「実験組織」が「不可欠な組織」になるまで~既存インサイドセールスの立ち上げ物語~
はじめに
こんにちは!Sansan株式会社 セールスディベロップメント部(以下、SD部)note編集部の太田です。今回はSD部の中で、インボイス管理サービス「Bill One」の既存顧客向けインサイドセールス組織、リニューアルセールスSD(以下、RSSD)の立ち上げを行ったメンバーにインタビューします。
プロダクトローンチから驚異的な成長を続けるインボイス管理サービス「Bill One」のRSSDを一から立ち上げたメンバーに、どのような思いで仕事に臨んでいたのかに迫ります。
※1 SMB:顧客の従業員規模に応じた組織区分。50〜499名規模の中小企業を担当。
※2 ADR:500〜2999名及び3000名以上の規模の企業を担当。
いかにBill Oneを効果的に活用いただくか
太田
RSSDはどういう組織なのでしょうか?
上農
RSはリニューアルセールスの略で、新規担当が受注した後、カスタマーサクセス担当がオンボーディングを実施した既存顧客に対し売上拡大を目指して動いています。RSSDは同じく既存顧客を担当するRS営業とペアになって顧客へアプローチしていて、SDが案件創出しないとペアの営業が目標達成できない仕組みになっています。そのため、営業とSDが垣根なくコミュニケーションをとっており、SDと営業が協力して一枚岩で戦う意識が強いです。体制としては、主にSMB領域とADR領域に分かれています。このRSSDの組織は、昨年6月から上農、山本、インターン生2名で立ち上げ始めました。
太田
そうなんですね。なぜRSSDが昨年の6月に立ち上がったのでしょうか?タイミングや背景について教えてください。
山本
既存顧客に対しても、いかにBill Oneを効果的に活用いただくかといった点に注力すべきタイミングになったからです。そもそもBill One事業の立ち上げ時には、事業成長の観点でT2D3(※3)を目指しており、新規の受注数の最大化に向き合っていました。しかし、Bill Oneの導入企業社数が1,000社を越え既存顧客の数が多くなってきたことや、2023年10月に始まるインボイス制度への対応、2023年12月末に迎える電子帳簿保存法の宥恕期間の終了などで経理業務が煩雑になるため、既存顧客のフォローが必要だったんです。そこで当時のRSは営業部門のみで回していたところを、SDも加わり強化をすべく、RSSDを新しく立ち上げました。
※3 T2D3:「SaaSの理想的とされる指標でARR(年次経常収益)を年単位で、Triple(3倍)、Triple(3倍)、Double(2倍)、Double(2倍)、Double(2倍)と成長させていくこと。
太田
立ち上げ当初のRSSDのミッションは何だったのでしょうか?
上農
主に二つありました。一つ目は、SD目標の達成です。商談数とP3件数(※4)の二つの指標を達成することが求められていました。立ち上げ当初は何をしたらよいか分からず、かなり苦戦をしました。二つ目は、RSSD組織を立ち上げ、目標を中長期的に達成し、成長していける仕組みを構築することです。課題にぶつかりながらですが、試行錯誤を繰り返し、仕組みづくりを行いました。
※4 P3件数:Sansanでは受注までの案件の進捗フェーズを7つに分けて管理しています。P3件数とは、その進捗フェーズの「P3:推進者との提案内容合意」の要件を満たす件数です。
何をしたらよいか分からないままスタート
太田
SDの目標達成を目指すにあたって、具体的に立ち上げの段階でどういったことに取り組んだのでしょうか?
山本
立ち上げ当初は、営業との連携方法や顧客への提案方法など、なにもナレッジがない状態からのスタートだったので、正直最初は何をしたらいいか分かりませんでした。これまでどういう仕組みでRS組織が動いていたのか、実際に現場での課題感はどういったものなのかをキャッチアップするところからのスタートでした。もちろん、SDとしての目標達成もうまくはいかず、最初の2週間は案件創出が0件で、達成率10%未満であったこともあり、マネジャーからも「このままだと今月でRSSD解散だぞ」と発破をかけられていました。その状況を打破すべく、営業やマネジャーを積極的に巻き込み、RS営業がどんな商談をしているか、どんなアプローチしてるのかなどを細かくヒアリングすることに注力しました。RS営業がすべて行っていた業務の中から、RSSDが担うべきことや、巻き取れることを考え見つけ出し、業務に落とし込んでいきました。
太田
取り組まれている中で、抱えていた課題はありますか?
上農
アウトバウンドでの提案、つまりこちらから投げかける提案が全く出来てないことに課題感がありました。先ほどもお伝えした通り、当時Bill Oneを導入した企業数が増えてきたタイミングで、営業の時間的リソースが限られており、営業自身が顧客への提案の電話すらできない状況でした。どうしても直近の契約更新や新プランの提案に追われる日々になりがちだったんです。そのため、さらなるBill Oneの活用提案や価値を届けきれず、売上拡大につながっていない状態でした。そこでRSSDとしては、営業が商談に集中出来る環境を構築すべく、電話やメールを活用して各社に沿った提案のアポ打診を行いました。社内では、営業と密にコミュニケーションを図り、既存顧客にBill Oneを活用いただくための戦略形成や、ナレッジの蓄積と仕組み作りを実施しました。
立ち上げ半年で「立ち上げの実験的な組織」から「成果を出せる重要組織」に
太田
実際に取り組まれてどういった結果につながったのでしょうか?
山本
半年間で、「立ち上げの実験的な組織」から「成果を上げられる重要組織」になりました。毎月目標達成し続けており、直近ではチーム目標に対して180%達成できるようになったんです!安定して目標を達成するのはもちろん、並行して再現性の高いアクションを行うにはどうすべきかにも向き合ってきました。また、RSSDとして徐々に受注に貢献できるようになってきたことは非常に良かったと感じています。
太田
RSSDとしてのやりがいを教えてください。
上農
大きく二つあります。一つ目は、多くの企業を担当できるため、仮説構築をして営業と協力しながらさまざまな提案ができることです。私がRSSDを立ち上げた当時は、SD1名に対して営業4名という体制だったので、営業が1名100社担当しているとSDは約4倍の400社に提案できる状態でした。そのため、その400社に対してどうやってBill Oneの価値を届けるかということを、それぞれ仮説立てして営業とすり合わせ、顧客へアプローチしていくことができ、それが楽しかったです。現在は当時よりもSD部の人数が増えてはいますが、営業と協力し顧客に対して幅広い提案ができることは、変わらずRSならではのやりがいだと思います。二つ目は、プロダクトのことを深く理解でき、顧客と密なコミュニケーションがとれることです。顧客の抱えるニーズやありたい姿に向けて細かい質問を受けることがあります。プロダクトの中身を追及し、顧客の質問に質の高い回答をできるようになるべく、新規を担当していた頃よりもBill Oneの細かい仕様について勉強するきっかけになりました。
太田
上農さんは2023年12月から事業企画部 ビジネスプランニンググループに異動になったそうですが、今はどういったことに取り組んでいるのでしょうか?
上農
主に、ADR組織の立ち上げ支援をしています。事業企画の目線でマネジャーを巻き込みながら、自身のSDの知見を広げるとともに、RSも含めた全体の成果最大化のための仕組みつくりの構築に向き合っています。
Bill Oneの主軸になる
太田
ありがとうございます。山本さん、今後RSSDが目指す先を教えてください。
山本
「主軸になること」です。RSはSDだけでなく営業も含め、全体でBill Oneの主軸になることを目指しています。既存からの案件創出でBill OneをT2D3に導くんだということに目線を合わせています。Bill Oneの主軸になることを目指してこれからも頑張っていきます。
太田
最後の質問です。どういう人がRSSDに向いてますか?
上農
巻き込み力や推進力がある方が向いていると思います。営業やカスタマーサクセス、マーケティングなどさまざまな部署を巻き込んでいくので、自ら主導権をもって動かせる方は向いていると思います。また市場環境が目まぐるしく変わるため、1カ月前にやったことが通用しないような世界です。常にスキルを磨き、最先端の顧客のニーズをキャッチアップしていける方が向いていると思います。
山本
新規のインサイドセールスを経験し、より経験を深めたい方や、マーケティング要素の強いインサイドセールスを担いたい方が向いていると思います。新規のインサイドセールスとは異なり、アクティブリードが割り当てられるわけではないため、顧客の状況や市場環境からアプローチ戦略を練る必要があります。
最後に
二人の熱量が溢れ出るインタビューでした。組織を新しく立ち上げるという、普段聞けないストーリーを語っていただきました!常に組織の最大化のために、他部門を巻き込んで課題に向き合ってきたからこそ、不可欠な組織になったのだと強く感じました。
この記事がインサイドセールス組織の立ち上げや、これからインサイドセールス職に挑戦するぞ!という方の参考になれば幸いです。また、Sansan株式会社のインサイドセールスに興味が湧いた方、インサイドセールス職についてもっと知りたい方は、ぜひカジュアル面談へお申し込みください!
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次回の更新もお楽しみに。またお会いしましょう!
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