「哀れ憐れ」(2024年10月23日の日記)

・「憐れみの3章」を観た。

・前作の「哀れなるものたち」でこのヨルゴス・ランティモス監督作品を知り、世界観というか色彩観がなんだか癖になってしまっていたので、同じクルーで新作があって嬉しい。前作とストーリーの繋がりはないけど、違う色だけど同じ味がする食べ物って感じ。今作もとても満足だった。


・物話の内容や意味の深い部分については何も理解していないので、正直どうしてこれが好きなのか分からない。見栄かも。でも時々欲しいんだよなぁこういうの。二階健さんの「ファンタスマゴリー」みたいなやつ。


・内容はどうにも言葉にしづらいが、何かに狂っている人間が、その自覚と無自覚の中で安らぎや快楽を求めてどういう選択をしていくかを傍から見る、といったところか。3つのストーリーを立て続けに見るので、より傍観者に思えてくる。オムニバスといえばオムニバスなのだが、3章とも同じ俳優たちか演じているので少し不思議。なのに、特に表立って各話がクロスオーバーしないのが面白い。頭の中で勝手に他の役が重なることで、「こいつは一体何者なんだ?」と背筋がゾワゾワする。


・カメラの構図も色味も音楽もずっとキモい。ちょっとずつズームするの怖すぎるし、ピアノのBGMずっと怖い。色彩に関しては少し穏やか。「哀れなるものたち」の方がトーンが鮮やかで異世界感あった。でもリアルさが少し感じられる分、今作の方が怖いか。時々くるモノクロのシーン、良いですねえ。

・エマストーン毎回裸だけど良いのか?良いのか。



書きたくなったので内容と感想、備忘のために。

・1章。命令に従う代わりに幸せを得てきた男。ある人を車で轢き殺せと命令され逡巡。

いやお前ずっとなにしてるんだよ!もうラケットいらないだろ!
あと、途中でアイルトンセナのヘルメット出てきた。衝突事故の話だから?
終わり方すばらしい。

・2章。遭難してた妻が奇跡的に帰ってきたが、別人のようになっていて不審がる夫。

こえ〜〜〜。
今どっち?今はどっちがおかしいの?!ってなった。最後のアレを見る限り、夫は正常だった?いや、そのシーン自体が幻?おもしれ〜。
終わり方すばらしい。

・3章。カルト教団の教祖となる人材を探す女。過ちを犯して追放されるが、適合者を見つける。

カルト教団の内情の説明の無さとか、教団の外側の人間がほぼ出てこないこととか、割と新しい気がする。狂ってるのかの判断がこちらに委ねられすぎてる。
終わり方すばすばらしい。

ちょうど、「君の地球が平らになりますように」という、陰謀論に飲み込まれた男に寄り添う人の短編小説を読んだ後だったので、3章が妙にキモくて刺さった。



・次回作も動き出してるらしい!わい!

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