人を変えるのはやっぱり
昔の私は、私をやめたくて仕方なかった。新しい自分になってみようとするものの、夕方くらいにシナリオから外れてしまう。毎日毎日その繰り返し。そのときに『リセット』という本を手にとった記憶がある。
小中学校はほぼ持ち上がりだったので、自分で変わりたくても関係がそうさせてくれない。だから高校で変わろうと、同じ中学から誰も行かないような高校を選んだ。いわゆる高校デビュー。だけど、友だちの作り方がわからなくて、ことごとく失敗した。
大学こそと思って、とりあえず理想の私がほしい友だちをつくった。だけど、猛烈に居心地が悪かった。その証拠に、今でも仲いい大学の友だちは男友だちひとりしかいない。
・
結局私を変えてくれたのは、私の理想の友だちたちではなく、外に出て出会った人たちだった。イベント、アルバイト、ボランティアなどなど。人とのつながりは偶然なんだけれど、必然だったのかもって思う。だから、人のつながりは人を変える力がある。大学4年生のときはそういうことをしたいと思って、実際につながりをつくるコミュニティをつくっていた。
今は、人のつながりやコミュニティって大切だよねっていう価値観がだいぶ一般的になったけれど、私が当時はそこまでではなかった。言葉と理論で定義されずに、いいよねという感覚はなんとなくあって、そういう集まりは多くあったんだろうけれど、今みたいに “つくる” ということをしている人はそこまでいなかったような気がする。
自分でいうのもなんだけれど、人を変えた(であろう)出会いをたくさんつくったと思うし、それを知る度にうれしかった。だけど、少しずつ『人のつながりが人を変えるよね』という概念が広まり、今のように当たり前になってから、喜びは薄れていった。
・
最近度々ここにでてくる私の就活中の妹は、小中高大、部活も学部も私と同じ。だけど、大学で放浪していた私とサークルもバイトも3年間同じことをやり続けている妹。みんながやりたがるようなスタバのバイトや人気のゼミに入りたがる妹とそういうミーハーなものは避ける私。まあ、わかりやすくいうと、妹は普通の大学生で、私とは真逆。
就活に関して口を出さないようにしていたものの、ちょっと話を聞いてみたら、私の勘はあっていた。自信がなくて背伸びをして、でもそれに違和感はあるけど押し殺そうとしている感じ。口を出したくないけど、このままだとやばそう、という未来が見えた。
悩みに悩んで、答えは言わず、方法やヒントを伝えることにした。方法というのは、イベントとか本とか人とか。動かないかなーとも思ったけど、さすが私の妹、ひとつイベントに行ってなんとなく掴むと、ぽんぽんといろんなところに行き始めた。
行きやすいだろうと思い、最初は私の知人がやっているイベントを紹介して、私がつくっている場にも参加した。妹が自分の場にいることはなんか不思議だったけれど、妹に私の大好きな人たちを知ってもらうのも、逆もなんだかうれしかった。
それから3ヶ月、この前会った彼女は自分の言葉で話せるようになっていた。
・
ああ、やっぱり人は人のつながりでこうやって変わっていくのかという、実感と喜びを久しぶりに得た出来事だった。つながりで自分が変わっていく可能性も私がつくるつながりの可能性も、まだまだあるのかもしれない。
ちょっとでも、あなたの心にひっかかったら。