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書評:『アメリカの大楽観時代が始まる 中国とイランはすでに敗れた』 (日高義樹)

毎度、ハドソン研究所の研究員の日高さんの本。北朝鮮の情勢が怪しくなったので、改めて買って、読んでみた。

第1章は、トランプの政策で株価が上がってて米国は楽観的になっているよね。この楽観はすごいという話になっている。まあ、感想はあとで。

第2章はアメリカは中国に勝った。米国は中国と通商戦争しているけれども景気が折れることもなく成長している。中国はしぼんでいて、米国の勝ちだねという内容。ついで、米国人は中国が嫌いになったという話。

第3章はイラン。ソレイマニというテロを操るイランの司令官が殺されてしまい、イランもどうにもならなくなった。サウジアラビアをもはやいらなくなった米国は、サウジを守らなくなった。米国はトルコに基地を持つ方向になったよと。アフガン戦争を始めたオバマな史上最悪で、中東をごちゃごちゃにしたよね。そして、米国は石油が出るから、もはや中東どうでも良い。コストかかるから撤退したいモードという話。

第4章は、トランプは韓国見捨てて朝鮮から撤兵したいという話。北朝鮮は、2019年12月に実験を行っていて、MIRV(Multiple Independently-targetable Reentry Vehicle)の実験だという話。ミサイルの複数弾頭。核兵器の技術は5つぐらいあるけど、結構なところまで北朝鮮はきている。中国は、米国の技術を盗み、ロシアの技術を借りているのに過ぎないのであまり恐れることはないが、北朝鮮は自力でそれをやっているから、結構核兵器大国になってきた。米国的にも怖いという話。これもあとで。

第5章は米国内の話。オバマの最後っ屁である民主党の活動員が官僚に入り込み、米国の運営の邪魔している話と、マスコミがマスゴミになって、民主党だけの応援をしているけど、実態が違う話。

第6章はまとめで、トランプ大統領は、弾劾も吹っ飛ばして最強という話。

というわけで、感想


第1章。日高さんの安全保障のネタは結構役に立つのだが、経済の方はさっぱり外れるところも多いし、ご専門じゃないのか、それはないんじゃないのという話も多い。2020年2月末の本だからタイミングが微妙だったというのもあるけど、株価の話は、だいたいウォール・ストリートの友人からくるのだけれど、だいたい金融関係者というのはかなり根拠のない話が多いので、私はあてにしていない。本当に金回りの金融の話なら信じるんだけど。

米国人が楽観的になっているのはよくわかるのだが、楽観が極める時に暴落があるわけで、「今までにない楽観が続く」という予想がメジャーになった時は、株価のピークであるときが多い。まさにそうだったよね、というのが、3月を過ぎて、6月になった今、思うことです。私は、楽観はずっと続くとは思ってませんでしたけどね。


あとは、第3章の中東。米国で石油が取れるようになって、米国とサウジアラビアは対立しだしているという話。米国が中東を守る必然性がなくなったという話。コストばっかりかかるから撤退したい。アフガンで無意味な戦争を始めたのはオバマで、現場に出たことのないエリート士官の言葉を信じて泥沼アフガン戦争にのめり込んだオバマ大統領。結局ISを冗長させ、シリアの難民を作り出した張本人こそ、オバマである。そこを見捨てて、トルコに基地をおいとけばいいんじゃねというトランプという話でした。シーレーンだという話はありますが、基本、米国の権益と関係ないので、日本としては怖いところで、日本の石油を米国は守ってくれないという話かと。政治家、よく聞いとけよ。


第4章は北朝鮮の話。軍事的には、MIRVというのが極めてやばそうだ。ミサイルに核弾頭を複数乗っけてくる。河野防衛大臣が早漏して、地上のイージスシステムの停止を発表したけど、結局、北朝鮮の核ミサイルを日本の軍事力では止められないという話であると私は理解した。

北朝鮮のミサイルは結構高度で、ロシアの技術支援もあるのか、北朝鮮も器用なのか、変則的な軌道をとったり、ロフテッド軌道(すごく上の方まで撃って落ちてくるので、イージス艦からのミサイルでは当たらない)を撃ってみたり、そこから弾頭をばらけさせたりすると、イージスから数発ミサイル撃っても、迎撃できないと見るのが普通だろう。

とはいえ、ないよりはましなので、代替策がないまま、停止を発表する早漏ぶりに、中坊の幼さが残る河野Jr. であるが、こういう人が防衛大臣とかやっているのが、日本は恐ろしい。まあ、外交もできないんだけどね、この人。


2020年2月の時点では、トランプ再選がバッチリで、米中貿易戦争も米国の勝ちで、もう、バリバリ、米国の時代ですねというバブル絶頂の米国を描いたのがこの本でしたが、そのあとに、コロナウイルスがあり、もう一冊、日高さんは本を書いたわけですが、これは、また次回に。



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