毎日 好きな曲 『 ひとり占い 』 2日目
○楽曲情報
曲名 ひとり占い
作詞 さだまさし
作曲 さだまさし
歌唱 グレープ
●『 ひとり占い 』考察
・歌詞
「死んでるのかな?」と思った僕はさだまさしを暗く見すぎていますね。冷淡とか、そういう意味の冷たさでしょう。
「夢が叶わなかった」でも「夢を諦めた」でもなく、
『置き忘れて来た』
この表現、大好きです。
叶わなかった夢の最期はこういう事だと思います。
よく言うじゃないですか。
「夢なんか捨てろ」とか『そんな夢とうの昔に諦めた』とか。
でも夢って実際は 置いては拾い置いては拾いの繰り返しで、そして いつの間にか置き忘れてしまう――みたいなものだと思います。
忘れてしまうんです。
誰かに言われて思い出すみたいな事ありませんか?
この曲の中の『あなた』は夢を置き忘れて冷たくなっているといいます。
主人公は『あなた』に何と声をかけるのか。『あなた』は夢を思い出せるのか……。叶う叶わないは別にして、思い出す事だけでも……。
絶望的。
会ってすぐ帰りました。
これは どちらかと言うと、主人公が気まずい思いをしたくないだけのような気さえします。
鮮明に浮かびますね。
気まずさにしろ照れ隠しにしろ、その場の勢いで別れてしまうと、そのあとは何もできません。結局ソワソワと相手の事を考えてしまいます。
主人公はそれに苛立ったのか『テレビはいつでもつまらない』と毒づいています。きっと普段は楽しく見ている番組もあるんでしょうに、勢い余って言っちゃったのでしょうか。
ちなみにこの部分、戸田恵子(あゆ朱美)さんのカバーでは『テレビも今日はつまらない』になっています。
テレビはトランプ以下だったのか!
『テレビはいつでもつまらない』は本心から出た言葉だったのか……?
ところで、占いを作るとか壊すとか言うのに違和感を覚えるのは僕だけでしょうか。
少し調べたのですがイマイチ判然としません。「作る」「壊す」というところから、七並べのようなものを指しているのかなと思っていますが……。
とりあえず主人公はトランプゲームのひとり占いをしています。
サビです。
ここに来てやっと、主人公は勘違いに気付きます。夢を忘れていたのは自分の方で、『あなた』は気を遣っていたんだと。
これもまた鮮明に想像できます。
目の前に夢を忘れた人がいて、どうしてにこやかに笑えましょうか。そりゃ冷たくなりますよ。
きっと『あなた』は機敏に主人公の事を察したのでしょう。心優しい『あなた』ですが不器用だったのかもしれません。うまく接する事ができず、主人公はそんな『あなた』を冷たく感じてしまった……。
とても悲しいディスコミュニケーションです。
『占い』と言っているからには『クラブのジャック』にも意味がありそうですが、肝心の『ひとり占い』がどのようなものか分からないのでこれもまた分かりません。ジャック自体は家来とか、そういう立場ですが。
二番です。
日付が変わったのかどうかは分かりませんが、二人はまた会ったようです。
雲行きが怪しいですね。
主人公はサビで勘違いに気付いていますから、きっとその事について謝るなり何なりしているはずです。それでもなおうつむき加減とは……いったいなぜ?
あれー!?
もうお別れですか?
これは完全にお別れの手紙でしょ!
口下手なのか話すのさえ嫌になったのか――いや疲れてしまったんですね。疲れた『あなた』からのお別れ手紙を、主人公はくずかごに捨てました。
一方で、またひとり占いをやっています。
今度はどんな結果になるのか……。
悲しい……。
これはもう完全に主人公の願望です……。
占いの結果は何度も作っては壊された主人公の願望だったのです。
そして同時に、主人公の内面も滲み出ています。現実的に考えている主人公は別れを悲しみ、楽観的に考えている主人公は「まだ希望はあるのか!」と占いの結果に喜んでいます。
ちなみに、一度目のクラブのジャックは『怒った様な笑った様な』でした。
そして何度も何度も、祈るように『待ち人必ず来る』と言いながら曲は終わります。
○蛇足
・その他の解釈
他にも解釈のしようはあると思います。
暗い印象の強いグレープですが、徹頭徹尾 暗いという事はありません。さだまさしはちゃんと希望も歌います。むしろ希望をこそ歌っているように思います。
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