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アメリカの庭先に現れた小さな訪問者: リスとの心温まる日々 (元教授、定年退職211日目)
前回の note では、30年前の冬、アップステートNYで撮影したベランダの雪に残された謎の足跡の写真を紹介しました。おそらく「リス」のものだろうと推測しましたが、その推測には理由がありました。根拠となる写真がこちらです(下写真)。右側に鮮明に雪中に残された足跡。これはもう、リス以外考えられませんよね。
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ベランダの常連客:愛すべきリスとの交流記
私が住んでいたアパートには、小さな林が共同エリアとしてありました。そこには多くのリスが生息しており、我が家を楽しませてくれました。今日は、そんなリスたちとの思い出話にお付き合いください。
ここでのリスは、日本で見かけるような縞模様の「シマリス」とは異なり、全身が茶色い種類でした。渡米直後から、ベランダにも時々姿を現すようになり、我が家の人気者になりました。最初は警戒していたのか、なかなか近寄って来ませんでしたが、餌で気を引くうちに徐々に距離を縮めてきました。餌には、塩分を含まないクラッカーやクッキー、木の実などを用意しました。(タイトル写真、下写真をどうぞ)
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するとどうでしょう。リスたちは徐々に餌をねだりに来るようになり、お腹がいっぱいになると、ベランダでくつろぐ姿まで見せるようになったのです。まるで猫のように体を伸ばしてリラックスする姿は、なんとも愛らしいものでした。一番下の写真では、リスが家族で遊びに来たときの様子です。塀の上に仲良く4匹が集まっています。(下写真をどうぞ)
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面白いことに、リスたちは餌をたくさんもらうと、ほっぺたいっぱいに詰め込んで林に戻り、穴を掘って埋めていました。どんぐりを埋めるのは理解できますが、クラッカーまで埋めていたのには、思わず笑ってしまいました。
さまざまな場所で見かけたリスの姿
大学のキャンパスにも、多くのリスが見られました。正面を見て歩いていると気づかないことが多いのですが、ふと振り返ると、何匹ものリスたちが動き回っているのです。人間の視線を感じ取っていたのかもしれませんね。ちなみに、大学にはアライグマもいましたが、彼らは昼間は現れず、夕方によく見かけました。自然豊かな大学でした(下写真)。
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旅行先でもリスを良く見かけました。下写真は、カナダを訪れた帰りにサウザンアイランドに一泊した際に撮影したものです。早朝に、宿泊先の周辺を真っ黒なリスが走り回っていました。また、別の場所では灰色のリスも見かけ、地域によってさまざまな種類のリスがいることを知りました。どのリスも、すばしっこくて可愛らしかったです。
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台所の音の正体は?:ネズミ騒動
ある日、奥様が料理をしていると台所の下からカリカリと音がするので、「こんなところまでリスが来ているのか」と不思議に思っていたそうです。しかし、排水口からヒゲが見えたので、棒で突くと中に消えてしまったとのこと。その話をアパートの管理人に伝えると「それはリスではなくネズミだろう」と言われ、「ネズミ取り」を渡されました。映画などでよく見る、万国共通のシンプルなあの装置です。こんなもので本当に捕まえられるのかと思いましたが、あっという間にネズミは捕まってしまいました(下写真)。その日は日曜日でしたが、管理人さんに連絡して処分をお願いしました。
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日本に帰ってからは、リスは動物園以外で見かけることがなくなりました。少し寂しい気もしますが、アメリカでのリスとの日々は、私の大切な思い出です。