忘れ物大魔王はだれだ?
小学生は金曜日にとても大切なミッションがある。
次週に備えてアイテムを持ち帰ること。
中でも、一番忘れてはならぬもの。
それが、時間割のプリントである。
時間割には大切な情報が詰まっている。月曜日に行われる教科と帰宅時間。これが、とても重要。娘のハトちゃんは、デイサービスを利用しており、学校へお迎えに行ってもらう時間を正確に伝えておく必要がある。ほぼ毎週同じ教科が行われ、帰宅時間も一緒であるが、例外的に変更はあり得るから、時間割を必ずゲットしておきたいのだ。
その時間割のプリントを、ハトちゃんは三週間続けて持って帰ってこなかった。
しょうがないので、私はママ友からLINEで送ってもらった。
そして、週末に持って帰ってくるものの多さにキャパオーバーしているハトちゃんのため、ランドセルの蓋部分に絵を書いて入れておいた。
雨が降った日は、これに傘が加わるし、
図書室に行った週は、さらにブックバックが加わるし、
小学生は大変だ。
しかし、次の金曜日も時間割を忘れて帰ってきた。
仏の顔も三度までってご存知です?
3℃でもsandでもありませんわよ、三度。
私はついにママ友から時間割を入手することをやめた。
困らせてやろうと思ったのだ。
教科書が揃わなかったら困るって知って欲しかった。
(さすがに帰宅時間は当日学校に確認してデイサービスの方に電話連絡しました)
私は心の中の地中海性気候を捨てた。そして氷雪気候(ケッペンの気候区分ではEF)となったつもりで極北部に吹きすさぶ風のように私は言った。
「次の金曜日には、もう、忘れないようにしてください」
私は怒るといつもの方言が抜けて、標準語かつ早口になる。
ハトちゃんはゴクリと唾を飲み込み、神妙に頷いていた。
その週はずっと、どの教科にも対応できるように教科書を色々持って行っていた。さぞ重かったことであろう。しかし、母は心が氷雪気候となっているので素知らぬ顔をしていた。そして金曜日がきた。ハトちゃんは、
時間割を持って帰ってきた
ドヤ顔して、
「これ見て〜!」
と手に持った時間割をヒラヒラしてみせた。
私は、嬉しかったので、頭をぐりぐりして褒め散らかした。ご迷惑をおかけした各ママ友にも、LINEを通じてやっと持って帰ってきたことを報告して喜びを分かち合った。
そして、ランドセルの中を見なかった。
きのうの日曜日の夜、ハトちゃんと月曜日の準備をしようとしてランドセルを開けた私は驚愕した。
そこには、給食着が入っていた。
私の中で、あのフレーズが流れ始める。
今からそいつを
これからそいつを殴りに行こうか
殴りたい相手は私自身だ!
なぜ金曜日のうちにランドセルの中をあらためなかったのかと。
問い詰めたい。
Yah yah yah yah yah yah yah !
Yah yah yah yah yah yah yah !
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