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好きなこと。

昇華しておきたい話を思い出した。私の趣味についてである。


私は小さい頃から田舎が大好きだ。昔、家族とたくさんいった、あの場所たちが。
今も変わらず大好きで、よく車を走らせては田舎へ行くことがしょっちゅうである。

「幼少期の家族との思い出の場所に、大人になった私が自ら赴く」というのはなんとも感慨深い気持ちになる。

正確に言うと、田舎に行くまでの過程が大好きなのかもしれない。


私が田舎へ向くときは、大抵深夜に出発する。高速料金も安く済むし、深夜にドライブなんて、なんだか気持ちが昂るから。

前日は、夕方にはお風呂を済ませて、のんびりしつつも支度を行い、10時ごろにはベッドに入る。いつもと違う生活リズムに優越感を覚えながら、明日のことを考えて眠りにつく。なんとも特別な時間である。

深夜に起床したら軽く身支度をする。「田舎へ行くときはまっさらな私でいたい」という気持ちから、化粧はあまりしない。田舎を肌で感じられるように、着飾らないのがお決まりだ。

さて、車庫から車を出し、友人を拾えばいよいよ出発だ。
どんな季節でも、深夜の3時に窓を開けて車を走らせると風がとっても気持ちいい。これは、田舎でエネルギーを十分にチャージするために心を空っぽにする作業だと思っている。

道中では窓を閉めて空調を効かせ、音楽を音量3くらいで流しながらひたすら駄弁る。内容は、友達のことや恋人のこと、勉強のこと、といったところだろうか。この情報を渡し合う作業は、これからの原動力になったりするから結構好き。「しんどいのはみんな同じじゃない」ってね。
サービスエリアでお味噌汁を買って飲んでみたり、もやもやと色が変わってくる空に感動したり、そんなことを乗り越えて、私たちは早朝には目的地へ到着する。


田舎の感じ方は、行く場所によってさまざまだ。でも、どこへ行っても必ず行うことがある。それは、大きく深呼吸をすること。
海に行ったときは、誰もいない砂浜で思いっきり潮の匂いを感じて、山に行ったときは、葉っぱたちと一緒になって緑の香りを感じる。
大きく息を吸って、おいしい空気を味わってみる。何回も、何回も。その空気があまりにもおいしくて、口をもぐもぐ動かすときだってある。
空っぽだった心にぐんっと何かが注がれるような、この瞬間がとても好きだ。「この瞬間のために生きてきた」なんて大袈裟だけど考えてしまう。

そして、最後はいつもお風呂に入るのがお決まりである。秘湯みたいな、こじんまりとした温泉に。ぽかぽかの湯船に浸かっていると、時々、その地域の長老みたいなおばあちゃんの知恵をおすそわけしてもらえる。

ああ、透明で少しぬめりが入ったお湯なのに、身も心も綺麗になった気がする。

お風呂上がりに飲む牛乳って、なんであんなにおいしいのでしょうか。


「幼少期の家族との思い出の場所に、大人になった私が自ら赴く」
冒頭にも述べた言葉である。これは決して、小さい頃の家族との思い出を塗り替えているわけではない。あのとき、私が家族と訪れたときとはまた違った気持ちで、まっさらな気持ちで、記憶に、思い出に、色を足しているような、そんな感覚である。

私はこの感覚が好きだ。また、田舎へ行きたい。また、自然に触れたい。そんな思いを馳せつつ、今日も今日とて深夜に寝る支度をしている。

おやすみなさい。

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