伝えより、病気だけではなく、心の病、そして諸願成就にも効力があると開運を求めて牛の体をなでにくる参拝者が後を絶たない。
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大神神社と言えば、崇神天皇の夢枕に大物主が現れて、自分の子孫である大田田根子に自分の御霊を三輪山に祀ってほしいと神託をされたことが有名であり、また三輪鳥居と言えば、檜原神社のように天照大神が伊勢の地へたどり着くまでの頓地として最初に滞在された場所としても知られており、そういった崇神・垂仁の御代を背景に、この牛嶋神社が古墳時代からのエネルギーを脈々と受け継いていることが分かります。
更に須佐之男命や、須佐之男命と天照大神との誓約により生まれた天之穂日命、そして第56代 清和天皇の御子である貞辰親王命が祀られていることより、天津神だけではなく、天津神が国津神となり、そして国津神が天津神に国を譲り、最終的には融合するといった融和や友愛のエネルギーが流れています。
牛嶋神社を訪れるタイミングとして、これからの人生に変化が欲しい方や、すでに変化が多く起こりすぎて、その変化への対応方法が分からなくなっていまっている方、或いは変化を作っていきたい方が訪れると良いです。様々な変化を体現されてきた、或いはその変化の中で生まれてきた古墳時代の神々が私たちを私たちが進むべき道へ導いてくださいます。
佐久奈度神社(さくなどじんじゃ)ー 滋賀県大津市大石中町
第38代 天智天皇の勅願により祓戸大神を祀ったことが創始の謂れとされ、平安時代には天皇の厄災を祓う七瀬の祓所の一つとして崇敬される。
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祓戸大神とは、瀬織津姫命(せおりつひめのみこと)、速秋津姫命(はやあきつひめのみこと)、気吹戸主命(いぶきどぬしのみこと)、速佐須良姫命(はやさすらひめのみこと)といった伊邪那岐命が黄泉の国より帰還した際に、禊を行い、その時に化成した神々の総称である。
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また七瀬の祓所(ななせのはらいどころ)とは天皇の災厄を人型に移して、七人の勅使がその人型を七か所の水に流す、もの祓いの儀式として行い、鎌倉幕府もそれに習い、鎌倉に七瀬祓を選定したとされる。
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古来より、瀬田川の激流があらゆる罪や穢れを洗い流すとされ、また、天照大神が祀られる皇大神宮 伊勢神宮へ参拝する前には、瀬田川で禊ぎをすることが慣わしとされたため、忌伊勢(おいせ)という伊勢へ詣でる際の祓所が訛り、大石という地名になったと言われている。
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祓戸大神 四柱が勢ぞろいで祀られている佐久奈度神社は全国でも珍しく、その発起人となるのが近江朝を開いた天智天皇です。天智天皇と言えば、推古を母に、天武の兄であり、持統の父であり、また中大兄皇子として乙巳の変では蘇我氏を滅ぼした後、白村江の戦いでは百済を助けようと大敗するといった、歴史的には波乱万丈な天皇と言えます。
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天智天皇が日本初 漏刻を用いて大津宮にて時報を開始したと言われている
またその最期も数奇な運命として、ある日、山科の山中で狩りの途中、忽然と姿を消してしまい、捜索の結果、天智天皇の沓(くつ:靴)だけが見つかったため、その地を墓として、今の天智天皇 山科陵が作られたそうです。
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そういった紆余曲折する生き方をしてきた天智天皇が常々、身に降りかかる穢れを祓うだけではなく、己からでる穢れを禊祓うことにとても注力していたことが手に取るようにわかります。
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祓戸大神となる四柱の神様には各々に異なる役割があり、瀬織津姫は川を司る神として罪や穢れを流し、そして速秋津姫はその川より流れてきた罪や穢れを海の神として海底で飲み込み、そして気吹戸主は風の神としてその海底に飲み込まれた罪や穢れを地底である根の国・底の国へ吹き飛ばし、最後に、地底の神である速佐須良姫が根の国・底の国に貯められた罪や穢れをさすらいながら消滅させると言われています。そしてその根の国・底の国が根堅州国(ねのかたすくに)と言われる黄泉の国であり、伊邪那美が居るところというわけです。
人には相談できないような心に重荷を持っている方や、自分がやらかしたと反省するような行動・言動をしてしまい、心がその罪の意識で苛まれている方は佐久奈度神社を訪れてください。古代の天皇たちも訪れたという祓戸の大神様が必ず、一人ひとりに必要な禊祓いをしてくださいます。
私たちは高次である宇宙へつながればつながるほど、よりパワフルな引き寄せの法則を体現することができ、ひいては物事を動かすために必要なエネルギーを養います。そのエネルギーをつかみ取るためにも、中今(なかいま)を生きることです。中今とは過去を振り返らず、未来へ望みを託すこともなく、今に向き合い、今を全力で生きることです。高次へつながることは容易いことではありませんが、成し遂げた先には必ず、浄土があります。常に中心は私であり、あなたです。
今を大切にお過ごしください。