コロナ禍と私 #いまコロナ禍の大学生は語る

「いまコロナ禍の大学生は語る」というこの企画は、私の大学1年生時代の同級生が立ち上げたものであり、私は彼から依頼を受け、このnoteを執筆している。

私が大学に入学したのは2020年。大学1年という人生における一つの節目である時期が、新型コロナウイルスによって大きく「翻弄」された。

企画者である彼との出会いも、コロナ禍の真っただ中のことであった。私の大学時代の記憶は、その少なくない部分が、コロナ禍と深く結び付いたものである。

まずもって、今回、改めてこのいわゆる「コロナ禍」を振り返る機会をいただいたことに、感謝したい。その上で、以下、時系列順に、記憶をたどりながら、私にとって「コロナ禍」とはいったいなんであったのか、なにを私にもたらし、なにをもたらさなかったのか、考えてみたい。

新型コロナウイルスという語を認識したのは、おそらく高校3年の1月のことだったと思われる。当時何かの感染症が起こり、日本でも流行りつつあるらしい、だからマスクをしておいた方が良い、という雰囲気があった。だが翌月に、いま振り返るとおそらく人生最大のイベントであった大学入試本番を控えた私は、体調管理には気を付けつつも、その新しい感染症を「カンセンショウ」としか認識しておらず、私にとって特別な関りをもつものとは感じられなかった。

大学入試が終了後、地元に戻った私はあるニュースに驚いた。いわゆる、当時の安倍総理によって発表された、全国の小中学校への休校要請である。この方針の是非はさておき、この発表の前後で明らかにフェーズが変わったのを覚えている。それまで抽象的だったウイルスが、具体的な危険として、多くの人の身に迫ったものとして、感じられるようになった気がする。

そのような中、3月10日の合格発表があった。「合格」を得たときの感情とそのあとの行動は今でもありありと覚えている。そうして入学準備を進める中、大学からある特殊な準備を要求された。それは、「オンライン授業」への対応である。

感染症の蔓延により、4月の第3週から「オンライン授業」で授業を行うため、それまでにオンライン通信環境を整えたり、授業に使用する「Zoom」なるアプリをダウンロードしたり、カメラ・マイクを用意するように、との内容であったように思われる。ただでさえ知らない大学のシステムに戸惑いながら、準備を進めたことを覚えている。

とはいえ、当時はまだ大学で授業を受けるという可能性も大いに残されていた。そのような中、3月下旬に、ふるさとを出発し、東京にやってくる。

当時は連日感染者が増加している中で、東京という都市は地方の人間にとってある種の「恐怖」となりつつあった。それは、東京に来て一週間の私にも、東京の感覚とのギャップに感じられた。

引っ越しの日、もともと来てもらう予定だった両親のうち、手伝いに来てくれるのは父親だけとなった。母親の職場の方針により、東京への移動が禁じられたからである。「コロナ」が具体的な形で私の生活を左右し始めたのは、このころからだったように思われる。

それでも、当時はまだ4月から東京で暮らし、大学に通うのだと思っていた。それが、そうではなくなったのが、いわゆる「緊急事態宣言」が発令されたときであった。その発令を機に、実家に帰ることになった。思いもよらなかったことだった。

大学の授業は初回からすべてがオンライン授業となった。比較的通信環境の整備やシステムのセットアップがスムーズにいっていた私は、その点恵まれていた。

多くの方の予想を裏切ることになるかもしれないが、私がオンライン授業に感じたことは、あまり違和感がない、ということだった。高校時代も通信教育を通じてオンラインで授業を受けること自体にはある程度慣れていたということもあるし、もともといわゆる「キャンパスライフ」のようなものへの期待値がそこまで高くなかったことも背景としてあるだろう。それに加えて、当時のクラスにおいて、オンラインでたくさん交流が行われており、会ったことはないが、さまざまな場面で支え合える環境があった。このごろ、人生はつくづく「奇跡」の連続であるように思えてくるが、こうした条件下にあった私は、まさに「奇跡」そのものだっただろう。

こうした状況の一方で、受験生時代から関心があった、歴史や国際関係の勉強に関心を持ち、いろいろな本を読むようになった。また、もともと関心分野の広かった私は、数学や政治学など、教養科目の勉強を関心をもって行った。

実家でオンライン授業を通じて勉強する。たまにzoomでクラスメートと交流する。

私の生活は、「オンライン」の中で行われるようになったのである。そして、この「オンライン」は、以後の大学生活を眺めても、おそらくコロナ禍がなかったらここまで私の生活に深く切り込んでくることがなかったのではないかと思われる。

私の「コロナ時代」の幕開けであった。(次回につづく)

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この文章は、「#いまコロナ禍の大学生は語る」企画に参加しています。
この企画は、2020年4月から2023年3月の間に大学生生活を経験した人びとが、「私にとっての『コロナ時代』と『大学生時代』」というテーマで自由に文章を書くものです。
企画詳細はこちら:https://note.com/gate_blue/n/n5133f739e708
あるいは、https://docs.google.com/document/d/1KVj7pA6xdy3dbi0XrLqfuxvezWXPg72DGNrzBqwZmWI/edit
ぜひ、皆さまもnoteをお寄せください。

また、これらの文章をもとにしたオンラインイベントも5月21日(日)に開催予定です。
イベント詳細はtwitterアカウント( @st_of_covid をご確認ください )
ご都合のつく方は、ぜひご参加ください。
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