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トリビュートアルバムへのいざない (その2):ユーミン(松任谷由実)ファンの集い(元教授、定年退職164日目)

前回の尾崎豊さんのトリビュートアルバム紹介に引き続き、今回はユーミン(松任谷由実)さんのトリビュートの魅力に迫ります。尾崎さんの場合は、彼の夭逝ということもあり、トリビュートアルバムにはレクイエム的な色彩があったように思います。一方、現役で活動を続けているユーミンさんの場合は、彼女の音楽を愛するファンの集いのような場となり、その音楽性と影響力の広さを改めて実感しました(タイトル写真:注1)。

<追記1> トリビュートアルバムに決まった形式はありません。対象はアーティストやグループとも限らず、例えば、アルバム「アトムキッズ」は手塚治虫作品への、「ジブリをうたう」はスタジオジブリ作品への、「ファイナルファンタジー・トリビュート 〜Thanks〜」はゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズへのオマージュとして制作されています。


ユーミンさんに関しては、詳細な紹介は不要な存在かと思いますが、「荒井由実」時代に「ひこうき雲」「ルージュの伝言」「翳りゆく部屋」などの曲でお目見えし、数々の名曲を世に送り出し、その後も多くのオリコン記録を打ち立ててきました。また、「『いちご白書』をもう一度」「赤いスイトピー」「Woman “Wの悲劇”より」「時をかける少女」など、他のアーティストへの楽曲提供や、「オールナイトニッポン」のラジオパーソナリティーとしても活躍しており、その分野は多岐に渡ります。そして2022年には、それらの功績が認められ、シンガーソングライターとして初めて文化功労者として表彰されました。(下写真もどうぞ)

ユーミンライブ会場(注1)
ユーミン熱唱(注1)

<追記2> 私自身、荒井由美さんとしてデビューした時からのファンで、当時の「ウォークマン」にはユーミンとサザンの曲ばかりが入っていました。個人的な思い出としては、「14番目の月」が特に思い入れのあるアルバムで、どうしても眠れない夜に(「羊」代わりに)聴くと、不思議と心が落ち着き、眠りにつくことができたものです。

私の iPhone から

さて、ユーミンのトリビュートアルバムですが、これまで様々な企画で10枚以上がリリースされています。つい1年前にもデビュー50周年の記念アルバム「ユーミン乾杯!!」が発売され、大きな話題となりました。また、海外のアーティストが参加したインターナショナル版も制作されていますし、JUJUさんや今井美樹さん(布袋寅泰さん)らのように個人でユーミンの楽曲をカバーしているアーティストもいます。それだけ多くの人々に愛されている証しだと思います。その中で私が特に好きなアルバムは、2003年の30周年記念アルバム「Queen's Fellows」です。鬼束ちひろさん、スピッツ、aikoさん、井上陽水さん、椎名林檎さん、小野りささん、槇原敬之さんらが参加しています。

これらのトリビュートアルバムの中で印象的な曲は、椎名林檎さんの「翳りゆく部屋」、奥居香さんの「恋人がサンタクロース」、aikoさんの「セシルの週末」、今井美樹さんの「中央フリーウェイ」、森高千里さんの「あの日にかえりたい」などです。いずれもユーミンファンを公言するアーティストによるもので、その熱演が素晴らしいです。特に、椎名さんのシャウトが入った「翳りゆく部屋」は秀逸で、ロック調のアレンジに迫力があり、原曲とは全く違った名盤となっています。aikoさんは、ユーミン本人からこの曲を指名されたそうで、まさにハマり役になっていました。

1999年のトリビュートアルバムから


ユーミンの楽曲は、音楽以外の分野にも影響を与えています。例えば、「Yuming Tribute Stories(新潮文庫)」という、ユーミンの曲をモチーフに6人の作家が小説を執筆した作品があります。小池真理子さん、桐野夏生さん、綿矢りささん、柚木麻子さん、江國香織さん、川上弘美さん というそうそうたる作家陣が参加しており、改めてユーミンの音楽が持つ物語性と、多くのクリエイターへの影響を感じました。私は今回初めてこの作品集を知り、先程、電子書籍を「ポチッ」と購入しました。近いうちに、じっくりと読んでみたいと思っています。

Yuming Tribute Stories(新潮文庫)

次回は、他のアーティストのトリビュートアルバムについても触れていきたいと思います。音楽ファンの皆様、どうぞお楽しみに。

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注1:NHK BS、松任谷由実LIVEスペシャルSURF&SNOW in Naeba Vol.40より


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