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39歳からのスケート記録 #03 最初の難関
これは40手前から、自分らしい人生を探しにいった男の備忘録。
いま、やりたいことを始めなければ後悔する。
前回は、スケート教室への参加初日で熱中したところまで。
最初の大きな壁
2月のスケート教室を経て、順調に出来ることが増えてきた。
はじめは躓いていたフォアのひょうたん滑走も出来るようになってきた。
ひょうたん滑走は、基本スタンスから足を広げて、また閉じる動作を
一連で行うもの。最初は筋肉で無理やり足を閉じていたのが、
足裏で氷を押す感覚を習得して、少しずつ形に出来てきた。
見よう見真似と、頭の中の体の動きの整理で、トライ&エラーの繰り返し。
そうやっていきなりどこかのスケート場に行っても、
ギリギリ「少しは滑れるよ」と言えるレベルに近づいている気がした。
ただ、バックの滑走は全くできる気がしなかった。
(そもそも始める前の自分からしたら後ろ向きに進めるだけで奇跡!)
コーチがスイスイすべっていくのは勿論、ほかの受講生たちも
それなりに後ろに動けている。その原理がどうにも分からない。
フィギュアスケートの一番のコツは、「足の重心をどこに置くか」らしい。
フォア(前)に進むには、かかとを付け、ㇵの字に足を広げ、
両ひざを曲げた状態での重心。土踏まずより後ろくらいのイメージだ。
しかし、バックではその逆。かかとを上げ、より前に重心が来るらしい。
頭では理解していても、実際にかかとを上げたら、スケートのトゥの刃で
少し動き出しても止まってしまう。まるでアクセルとブレーキを同時に
踏んでいるよう。どうしたら良いのか、全く頭が整理できない。。。
夕方になって小さい子たちが、リンクには増えてくる。彼ら彼女たちは、
バックでもスイスイ、ギュンギュン曲がったりしながら滑っていく。
ーー悔しい。…でも、少なくとも言えることは、力は要らないってことだ。
試行錯誤の果てに
レッスンが終わってから、Youtubeにも何かヒントがないか探した。
大須のスケートリンクのチャンネルは、年配のベテランスケーターさんが
参考にするといいよと教えてくれたものだ。
壁を押してスムーズに後ろに滑る練習が目に留まった。
それを何度も繰り返してみることにした。
10回。20回。30回。
スムーズに後ろに移動できる、体の重心を預ける足裏の位置が
体に沁みてきた。
また翌週のレッスン後にも同じように繰り返す。
今度はコーチに「(バックの)重心の置き方が上手!」と褒めてもらった。
そして、だんだんぎこちなさは残るものの、少しずつバックも滑られるよう
になった。
この、無我夢中になって試行錯誤して、出来るようになるプロセス。
これが純粋に気持ちよかった。そして、僕が四苦八苦している様子を見て、
声をかけて励ましてくれるリンクの人達も有難いと思った。
そして、思わぬ声を掛けていただくことになる。
「そろそろ、マイシューズ買ってみない?」