Doppelgänger
これから先を、代わりに生きてくれる人間を欲していた。私が死ぬことできっと壊れてしまうであろう唯二人だけが枷だから。その枷がいずれ消えゆく、その時を待つことさえ苦痛だから。私に宿る21gの本質を殺して、空いた隙間に幻を詰め込めてしまえたなら。そう願っていた。
死を共有つ存在を欲していた。生の美徳に縛られず強要することもない、退廃的で消極的に虚無な誰かと愉しく沈んでゆきたかった。微少にでも輝きを残す存在はその相手には相応しくない。詰まるところ、己の鏡像くらいでしかその条件は満たされなかった。それすらも、当然幻でしかなかった。
今も昔も変わらない。
ねえ。私は貴方を待つことしか出来ない。
だから、なるべく早く。