激変に飛び込む
去年の12月に35歳になった。
若い頃に「35歳」と聞くともう中年な気がしていたが、全くそんなことはないらしい。私の頭の中は26歳ぐらいで止まっている。
あわよくばずっと美味しいだけのものを食べたいし、楽しいことをしたいし、何も考えずに眠りこけたい。栄養なんて考えずにやるべきことをやらずに時間を無視したい。でもそれが難しいことも分かっている。35歳だもの。
親はずっと存在するものだと思っていたが、会いに行くたびに小さくなる気がする。私より長生きしてほしい。私の世界からいなくならないでほしい。でもそれが難しいことも分かっている。35歳だから分かる。
去年「ブライダルチェック」というものをした。
妊活に入る前の準備みたいなやつだ。結婚前にする人も多いらしいが、いかんせん私たちはその辺りに疎い。やっと重い腰を上げて病院に行った。
結果、夫には問題がなく、私に心配な数値が告げられた。
「甲状腺の病気かもしれませんね」
今までも子宮筋腫が見つかったら婦人科系の病院に通ったり、体力の無さが気になればジムに通ったりして、自分なりに妊活について色々と対処はしてきたつもりである。次は甲状腺か。というかまた私か。
良いなあ夫は健康で。あんなに自由奔放に生活しているのになあ。
こればかりは言っても仕方ない。夫に非はない。健康おめでとう。
甲状腺専門の病院に通う日々がスタートしている。
結果から言うと「無痛性甲状腺炎」と言う病気で、想定した病気の中でも軽いものだった。一般的には数ヶ月で良くなるらしい。
手の震えや、動悸や息切れも少なくなってきた。
妊活アプリを入れた。基礎体温計を買った。足や腰を温めている。筋トレをしている。お酒を控えるつもり。葉酸を摂るつもり。
仕方がないのだが、なんで私ばかり準備が多いんだろう。
仕方がないことが多すぎやしないかね。私は不公平が嫌いだ。
ここから、私の普通の日々はいつ戻ってくるんだろう。子育てのことを考えると10年ぐらいはかかるのかもしれない。
自己がなくなるのってどういう感覚なんだろう。怖すぎる。
10年後は45歳。
その時に私は何者になっているんだろう。
産みたくないわけではない。
妊娠したくないわけではない。
ただ、人生が確実に激変すると分かっている場所に飛び込むのが怖い。
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