インパクトブルー

フリーライター。 昨日より今日、そして明日へとつながる言葉を綴りたい。

インパクトブルー

フリーライター。 昨日より今日、そして明日へとつながる言葉を綴りたい。

最近の記事

あなたとの約束

ずっと一緒に生きてきた。 私のそばからいなくなる日が来るなんて、想像もできない。 それほど長い時間が経っている。 十代。 友だち、ライバル、そしてかけがえのない恋人だった。 二十代。 それぞれの生活がすれ違う社会人。 人生設計の中にお互いがいることが想像できなくて、別々の道を歩くことを何となく考えていた。 何度も何度も話し合って、喧嘩して、泣いて。 傷ついて、傷つけて、ボロボロになっていた気がする。 それでも別れることができなった。 何かを犠牲にしても、それでも一緒にい

    • あなたの生き様のようには絶対しない

      ねえ、あなたはどこまで私を追いかけてくるの? 私が一体何をしたというの。 何も知らない小さな子供のころ。 なんとなくはわかっていても、ずーっと知らないふりをしていたかった。 父親が違うこと。 それでも育ててくれた父には感謝している。 今は。 思春期の頃はやっぱり両親が汚いもののように思えていたことは事実。 でも、自分が道を踏み外すことだけはしなかった。 普通に大学まで進学し、まるで普通の家族のように振舞って、 時間が流れた。 大人になれば、わかる。人を愛する気持ちも、痛

      • 私が私であるために

        大人になって、自分を生きる時間に限りがあることを実感した今だから思うことがある。 私は、自分を生きているのか?という当たり前のことを。 親の存在は少なからず子供に影響を与える。 親が何気なく言った言葉を、頭のどこかで覚えていて、 それをインプットしたまま成長していく。 幼いころの私は、よく怒る自分勝手な子だと思われていたに違いない。 それも、本当は姉と比較されることが嫌だったからなのに。 いい子になりたかった。 多分、誰からも認められるいい子に。 さまざまな感情を押し殺

        • 笑顔の行方

          笑顔ってむずかしい。 ひとりで過ごす時間が長いと 笑ってない時間も長くなる。 別に眉間にしわを寄せているわけでもないけど、 気が付くと笑ってない。 逆に、一人なのに笑ってたら変なひとなのかな。 最近、誰かに会っても作り笑いしてるような…。 わたし、心から笑えてない。 大人になっちゃったな…。 いろいろなもの無くした。 大切じゃないものたくさん手に入れた。 でも、大切じゃないものも中にも 大人にならなきゃ手に入らないものもあった。 ただ無邪気に笑っていられる時は過ぎたけ

          わんこと私のやさしい時間

          言葉は時に優しい。 そして、時には誰の心にも響かない。 言葉を持っているのは人間だけだ。 でも、そう思っているのもまた人間だけかもしれない。 イルカは超音波でコミュニケーションをとっているのだから、 虫たちだって何かの方法で生きていることを楽しんでいて欲しい。 悲しい時、その感情は涙となって私の頬をつたう。 ただ、孤独を身体全部で受け止めるために、独りで戦うしかない。 ほとんどの場合、それが当たり前だ。 人に何かを言ってもらっても、立ち直ろうとしても、本当の強さは 自分の

          わんこと私のやさしい時間

          気持ちはハンドメイド

          小さなころのアルバムを見ると、姉とおそろいの洋服を着て カメラを気にすることなく納まっている私がいる。 お洒落を気にする年頃になると、母が持っているハンドメイドの鞄がここにないことを残念に思ったこともある。 そんな母に育てられた私は、ミシンを見ることはあっても自分で使う事など皆無だと思っていた。 母の手で作られる数々の洋服は魔法のようだと感心しながらも、 ちょっとうっとおしく感じることもあった。 時代はバブル絶頂期、ブランドに身を包むことがステイタスとされていた。 大学を

          気持ちはハンドメイド

          あしたの朝はあなたと

          小鳥のさえずりが聞こえてくる。 どんどんと白んでくる空を布団の中で感じながらも、私はどうしても起き上がることができないでいる。 子どもの進学を機に、私の生活は一変した。 昨日までの普通が普通ではなくなった。 明け方から作っていた毎日のお弁当も、 同じメニューにならないように気をつけていた朝食作りもなくなった。 汗まみれになって洗濯カゴに放り込まれる部活の洗濯物も、 夕方になると聞こえる「今日の夕飯は何?」って声も、今はない。 少し空っぽになってしまった私の心を埋めてくれ

          あしたの朝はあなたと

          がんばらない自分を肯定する

          がんばる事の意味が分からなくなった。 現状の自分から、少しでも前を向くために 自分に暗示をかける魔法のことばなのだろうか? ある時、自分の力ではどうすることもできない問題に直面した。 なぜ自分だけがこんなにも理不尽な思いをしなければならないのだろう。 ただ真面目に生きてきただけなのに…。 暫くは涙が止まらなかった。 悔しくて、辛くて、イライラして最後は心が折れそうになっていた。 だるい体を引きずるような時間を過ごし、 どうすることもできない現状を受け入れ 今以上にはなれ

          がんばらない自分を肯定する

          一瞬のぬくもり

          「じゃあ、行ってくるよ」 そう言ってあなたは私に右手を差し出す。 いつの頃からか、空港で見送るときのささやかな儀式。 左手をそっと重ねた私は「気を付けて」とだけ言葉を贈る。 見えなくなる前に、一度だけ振り向き小さく手を上げ微笑みを浮かべながら消えていく。 ここは少し寂しい場所だ。 少し離れた所では、小さな子供を抱いた若い女性が涙を浮かべて男性を見送っている。 あんな時代が私たちにもあったのかな。 帰る車の中で、ステアリングにかけた手にふと目を落とす。 あなたからもらった手

          一瞬のぬくもり

          君に送るエール

          人生で最大の挫折を味わった時、一体君はどんなふうに考えるのだろう。 何度も何度もおとずれる辛さは、年齢を重ねる度に大きくのしかかってくるけれど、まだ若い君はいつの時も今が一番辛いと思うのだろう。 悲しいことも、悔しいことも全ては君の一部を作るひとつのピースになっていく。 だから、今はいろいろな壁にぶち当たって欲しいと思う。 歳を重ねるとね、もう動けなくなってくる。 何かを始めるのに年齢は関係ない。 多分ね。 けれど、経験値から自分の可能性を信じることができなくなるんだ。

          君に送るエール

          海と私と彼の時間

          少しづつ暗闇が迫るほんのわずかな時間。 オレンジ色の空と緑色の海が交差する。 取り留めのない話に時間だけが流れてゆく。 隣にいるお互いの顔を見ることもできず、 暮れてゆく夕日が暗闇に変わっていくことに少し安堵していた。 何を話したのだろう。 自分の思い描く将来の夢。 友だちのこと。 家族のこと。 好きなものが似ていた。 正反対のふたりなのに。 それがおかしかった。 話が途切れても、波の音がつなぎ留めてくれる。 やさしい時間。 まだ恋という恋に出会ってもいなかったあの頃

          海と私と彼の時間

          自分を見つけた3月

          子どもの頃は考えるのが好きだった。 人生について。恋愛について。生きることについて。 自分をどう生きていきたいのか。 結婚をして、家族を持って、いつの間にか考えることをやめる癖がついていった。 夕食は何を作ろう?あの人の好きな物。 どこへ遊びに行こうか?子どもの喜ぶ場所。 生ぬるく忙しかった時間もそれはそれで幸せな日々だった。 子どもが県外の大学へ進学することになり、初めて私はこれからの長い日々を自分のために使わなければならなくなった。 もう、自分の意思を持つことなんて忘

          自分を見つけた3月

          ことばにできない言葉

          他人と比べる人生なんていらない。 そんなこと考えないで生きてきた。 でも子どもと生きてきた人生の中で、なんだか切ない言葉を聞いた。 自分の周りには自分以下の人間はいない気がする。 周りはいとも簡単に成功し、その先も大きな挫折もなく順調に生きている。 自分だけ...なんて思わないけど、いつの時も世の中は不平等だ。 確かにそうだと思う。 子どもが中学生の時、道徳の授業で頑張っても報われないことの方が多いと発言した。周囲の反応は冷たかったらしい。 大人の世界の当たり前が、子ども

          ことばにできない言葉