書評:『本を読む時に何が起きているのか』(ピーター・メンデルサンド)
Amazonで注文をしていたのだが、なかなか来る事が無く、注文して半年ぐらいからして、配送されてきたので、読んだ。
確か、脳科学の本でもよんで、この本の存在を知ったように記憶しているのだが、定かではない。この本は新しいので、何かおかしいのだが。
この本の内容は、高尚である。
私がこの本に興味を持ったのは、「知覚しているもの」と「目の前にあるもの」の違いについてである。この二つは明らかに違うのだが、この二つが違いがあると言う明らかな真実を意識できない人が多い。「自分が見たものが真実であり、それは、他の人もみているものと同じだと疑わない」人が世の中には存在する。
この現象は、AIを語る時にも出てくる。真実と知覚の違いを認識できていないので、AI万能論を振りかざしてくる。だいたい、AIをカスタマイズするにしても、私の脳みその近くに会わせてカスタマイズするのと、あなたの脳みそにあわせてカスタマイズするのでは、AIの中身が異なるはずだ。何故なら、その二つの近くシステムは異なるからである。だから、一つのAIで二人以上の知覚と「ツーカー」なAIなど出来ないのである。
という話が同様に起きるのは、本を読んでいるときである。
同じ文章を読んだ時に、人間が何を知覚するのか、ということに興味を持った。この本を読んでみると、やはり、それは人によって異なる。この本は思考実験のようなものなのであるが、確かに、私が想像していたより、それは曖昧模糊としたもので、人間にとって知覚出来ないものである。
本を読んで何かを想像するということは、大いに深遠である。
そして、脳科学で解明されていない「意識とは何か?」の解明に近づく為にも、私は、「本を読んでいる時に何が起きているのか」の解明は役に立つと思う。
そして、この本の結論は、「本を読んでいる時に何が起きているのかは良くわからない」である。