お客さんから、、


いただいた。

その人は見た目黒縁メガネ。
髪の毛は白髪混じりの薄毛混ざり。
年齢は50代くらいのおじさん。

彼はわたしのことを指名してきたのだ。

少しシャイなのか様子をみているのか、
あまり自分からは話してこない。
会話をこちらから探っていくなかで
彼は料理が趣味と言っている。
自炊をしていて得意料理は
唐揚げとの事。

接客がおわり、
そのまさか唐揚げを作ってきたと言うのだ。

初対面で何も分からない人間が
手料理を振る舞うことは
どれだけ危険が伴うことだろうか。

表面上わたしは大喜びをした。
嬉しい気持ちを露わにしたが、

内心では
彼は善人なのか?悪人なのか?
脳内をエンドレスしている。

ただ、彼も少し控えめに渡してきたのだが
内心では少し得意げな意識がこちらにも伝わってくる。

この状態リアルタイムで断ることはできない状況下になり、結局手作り唐揚げを受け取った。


お礼を伝えると、
次回は何を作ってきてほしいか聞いてきたのだ。
次はないだろう。との思いで
卵焼きがいいと伝えると
卵焼きだけだと質素だからそれと何か。をと。
わたしは思わず彼が乗り気になっていることを悟り、追加の食べ物が言えなかった。

すると、彼が提案をしてきた。
卵焼きとアジのフライはどうだ?
と。

わたしは本来魚のフライはきらいだが
乗り気の人間にNOとは言えず、YESとこたえた。

彼は少し得意げに納得していた。

彼が帰ったあと、
いただいた唐揚げをみてみると少し黒焦げになった唐揚げが5個ほどキャベツの千切りの上にのっていた。


わたしはこの人が悪人だと
勝手に決めつけ、
あのいつかのカレー事件を思い出し

帰宅後、ゴミ箱へ捨てた。
ごめんなさいと言いながら。


わたしが1番悪人なのかもしれない

と思ったあの日のこと。

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