「見立てマインド」(2024年8月26日の日記)
・「田中達也展 みたてのくみたて」(日本橋高島屋)に行ってきた!
・以前より好きで追いかけているミニチュア写真家の田中達也さん。今回の催しは、彼の作品作りのメソッドを「見立てる」というキーワードを中心に構成したもの。ずっと行きたかったので間に合って良かった。
・めちゃくちゃ混んでいたせいで一瞬冷めてしまった自分を抑えつつ、人混みの中作品を見て回った。場内は、実物のミニチュアが置かれた横に、作品として公開されている写真が飾られているという感じ。
・尽きないアイディアの源流と、作品にするまでの繊細な感覚と遊び心。痺れる〜〜〜。作品はもちろん最高だけど、何よりもまず添えられている作品解説の文章が異常にオモロイ。なんでこれが1番印象に残ってるかわかんないけど、田中達也、視力2.0あるらしい。
・中でも、積み木でエスキースみたいなことしてるゾーンと、アイディアスケッチ、すごかったなあ。スケッチ段階で要素を詰め込みすぎないように小さく書いている、って言ってた。絵本作家のヨシタケシンスケさんも似たようなこと言ってたな。
・とにかく混んでいた。展示の周りは写真を撮ろうとする人でいっぱいで、一つ見るのにもいちいち待ち時間が発生していた。というかみんな、作品を見る時間というより写真を撮る時間。全員が順番に同じような写真を撮っていく時間って何なんだと思ってしまった。作者本人が完璧に撮った写真が横にあるのに。
・そのせいもあって感じたのは、彼はあくまで「写真家」だということだ。
・作品はあくまで「見立てる」だけで、ものの形を不自然に変えることはしないという特徴がある。たとえば、見ようによっては「ただの散らかった机の上」みたいに捉えることができる。そのため、見る側が積極的に解釈する必要が出てくる。デュシャンが便器を「泉」と名付けたように。
・ポップだけどシュルレアリズムっぽいし、ガッツリ現代アートだ。彼自身も、『自分のミニチュア作品は美術史で言うと「レディメイド」のジャンルだ』と書いていた。だからこそ、世界を切り取る「写真」が作品の主役であり、私が好きなのは彼の世界の見方なのだろう。
・そんなことを考え始めると、逆にミニチュアそのものは全然ちゃっちく見えてくるので面白い。途中から写真撮るのをやめてみたら、身軽だし視野も広がるしめちゃくちゃ楽しめた。公式図録は母が以前くれたので、作品にもう出会えないかもといった懸念もない。まあ、毎日新作を投稿してくれるわけだし。
・とても晴れやかな気持ちだ。今度から、こういうジャンルの展示やある種のインスタレーションは、会場でただ作品を眺めた後で図録を買おうっと。
・田中達也、永遠に語れるなあ。パワーポイントとかにまとめたろかな。
・美術展に行った時は毎回、実際に見た中で好きだった作品のポストカードを2枚だけ買っている。うち1枚はその展の象徴的な作品を選んで、あまり遠出しない祖母にあげて内容を話す。ここまでがルーティーンだ。もしかして最高の孫か?
【日本橋高島屋あるある】
エレベーターガール(ボーイ)と二人きりになっちゃって気まずい