袖摺れの月
予定を詰め込んでいないはずなのに、もう月が見える。
行きたい神社は遠かった。地図では近そうだったのになあ。せっかく地下鉄やバスを乗り継いだのに、滞在時間は移動時間よりもうんと短い。
京都旅行はとっても難しい。
行きたいところは全部回れそうなのに、ぜんぜん時間が足りない。
想像以上に圧倒されて、じっくりと見てしまう。
一度きりかもしれないから、じっくりと見てしまう。
ああ、もう移動しなくちゃ。時間がない。
時間がないのに、お団子屋さんを張り巡らすのはやめてほしい。
一度きりかもしれないから、しっかりと食べちゃう。
二日目。
今日もまた、月が顔を見せる。
京都市内には高い建物がないから、気がつけば月がある。
時間はあるよ、と見守っているかのように月と目が合う。
さてと。
赤くてまるい提灯の揺れる町へ向かおうか。あの町、なんて読むんだっけ?
うん。旅はまだまだこれからだ。
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