陰謀うずまく王宮で出会った初恋と呪いの行方 ドラマ「太陽を抱く月」 #561
2000年代の中頃から増えてきた韓国のフュージョン時代劇は、CGを使った映像処理や、ワイヤーアクションを使った格闘シーンなど、これまでのお堅い雰囲気を覆すものでした。
ヘアスタイルや衣装なども現代風にアレンジして、カラフル&ゴージャスだったり、シック&繊細だったり。ドラマそのもの以上に目を引くセットもあります。
わたしは「チョガッポ」と呼ばれる韓国の布が好きなのですが、ドラマ「太陽を抱く月」を観て、さらに好きになりました。キム・スヒョンとハン・ガイン主演のファンタジーロマンスです。
<あらすじ>
太陽のように輝く世子フォン、優しい月のような少女ヨヌ。二人は運命に導かれるように恋に落ちるが、婚礼を目前にしてヨヌが病で命を落としてしまう。8年後、王となったフォンは体調不良に襲われる。治療のために送り込まれた巫女は、ヨヌに瓜二つだった。過去の記憶を持たない彼女には、隠された秘密があり……。
チョン・ウングォルの小説をドラマ化した作品で、「サイコだけど大丈夫」のキム・スヒョンが初めて時代劇に挑戦。視聴率40%を超える大ヒットドラマになりました。世子と内官とのコミカルなやり取りは必見。
初恋・陰謀・運命の再会と、韓国ドラマの王道をファンタジックな世界に落とし込んでいます。この世界観を作り上げたのは、やっぱり衣装とセット。韓服や髪飾りの刺繍など、ひたすらかわいかった。
中でもキム・ヨンエ演じる大王大妃のゴージャスさ。優雅にお茶を淹れるシーンなんて、ため息が出るほど美しいです。話しているのは「呪い」についてなんですけどね。
(画像は聯合ニュースより)
ネクスト韓流コンテンツは「インテリア」ではと予想しているのですが、「ポジャギ」は、もうずっと日本の“おばさま”世代に人気なのだそうです。よく行くお店では、一か月に一度は買いに来る奥さまもいると聞きました。
「ポジャギ」とは、風呂敷のことです。ものを包んだり、食卓を覆ったり、使い方は日本と同じですね。韓服を作った際に残った端布を、一枚一枚縫い合わせたり、刺繍をしたりして作られます。
韓国では「小さな端切れをつなぎ合わせた布=チョガッポ」と呼ばれています。
ソウルにある「韓国刺繍博物館」では、昔の工芸品をたくさん見ることができました。残念ながら閉館してしまったのですが、 許東華館長の本は日本でも出版されています。
以前、インタビューしたポジャギ作家の先生は、「西洋のパッチワークなどは端切れで模様を作り出す面白さがありますが、「チョガッポ」は布の構成美そのものが芸術となる伝統工芸です」と語っていました。布が貴重だった時代に編み出されたエコな技術ともいえますね。
自由な発想でつながれていく組み合わせの妙は、ドラマにも活かされているんではないかな。