Ritter

創作で書いたものを上げています。 読んで頂き、少しでも面白いと思ってもらえたら嬉しいで…

Ritter

創作で書いたものを上げています。 読んで頂き、少しでも面白いと思ってもらえたら嬉しいです。 ※あと、読みづらくて、すみません。都度修正も入れてます。

最近の記事

あなたを護るために、あなたを受け入れない

交差点で道路を横断するために信号待ちをしていた時、側道から急に飛び出してきた車を避けようとしたトラックが急ハンドルを切って、そのままの勢いで私の目の前に迫って来る。その瞬間、どこからともなく現れたあなたに私は突き飛ばされてトラックとの衝突を免れるが、私を突き飛ばし助けてくれたあなたは、私の代わりにトラックにはねられてしまう。 事故で怪我を負った私は、訳の分からぬまま駆け付けた救急車に乗せられ病院へと向かい、そして病院で治療を受けている最中に、私を救ってくれたあなたが、“また”

    • 綺麗だった彼女

      ふとした瞬間に、今朝の記憶が蘇る。 綺麗だった彼女。 「おはようございます」 いつもクールで無表情な彼女が、今朝も受付に立っている。 彼女のことを気になりだしたのは、いつからだろうか。 だから彼女を目の前にすると、当然の様に意識してしまう。 「おはようございます」 だけど、そんな抱えている気持ちを悟られたくないから、自分は敢えて事務的な対応で彼女に接している。 「受付票をお願いします」 そう言われて彼女に受付票を差し出す。 そして、淡々と受付事務を進める彼女の手を眺

      • 心の中で燻る灯火

        片時も頭から離れなくて、 こんなにも好きになった人はいないかもしれない。 出会った時から既婚者だと知っていたし、始めの頃は何とも思っていなかった筈なのに・・・、 なのに、知らぬ間に心の中で小さな灯火が揺れ始め、それがいつの間にか大きな炎へと変わっていて、気が付いた時には、激しく燃え盛る溢れんばかりの想いを自分で抑えつけることができなくなっていた。 でも、好きな人が見る異性の世界に、自分は存在していない。 何故なら、この想う気持ちを悟られたくなかったし、慕うことさえもしな

        • 『それぞれの恋物語』         【第二話】 都合の良い言い訳 

          人は、誰でも過ちを犯してしまうのだろう。 そして、それを自らの過ちだと思うが故に苦しい思いをする。 苦しい思いは、もう二度としたくない。 だから何がいけなかったのか、人は改めて自分に問う事で、何が原因だったのか気づき学び、そして、同じ轍を踏まぬよう、再び行くべき道を歩み進むことができる。  橙色に染まった街路樹の葉が風に吹かれて空に舞う季節、付き合っている彼女とのことで、今後どうすればいいか思い悩んでいた。  今朝も、ちょっとした意見のすれ違いで彼女に対してストレスを溜めて

        あなたを護るために、あなたを受け入れない

          『それぞれの恋物語』       【第一話】 すれ違い

          今日、君に好きだと伝えても、明日その言葉は消滅してしまう。 明日から君の世界に、僕は存在しない。 未来に進む機会を見失っていた僕は、今日を永遠に彷徨い続けるのだろう。 だから、自分に明日はない。    共通の友人が紹介してくれた山根由利との出逢いは、一年前の春だった。  「こんにちは、はじめまして」  由利の透き通る声が、とても神秘的だった。  桜が満開に咲いている中、優しい春の日差しに輝く長い髪と、彼女の綺麗な瞳に魅せられ、心をあっさりと奪われ恋に陥った。  「海斗

          『それぞれの恋物語』       【第一話】 すれ違い

          【第三話】存在意義

          「良かったね、また元気に学校に来ることができて」 あれから数日が経ち、無事退院できて今日から再び登校することになっ 不思議なことに、この身体の以前の記憶も徐々に思い出し、相変わらず前世の記憶と言うべきか、自分でありながらも復帰後の生活は難なくと過ごすことが出来た。 新たに始まった生活は、楽しくて仕方がなかった。若い肉体の身体的機能もさながら、前世でそれなりにやってきた経験が生かされるということは既にアドバンテージがあり、小学生の生活において何もかもが余裕なのである。学業は、

          【第三話】存在意義

          【第二話】存在意義

          《 前回のお話 》 “ん? どこかの病院・・・?” まだ目が覚めていないせいか、指先の鈍い感覚に何か挟まれているのを感じる。ゆっくりと手を持ち上げると、見たことある様な装置が人差し指についていいて、その先に続くコードを目で追うと、ベッド脇にある計測装置に繋がっていた。 “あの時、倒れて病院に担ぎ込まれたのか・・・” 指に繋がれていた計測装置を外すと、看護士が様子を見にやって来た。看護士が自分の様子を伺うと、慌てた様子で誰かを呼びに行く。間もなくして、数人がガヤガヤと騒

          【第二話】存在意義

          【第一話】存在意義

          「ごめんなさい。信用できない人なの、あなたって」 互いに気が合うと思っていた彼女に告白して、あっさりと断られた。それも最悪な振られ方だった。彼女とは、信頼が築けていると思っていたので、自分は偽りのない誠実な気持ちで彼女に接していた。好きだった彼女だから、何をするにも彼女を優先してきたと思う。もちろん、彼女に嫌われない様に細心の注意も払ってきた。頃合いを見て、彼女に告白した結果、惨敗どころか人として否定され突き落とされた。   「悪いけど、君もう帰っていいよ。明日からは来なくて

          【第一話】存在意義

          【第二話】一緒に時を刻む相手だから

          《 前回の話 》 「あの・・・、なぜ私を誘うの?」 えっ、何故って・・・・。 こういう時は、どう答えるのが正解なのだろうか。 必死に答えを探すが、何も思いつかない。 「えっと、一緒に食事行ける人がいれば良いなって思っていて・・・」 何とも歯切れの悪い回答を選んでしまった。 「そっか」と言って目線を反らす彼女。 どうやら正答ではないらしい。これはマズイと直感が訴える。 「誘いたかったんだ、一緒に時間を過ごしたいとも思ったし、話がしたかったし、色々と知りたいなって」 「そっ

          【第二話】一緒に時を刻む相手だから

          【第一話】一緒に時を刻む相手だから

          土曜日の正午を過ぎた頃、彼女との待ち合わせ時間よりも早くカフェに着いた自分は、今日これからのことを考えていた。 脇に置いてある鞄の中には、あの日、彼女が欲しそうに眺めていた時計が入っている。 「時計、彼女に喜んでもらえると嬉しいな・・・」 何よりも彼女に喜んでもらえるのであれば、特別な価値があることだと思っている。 今の職場は待遇も良いし給与も悪くない。 キャリアも十分に積める。 だから、結婚なんて意識していなかったし、何ならずっとこの先も独身で良いと思っていた。 そんな風

          【第一話】一緒に時を刻む相手だから

          君を護ることで、できなくなる約束

          今日も君を沢山笑わせることが出来たかな。 君の笑顔が好きで、いつも何とかして君を笑わせようと今も色々と考えています。君の為にできることは何があるのか、最近はいつもそんな事ばかり考えています。これから先の未来、君の歩む道が少しでも楽になれるなら、今できる限りのことをしたいと思っています。 隣の部屋で寝ている君を思いながら、今この手紙を書いています 今晩は、少し冷え込むね。 ほんの数週間前まではあんなに暑かったのに、ここ最近涼しくなってきたなって思ったら、夜になると冬の気配を感

          君を護ることで、できなくなる約束

          六月の花嫁

          ローマ神話に登場する十二柱神の一人である王ゼウスの妻、女神ユーノは、女神の中でも最高神で女性を護る守護神である。そんな女神ユーノの司る月は、六月。だから、六月の花嫁は幸せになれるという。   「6月に結婚式を挙げるとなると、逆算して・・・やっぱり、今のタイミングがベストなんだよなあ。」 世間一般では結婚式の準備期間に、おおよそ六か月から八か月かかるらしい。  そんなことを考えながら、青く澄み切った空と黄金色に染まる鮮やかな街路樹の葉が映えるカフェのテラスで、今日これから仕

          六月の花嫁

          But I can't stay away from you.

          好きな人を目の前にすると、臆病になる自分がいる。 何を臆病に思うのか、理由は全く理解できない。 そもそも、自分は遠くから眺めているだけだし。 遠くから眺めているだけでも、気づかれない様に気を付けている。 その割には都合よく“きっと気づいてくれているかも・・・”と夢見ている自分がいて、そんな風に思っている自分を時に戒めたくなる。 彼女と極稀に交わす会話は、何となくぎこちない遣り取りで、ちょっとした質問を投げかけても、答えが事務的だとコミュニケーション取りたくないのかな、って余

          But I can't stay away from you.

          「一等星が嫌いな理由」

          高台にある自宅最寄り駅の構内には、西側の街並みを一望できる大きな窓がある。 夏が過ぎ去り秋の気配を感じた始めた頃、定時に会社を出て駅に着くと、その窓から見える風景は、遥か向こうの稜線に沈む綺麗な夕陽を魅せていたのに、秋から冬へと季節が変わる頃になると、稜線と夜空が同化し濃紺一色の背景になることで、駅舎から続く街路樹が暖色系の街灯に照らされ一際鮮やかな黄葉を魅せる夜景へと変わる。   駅舎を出て、鮮やかな黄葉の街路樹が続く道を自宅に向かって歩いていると、数メートル先に街灯を覆う

          「一等星が嫌いな理由」

          金曜日の夜

          金曜日の夜は、穏やかな時間がゆったりと流れる。 平日の夜は、何かと雑多なことに追われていたりする。 仕事で抱えている何かとか考えたり、翌日にやらなければならない予定の準備とかしたり。 そんな慌ただしい平日の夜とは異なり、休日前の金曜日の夜は、気持ちが落ち着き日常の色々なことから解き放たれる。 そんな夜の就寝前は、心が和むBGMとカフェインフリーのコーヒーを片手に好きな事だけを考えたりする。 明日は何をするかとか、想いを馳せるとか・・・。 気になる彼女と色々話したことを思

          金曜日の夜

          一生終わらない片想い

          「自分が運命だと想うヒトとは、何故か一緒になれないんだって。」   誰かがそう言っていた。     どうでもいい人とは、普通に会話できるし誤解が生じることもないけれど、本当に好きなヒトとは上手くコミュニケーションが図れなかったり、すれ違いになったり、肝心な大切な想いが伝わらなかったり。 本当は、そうじゃないのに何故か想いが上手く伝えられない。 近づきたいのに嫌われたくないから、変に距離を作ってしまい想いが上手く伝わらない。   「あ、そもそも相手にされていないから、想いが上

          一生終わらない片想い