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君を護ることで、できなくなる約束

今日も君を沢山笑わせることが出来たかな。
君の笑顔が好きで、いつも何とかして君を笑わせようと今も色々と考えています。君の為にできることは何があるのか、最近はいつもそんな事ばかり考えています。これから先の未来、君の歩む道が少しでも楽になれるなら、今できる限りのことをしたいと思っています。


隣の部屋で寝ている君を思いながら、今この手紙を書いています
今晩は、少し冷え込むね。
ほんの数週間前まではあんなに暑かったのに、ここ最近涼しくなってきたなって思ったら、夜になると冬の気配を感じ急に冷え込むから、季節の変わり目で風邪を引きやすい君のことが少し気がかりです。
いつも前向きで目標に向かって頑張る君は、“なんともないよ、これくらい大丈夫!”って、屈託のない笑顔を見せて答えるけれど、傍から見ていると心配でなりません。何よりも君のことが大切だから、過剰に心配してしまうのかもしれませんが。
 
夏の終わりのあの日、一緒に歩いた海岸で君にプロポーズをしたことを少しだけ後悔しています。
プロポーズの直後、自分たちの未来を以前から予測していた君は、特に驚きもせずに「うん、私たちはいつまでも一緒だからね。」って当たり前の様に平然と受け止めていたけど、水平線の向こうに沈む綺麗な夕陽を見つめていた君の瞳が潤んでいたのに気付いていました。あの時は何も言わなかったけど、横にいる君をそっと眺目ながら、改めてもっと君の事を大切にしていこうと心に誓いました。例え世界を敵に回しても、僕は君の側から離れません。というか、君は世界を敵に回すような人ではありませんね、少なくとも僕から見ればそう思います。弱音をあまり吐かない君のことだから、あまりそういうことに触れないけれど、でも君が悔しい思いや辛い気持ちを抱えたりしながらも一生懸命やってきていることを知っています。だから、僕が出来ることをやろうと思います。
 
君と出逢ってから僕の人生は大きく変わりました。
夢を追いかけ打ち込んできたけど思い描いていた様には上手く行かず、打算で選んだ就職先で屑ぶっていた僕が変わることが出来たのは、君がいたからです。あの頃の僕は、本来の自分を見失っていました。そんな僕を君は、いつも真っすぐに見てくれましたね。僕よりも僕を信じてくれたことに、今でも感謝の気持ちで一杯です。
 

 
今、君がこの手紙を読んでいるということは、もう僕は君の隣にいないのでしょう。


一週間前から奇妙な夢を見るようになりました。
最初にその夢を見た時、あまりにもリアル過ぎて目が覚めた時に夢であって欲しいと願いました。でも、その夢が現実に起こる事なのだと悟りました。その日から今日まで、毎日同じ夢を見ます。ただ毎日見る夢の中で違うことが一つだけあります。それは、翌日に起こるエピソードが毎日更新され、それを忠実に倣っていることです。予知夢であれば、その時、その場所へ自ら出向かなければ未来は変えられると思い、何度か夢とは違う行動を試みたのですが、エピソードのストーリーは変わっても結果は同じになる事が分かりました。夢で見たことが現実に起こるなんて、今でもまだ信じられません。
そして毎日見る夢に、今手紙を書いている今日から明日へ先に進む未来はありません。それが、どんな意味を表しているのか理解しています。
 


それは毎日繰り返し見る同じ夢で、明日の正午に僕は君を護り、君を護ることで僕の存在がこの世から消えるからです。
 


明日、君は何らかの事故に巻き込まれます。これは変えられない運命。そして、僕は君を護る運命にあるみたいです。恐らく、僕は過去にも同じ様に、過去の君を護る為に幾度となく生まれては消え、それを繰り返しているみたいです。
でも君の為なら、それでいいと思っています。君を護る為に、僕は過去も未来もこの世に生まれては消える運命なのだとしたら、それは僕にとって本望です。あの日、君にプロポーズをした時も、僕は僕自身に何があっても君を護ると誓ったのだから。
 
ただ一つ、君に謝らなければなりませんね。

ずっと側で見守ることが出来なくて、
ずっと笑わせてあげることが出来なくて、
君が辛いと思った時に隣で支えてあげることが出来なくて、
プロポーズをした時に約束したことが守れなくて、ごめん。
 
唯一悔いは、君の一生をこの先も隣で、君のことを護ることができないこと、ただそれだけです。
もし願いを聞いて貰えるなら、これから君と一緒に道を歩むことは出来ない約束を破った僕のことを忘れて、君の幸せを一日でも早く見つけて欲しいということです。



短い間だったけど、君と出逢えてから一緒に過ごした時間は、
楽しくてかけがえのない時でした。

いつも君の笑顔が忘れられず、
そして何よりも、それが僕の大切な宝物です。

誰よりも僕を見てくれて、どんな時も僕を信じてくれて、ありがとう。





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