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元教授、「明鏡止水」でパリ五輪のスポーツクライミングを復習する: 定年退職136日目

昨日、パリオリンピックが無事に幕を閉じました。閉会式では、トム・クルーズが登場するなど、次回のロサンゼルス大会への期待が高まる演出で、大いに盛り上がりました。

前回は、私のレスリングに関する知識・理解不足を補うため、試合の後でしたが、NHKの番組「明鏡止水 武の五輪」の「レス力(りょく)を磨け」を見直しました。その結果、レスリングは力任せではなく、体の仕組み、重心、バランスを駆使する奥深い競技であることを学びました。(「明鏡止水」については文末の<追記>も参照ください)


今回は、その前日にスポーツクライミングを観戦して感激したので(8/11, 12, note)、再び「明鏡止水 武の五輪」の最終回「重力を制する」を視聴して復習しました(下写真)。特に、男子で銀メダルを獲得した安楽宙斗選手や、女子で4位の森秋彩選手(タイトル写真:注1)の動きには多くの疑問点を持っていました。例えば、他の選手が筋力で登っているように見えるのに対し、ふたりは力強さをあまり感じさせずに登る様子や、複数の動きを組み合わせた登り方が印象に残りました。その違いをこの番組で明確にしたかったのです。

「明鏡止水 武の五輪」、最終回「重力を制する」(注1)


今回の「重力を制する」編では、ブレイキン、スポーツクライミング、中国武術、忍術(パルクール)などの専門家を迎え、岡田准一さんとケンコバさんの司会で番組が進められました。指一本で相手を崩す方法や体重を重く使うテクニックが紹介され、その原理、全身の連動、そしてイメージする力の重要性が解説されました(下写真はその一例)。例えば、足から肩、肘、手と連動させることでコントロールする方法を説明していました。

指一本で相手を崩すデモンストレーション(注1)


東京オリンピック、スポーツクライミング女子複合銀メダリストの野中生萌選手が出演し、競技における動きの連動性を紹介しました。ボルダリングでの実演を交えながら、足先から受けた力を全身を使って指先に伝える方法を披露してくれました。

驚いたのは「腕の力で体を引き上げるのではない」という点でした。下から上に力を伝えるために、まず体を下げる動作が重要とのこと(下写真左参照。競技中によく見かける形です)。この状態を基本に、膝を伸ばし、手を伸ばしていくそうです。つまり基本は下半身で、足の力をいかに手に伝えるかが重要なのです。特に、クライミングでは足がついていない状態から始まるので、足の指先のみの状態からどう伝え、どう蹴れるかで決まるそうです(下写真)。

下から上に伝えるために、まず体を下げる動作が重要
連動の動きで登っていく野中選手(注1)
足の指先のみの状態(注1)


今回の番組を通して、スポーツクライミングも前回のレスリング同様、筋力・肉体を駆使するのはもちろんですが、体の仕組み、重心、バランスを頭で理解し、活用することが重要なことがわかりました。そして、番組で最後に紹介された忍術の「火事場の馬鹿力を常に発揮できるように鍛錬をする」という言葉は、私には特に印象に残りました。


<追記> この番組は司会が岡田准一さんとケンコバさんですが、特に岡田さんのキャラクターが素晴らしいです。もともと「V6」というグループに所属していた男性アイドルでしたが、映画の主演を務めるような俳優になりました。興味深いのは、ある時から体を鍛え始め、格闘技(武術、柔術)も始めたことです。今回はその特技を活かして「武術翻訳家」として司会を務めています。一方で、岡田さんは関西ではひらかたパーク遊園地の「園長」(正確には「超スーパー園長」)としても人気があります(下写真)。この遊園地は京阪電車の「枚方公園駅」が最寄りですが、特急は停まりません。しかし、この春には特急に乗ると「特急を枚方公園駅に停めま〜す!(……)無理でした〜!」という岡田園長の肉声アナウンスが流れるようになりました。このように、明るくお茶目なところもこの番組の司会に活かされていました。

ひらかたパークの「園長」、岡田准一さん(注2)

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注1:NHK テレビより
注2:ひらかたパーク 公式ホームページより


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