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琉球展

今年の5月15日は、沖縄返還50周年である。これは沖縄の人にとって望ましい復帰だったかと言えば、未だ続く基地問題を見ればわかる。戦争を抜きにして返還は語れないと思うし、これから様々な催し物も増えてくるだろう。

さて、今、東博では「特別展 琉球」が開催されている。
琉球王国時代の文化財の展示と、当時の文化・政治・外交の中心だった首里城の修復に取り組む展示がなされている。沖縄戦についても、アメリカ統治下の沖縄についても直接的には触れていないが、歴史を知る事で、時代に翻弄された沖縄を
知る手がかりにもなるだろう。

2階の展示室へ向かう大階段前

エスカレーターを上がると、撮影コーナーがある。琉球国の王冠を被ったパネルの背景に、焼失前の首里城の写真がある。
幾度もの火災にあった首里城だが、2019年の主要な建造物が全焼した後も、修復のためのプロジェクトが進んでいる。

会場内は一部を退いて撮影禁止だが、最初の部屋にはアジアの架け橋となった、様々な交易にまつわるもの、そして首里城正殿にかけられていた「万国津梁の鐘」が展示されている。


第2会場の入り口は、琉球国大14代王の模写復元図が出迎える。

大14代 尚ぼく王御後絵

12世紀、琉球では各地に王が登場した。勢力を伸ばした王たちの中から中山王の
尚巴志が統一し琉球王国が出来上がった。

この展示室は第2尚氏時代の国宝がずらり。撮影が可能である。現存唯一の王冠ほか王族が着用した衣装などが展示されている。

後に続く展示室は、島の人々の暮らしに関わるもの。琉球や東南アジアに分布する糸芭蕉の繊維からできた芭蕉布の着物。ノロと呼ばれた神女の扇や儀式で身につけた首飾り。亡くなった人の遺骨を収める甕。魔除けのちょうをデザインした衣服や首飾り。色とりどりのガラスビーズで編み込まれた酒瓶を覆う飾りなど、王国時代の手技を見ることができる。

最後の展示室は、首里城にまつわるもの。
正殿に建てられた大龍柱は、シーサーと共に沖縄のシンボルである。
堆錦という、日本の漆器ではあまり見られない技法を使い、螺鈿も組み合わせた衝立。琉球王家の菩提寺である円覚寺にあった仁王像の一部と、模造復元など、首里城復興の活動が見える。

QRコードを読み取ると立体CGで再現された首里城を様々な角度から見て楽しむこともできる。

立体CG/AR画像の首里城


展示室を出て1階に降りると、パネル展示の撮影コーナー。
沖縄が舞台の朝ドラ「ちむどんどん」。オンラインゲームの「刀剣乱舞」は王国に献上された名刀が出てくるらしい。この辺りは詳しくないので、なんとも言えないが、沖縄に触れる手がかりとして、こういうのもありかしら。

また、ミュージアムショップでは写真集から読み物まで書籍も揃っている。

沖縄を知る入り口は様々でも、返還50周年を機に、沖縄について学ぶ機会があるのは良いな。

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