聖火使い炎城! 第36話「強襲の五人衆!の巻」
俺の家に聖火が一時的に安置されることになって半年が過ぎた。
そんなある日、オレはうっかり火を取り落として火達磨になり・・・無傷だった。祖先から受け継いだ聖火使いとしての力が目覚めたのだ!
それからは聖火を悪用しようとする組織と戦い、他の元素使いと戦い、戦い、戦い、戦い抜いて全ての黒幕を打倒し、平和な日々に戻ったんだが・・・
KA-BOOOOOOM!!
赤い炎と黒い炎が衝突し、空気が爆ぜた。その火勢は互角・・・いや、黒い炎が一層強く燃え上がり、赤い炎を呑み込んだのである!炎城は間一髪横っ飛び回避!
(なんて奴だ・・・オレの炎がまるで通用していない)
黒い炎の主、漆黒のローブを着た男は口元を歪ませる。火炎が舐めた通りの路面は赤熱し、ふつふつとわだかまっている。凄まじい高熱。聖火使いといえど直撃すれば命はあるまい。
「これが日本の聖火使いの実力か?まったく期待外れだ・・・さあ!偽りの聖火ともども、私が焼き尽くしてくれよう!」
「おっと!そうは問屋が下ろさないぜ!」
突如として上方から朗々たる声!同時に鉄砲水が降りかかり、黒いローブの男は攻撃を中止しての後退を余儀なくされる。
「この技はまさか!聖水の沖田!」
電柱の上に立つのは体の周囲に水泡を揺蕩わせる青い髪の少年!
「猪口才な」
黒いローブの男は沖田を狙い、火炎を迸らせる。が、両者の間のアスファルトが吹き飛び、石壁が瞬時にせり上がる!
「何ぃッ」
「わたしも居るぞ」
いかにもな寡黙パワータイプ!
突然の闖入者にたじろぐ黒ローブの男を荒れ狂う突風が吹き飛ばす!
「聖地の菊地!聖風の嵐山まで!」
「フン・・・勘違いするなよ、オレは助けに来たんじゃない。そいつらを潰しに来ただけだ」
流れるような反重力ヘアーのイケメン!
「またまた・・・ン・・・?そいつ“ら”って言ったか?」
「そこの黒ローブ、貴様ら五人が“裏オリンピック”を始めようって魂胆なのは既にわかっている」
嵐山は指を突きつけ、言う。
「裏オリンピック!?」
黒ローブはフンと鼻を鳴らし、体制を立て直す。
「そこまで調べがついているのならば今更正体を隠すこともないな・・・」
さっと手を挙げるとその瞬間、さらに四人の黒ローブたちが何処からともなく集結!
「バカな、気配すら感じなかったぞ!」
「皆の者!我らの姿を拝ませてやろうではないか!」
そして黒ローブたちは一斉にその裾を掴み、一息に放り捨てた!
「火のマルチネス!」赤毛を逆立てた青年!
「水のフィッシャー」酷薄な笑みを浮かべた痩身の中年男性!
「木の・・・李(リー)・・・」拳法着の陰鬱な男!
「金のスミス!」貴金属アクセのギャングめいた若者!
「土のベルクマン。」筋骨隆々のスキンヘッド大男!
「「「「「我ら五行衆!!」」」」」
「「「五行衆!?」」」
「さて、これを見ろ」
驚愕する元素使いたちをよそに、フランメルはiPadを取り出す。そして何やら操作すると頭の横に掲げ一同に向けた。
そのディスプレイには映っているのは新国立競技場のグラウンドである。
「それが、どうしたって言うんだ」
「慌てるな・・・ここからが見ものだぞ」
フィッシャーと名乗った男が諌め、身振りで画面に集中するよう促す。
ゴウンゴウンゴウン・・・奇妙な唸りが聴こえると、グラウンドに一文字の亀裂が入った。
「な・・・」
競技場は二つに割れ、地下から新たな床がせり上がってくる。そこには・・・5つのリング!税金泥棒!
「ククク。五つの輪が五地域を示すというのは世間を欺くためのカバーストーリー。」スキンヘッドと目が妖しく輝く。
「五輪・・・とは、即ち五行を表す・・・」顔にかかる陰が一層凄まじいものになる。
「四大元素の戦士よ!今こそ雌雄を決さん!」金指輪が打ち鳴らされる!
「「「「「裏オリンピックの舞台で!」」」」」
「何だって~~~っ!?」
【つづかない】
なにこれ
そういう事です。
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