一般墓と樹木葬墓の需要
5月10日(月)に「墓地経営と市民ニーズ」というテーマでご僧侶向けのオンラインセミナーを開催いたしました。今後の墓地経営を考えるときに、市民のニーズを理解するという点で様々なお話をさせていただきました。
その中で、「今のひとたちはどんなお墓を求めているのか?」ということについて、具体的な数字を上げてご説明したのですが、非常に多くの反響をいただいたので、こちらのnoteでもお伝えしたいと思います。
こちらのグラフは株式会社鎌倉新書が実施した「お墓の消費者全国実態調査」という、実際にお墓を購入された方に向けて行ったアンケートを、366でまとめたものになります。
今から5年前の2017年は、まだまだ一般墓の需要が高く、46.7%を占めています。主たる理由は「家族で使えるから」が最多となっていました。この時点で樹木葬は24.9%で4件に1つ。納骨堂は19.6%で5件に1件という割合でした。
2017年頃は、まだ「樹木葬」という名称や形態も広く認知されていなかった時期に当たります。それが、たった2年後の2019年には樹木葬の件数が一般墓の件数を逆転し、2020年には、お墓を買う人のほぼ半数が樹木葬を選んでいます。非常に大きな転換があったことがよくわかります。
その転換はいったいなぜ起こったのでしょうか?
実際に樹木葬を含む永代供養墓を購入した方は、「いずれ承継者がいなくなるから」、「残された家族に迷惑をかけたくないから」といったことを選んだ理由としてあげていらっしゃるようです。
このことから、一般墓と樹木葬等の需要が逆転した要因として、少子化による家族の縮小、それに伴うお墓の承継者の減少、移住の自由度が高まり、生まれた場所で生涯を終える方が減っていることなどが挙げられます。
これらの理由はすべて一過性のものではなく、継続するものばかりです。したがって、今後も祭司承継が困難な状況は続き、樹木葬・納骨堂の需要はさらに増加していくことが予想されます。
また、「樹木葬の需要が増えたといっても、それは都市部だけの話」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、少子化による家族の縮小、それに伴う承継者の減少は日本全体での問題であり、地方でも同様に樹木葬を含む永代供養墓が求められる傾向にあります。
【共催セミナー連動企画4/4】 お墓のニーズ編 「地方と都会は違う? 日本最北端の街の事例をみる」
こちらの記事で詳細に触れていますので、ぜひ併せてご覧ください。