杉本とらを
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「君に言って無かった事があるんだブヒ」 「モ〜何よ、改まって?」 「じつは僕……豚なんだよブヒ」 「モ〜とっくに知ってわ」 「えっそうなの、ブヒ」 「モ〜私も、内緒にしていた事があるの」 「えッ何? ブヒ」 「じつは私……牛なの!ヤダ〜モ〜言っちゃった」 「知っていたよブヒ。一緒になってくれるかいブヒ」 「モ〜喜んで!」 こうして結ばれた2人は、スーパーの肉売り場に、ハンバーグ用合挽き肉として並べられた。
国際科学研究所。 「博士、やりましたね!」 「ああ……我がチームの研究と努力の結果だ。みんなありがとう!」 「さっそく、試してみますか?」 「いや、倉庫にしまっておいてくれ」 「えっ?」 「このマシンを動かすのに、莫大な電力を消費するんだよ」 「そうなんですか?」 「分かり安くて言えば、東京○○○○ランドの1日の消費電力量は57万KWだ。電気料金換算すると1000万円以上になる」 「そんなに?」 「こいつは、たったの3分間で同じだけの電力を消費するんだよ。この研究所のブレー
教室はざわざわしていました。 「おーい、みんな。昨日先生が言ったよね。体育館の壁の穴を覗かないようにって。埃などで目を痛めるかも知れないから、駄目だよって!」 と、目の周りの黒い先生が言いました。 生徒たちは、くすくす笑い出しました。 「なのに、どうして覗いてしまったのかなあ……?」 目の周りが黒い生徒たちが、声を出して笑い出しました。 「あっそれから……穴の周りに炭を塗ったのは誰ですか?」 目の周りの黒い先生と生徒が、ゲラゲラ笑い出しました。 「はい、僕たちです。ごめんなさ
飴細工のおじさんが、棒の先の丸くて白い飴を、和鋏で器用に切って挟んで伸ばし、食紅で目を入れ、今にも飛び跳ねそうなウサギを作るのを、食い入るように見ていた少年が話しかけました。 「おじさん。それいくら?」 「五百円だよ」 「買えないや。一番安いのは何?」 「ヘビなら百円だよ」 「買った! 今日さ、父ちゃんの誕生日なんだ」 少年は百円玉を出して言った。 「プレゼントか。じゃあ、おまけだ!」 おじさんは、龍を作り始めました。 「良かった。父ちゃんヘビ年だから」 「えっ、そうなんだ」
「みんな、お早う!はい、席に着いて。では、出欠を取りますね。青井さ〜ん」 「はい」「はい」 「青井さん、返事は一回でいいですよ」 「はい」「はい」 「だから、返事は一回で!」 「はい」「はい」 「青井さん。先生怒りますよ」 「先生、青井さんが2人居ま〜す」 「あら?」 「一人は、ポン太君だと思いま〜す」 「はてさて、どっちが青井さんで、ポン太君なのかしら?……こっちがポン太君かな?」 「違います」 「じゃあ、こちらがポン太君かな?」 「違うポン!あっ、しまったポコ!」 正体が
「よし、完成だ!」 「これで何時でも、特定の場所ヘ瞬間移動出来るんですね」 「ああそうだとも。その名も『いつでも、シズカ君ン家のバスルーム』!!」 「いや〜ん、のび太博士のエッチ!」
お婆さんが川で洗濯をしていると、大きな桃が流れて来ました…… お婆さんは、その桃を持ち帰ってお爺さんと割ってみると、なんと赤ん坊が生まれました。 しかも、六つ子です。 お爺さんとお婆さんは長男を桃太郎、次男を桃次郎、3男を桃三郎、4男を桃四郎、5男を桃五郎、6人目は女の子だったので、桃六子と名付け育てる事にしました。 桃太郎と桃四郎は生まれ付き体が弱く、半年ほどで亡くなりました。 桃次郎と桃五郎は流行り病に掛かり、5歳の春に亡くなって仕舞います。 あとの桃三郎と桃六子は立派
向かいの席のBさんを、思い切ってデートに誘った。 「ねえ、今週末予定ある?」 「無いけど」 「映画を観て食事、なんてどう?」 「良いよ。行けたら行くわ」 「えっ、それって、行けなかったら来ないってこと?」 「行けなかったら、行けないもの」 「はあ?」 「私さ、凄い方向音痴なのよ」 「へっ?」 「だから当日、迎えに来てくれる」 「あぁ…」 「帰りもさ、迷っちゃうから送ってね」 「あっ…うん!」 デートの約束を取り付けた。
私はパートの帰りに、西瓜を提げて実家に寄った。 「ただいま〜」 「お帰り!まぁ、立派ね。あらら、冷えてるじゃないの!すぐ切るわね。半分は持って帰ってヒロシさんと食べなさいよ」 「うん」 「さあ、食べよ食べよ!」 「ねえ、ママ」 「美味しい!なに?」 「ママ、覚えてるかなぁ…小さい頃さ、ママが後ろから目隠しをしてさ『だ〜〜れだ?』ってするの。あれ、大好きだったのよ」 「もちろん、でも…どうして?」 「ママの指先からね、いつもあまーいフルーツの匂いがしたんだもの
男は、ため息をついた。 「ハァ…運が悪いなぁ……ハァ…親は立て続けに死んじゃったし……ハァ…上司にミスを擦り付けられて、会社をクビなるし……ハァ…次の仕事は見つからないし……ハァ…妻は若い男と出ていったし……ハァ…貯金は底をついたし……ハァ…ァ…ァ…」 その時でした。 どこからか、ファンファーレが鳴り、紙吹雪が舞い出しました。 そして、空色のネクタイに紺のジャケットの美しい女性が現れました。 「おめでとうございます!」 「えっ?」 「貴方のため息の数をギネス世界記録
「明後日の遠足のおやつは、300円までとします」 「ええ〜」 「まじかぁ」 「少なくない?」 「せめて、500円でしょう」 「みんな、静かに」 「先生」 「はい、まちおかさん」 「私のうちは、お菓子屋なので600円相当の商品を詰合せにして、300円でご用意出来ます」 「先生」 「はい、ほかべさん」 「出来たてのほかほかのお弁当を当日現地まで配達致します。サービスでお茶を一本お付けします」 「あしだ靴店では、遠足にもってこいの軽くて丈夫なスニーカーを特別低価格でご提供します。見
八幡様の御神木の前に、三脚を立てカメラを覗いて居る中年の男に、白装束の老人が声を掛けた。 「何を?」 「宮司さんですか。ここに棲んでいる白蛇をカメラに収めたくて」 「今、留守じゃよ」 「戻って来たところがチャンスですね」 「止めなさい」 「駄目ですか?」 「神様の化身じゃから、罰が当たるぞ。代わりに私を撮りなさい。若い頃モデルをした事がある!」 ポーズをとる老人を舐める様に見て、男は言った。 「嘘でしょ?」 「失礼な!!」 「きょ今日は諦めます」 男は
ある日、こんなメール来た。 《はじめまして、私は死神です。 あなたは7日後に死亡する事が決定致しました。 残りの時間を出来る限り悔いの無いように、お使い下さい。 7日後のこの時間に、私がお迎えに参りますので、宜しくお願い申し上げます。 なお、ご不明な点やお問い合わせは、下記のURLをクリックして下さい。》 初めは、誰かの悪戯だと思っていた。 ところが、何処でどう情報が流れたのか、それから6日間に葬儀屋や御墓の広告などのメールが毎日100通以上が届いたのだ。 我慢が出来ず、
私が目覚めると、枯れ井戸の底に居た。見上げると直経十センチほどの青空から朝日が微かに差し込んでいる。 かなり深い場所に居るのが分かった。 酔っ払って落ちたのか? まるで記憶が無い。 幸いにも何処にも痛みを感じない、怪我は無いようだった。 考えてみると、ずっとこの井戸の底に居たような気もする。 あぁ…そうだった。 私は思い出した。 まだ、この井戸に満々と水が湧き出ていた頃から、私はここに居たんだ。 そうか、私は大神様に見捨てられた井戸の守り神なのだ。 しかし…喉が渇いた…
♪カランコロン♪ 雑貨店に、3人の老人がやって来た。 「いらしゃいませ」 「縄跳びあるかな?」 「ビニールは駄目よ」 「そうそう、布を編んだ白いやつな」 「はい、ございます。こちらです」 「おお、それだそれだ」 「2本くらい要るわね」 「ご店主、いくらかな?」 老人たちは代金を払うと、2本の縄跳びを繋いで、大きな一つの輪っかにした。 「よし、これで良いだろ」 「懐かしいわね」 「よくやったもんなぁ…」 その輪っかの中に老人たちは入り、縄を腰辺りで掴
開店前の『吉そば』の裏口から、1匹の猫が中を覗き「ニャ〜」と鳴いた。 「おっ、トラじゃねえか、ちょっと待ってな」 そう言って、鰹節を山盛り乗せたご飯の上から蕎麦つゆを掛け回し、トラの前へ。 「ほれ、食いな」 トラは、それを旨そうに平らげると、「ニヤ〜」と鳴いて、日向で腹を出して、うたた寝を決め込んだ。 暫くして、起き出したトラはひょいと塀に飛び乗り、塀から屋根へ、屋根から塀ヘ歩き、裏通りに出る。 そして、『洋食サブ』のキッチンを覗いて「ニャ〜」と鳴いた。 「おお、ム