元教授のシンガポール滞在記(4): ラッフルズホテルとチャンギ空港(定年退職146日目)
ここ数日、福岡から出発してシンガポールを訪れた話を綴ってきました。前々回には、フォークグループ「チューリップ」の関係でライブ喫茶「照和(しょうわ)」の話も少し紹介しました。その執筆中にふと思い出したエピソードがありますので、まずはそれをお話ししましょう。
大学1年生の頃、部活の全日本大会に参加するため、大阪南港から阪九フェリーで福岡へ向かいました。ところが、1回戦で1週間前に練習試合をした同志社大学と当たり、初日であっさり敗退。時間ができたため、フォーク好きの友人に連れられてライブ喫茶「照和」を訪れました。
私もフォークは好きでしたがこの店のことは知らず、熱く語る友人に押し切られた形でした。店に入ると、奥まったステージで、長髪のヒョロっとしたフォークシンガーがギターを爪弾いていました。ステージが始まると、彼は新人と言いながらも、ギターの腕前も歌唱力も素晴らしく、メッセージ性の高い歌を披露しました。間のトークも面白く、「照和にはこんな才能のある人が集まっているんだ」と驚かされました。彼は「雨の嵐山」という曲でデビューすると語り、名前を長渕剛(当時は、「ごう」?)と名乗っていました。
そう、彼こそが、今や日本中に熱烈なファンを持つ、あの長渕剛さんだったのです。彼がメジャーで有名になるのはその数年後のことでしたが、若き日の彼の歌声を生で聴けたことは、今でも忘れられない思い出です。現在の筋骨隆々とした姿とはかなり違いましたが、私にとって彼は、デビュー当時から変わらない魅力を持つ、かけがえのない歌手の一人なのです。今でもカラオケの締めくくりに彼の「乾杯」を歌うことがよくあります。
さて、シンガポールの話に戻りましょう。滞在中、私は憬れのラッフルズホテルを訪れました(下写真)。一度は宿泊してみたいホテルでしたが、スケジュールとお財布の都合がつかず希望は叶いませんでした。それでもその雰囲気を味わいたくて、立ち寄りました。
ラッフルズホテルは1887年に開業した、シンガポールを代表する由緒ある高級ホテルです。ミシュランガイドのシンガポール版でも最高評価を受けています。特に有名なのは、多くの著名な小説家、例えばサマセット・モームやラドヤード・キプリングなどがインスピレーションを求めて訪れたと言います。また、エリザベス・テイラーや女王エリザベス 2世、チャールズ・チャップリン、マイケル・ジャクソンなどそうそうたる顔ぶれも宿泊しています(私は、村上龍さんの同名の小説・映画でも、このホテルを知っていました)。
入り口では、ターバンを巻いた雰囲気のあるドアマンが立ち、期待が膨らみます。歴史を感じさせる壮大なロビー、真っ白な館内、美しい庭園を散策させてもらいました。そして、お目当てのロング・バーへ。目的は、100 年以上の歴史を持つ、有名なジンベースのカクテル「シンガポール・スリング」を楽しむためです。テーブルには無料の殻付きピーナッツが置かれ、ウェイトレスに聞くと「食べた殻は床に捨ててください」と言われ、伝統的な風習で面白かったです。美味しいカクテルと優雅なひとときを楽しみました。(下写真をお楽しみ下さい)
帰国時には、チャンギ国際空港を利用しましたが、この空港がまた素晴らしかったです。チャンギ空港はシンガポールの国際空港というだけでなく、東南アジアの主要ハブ空港でもあります。最初にシンガポールに到着した際は、入国審査後に空港内は素通りですぐに市内へ向かってしまいました。しかし、帰国時は数時間前に空港に到着する必要があり、そのおかげで、2023年の「世界の素晴らしい空港ランキング」で1位を獲得した空港を、じっくりと探検することができました。
空港内には2000本以上の樹木が生い茂る庭園や12mの滑り台などのリフレッシュエリア、充実したショッピング、ダイニング、エンターテインメント施設があり、一人旅でも飽きることがありません。フリーで利用できるコンピュータなどのワーキングスペースも備えており(今なら日本でも駅などでよく見かけますが、これは15年前のことです)、12回もの世界最高空港の称号を得た理由がよくわかりました。
これで、私のシンガポール滞在記は終了ですが、夏休みの間、他の地域の滞在記を少しずつ書いていくつもりです。どうぞ、次回もお楽しみに!