アクセントって何?(元教授、なまってる?:その2)定年退職50日目
キリの良い定年退職50日目なので、少し気の利いた話題も考えたのですが、折角なので昨日からのつづきにしました。今回はアクセントの話です。
私が生きてきて(大げさですが)未だに全く修得できていないことの一つが「アクセント」です。他にもあるかもしれませんが、今日はそんな話です。
前回も書きましたが、私の出身は茨城県の水戸です。実は茨城は、アクセントがわからない人が多いことで知られています(タイトル図:注1、下詳細図:注2。 <追記> 参照)。たとえば、降る「雨(アメ)」も、なめる「飴(アメ)」も同じですし、数字の「一(イチ)」も、場所の「位置(イチ)」も全く一緒です。アクセント(抑揚)の概念自体がまずよくわからないのです。特に関西の人はアクセントに厳しいので、よく直されます(関東と関西で違うという話も良く聞きます)。しかし、直されても全く同じにしか聞こえませんから、直しようがないのです。
“ ちなみに、英語の授業でアクセントを勉強してもよくわかりませんでした。試験に出ても、何のことやら?? 多分、茨城県人のアクセントの試験の正答率は低いのではないかと思います。”
日常では、たいていの場合、アクセントが違うのは「この人なまっているから仕方がないな」で済むのですが、時々そうもいかないことがあります。それは人の名前です。全くイメージが変わってしまうことがあり、極端にはバカにされていると感じることもあるようで、気分を害された人もいました。申し訳ありません、こんな理由なのです。
一方、アメリカに行きますと発音はもちろん重要ですが、同じくらい重要なのがアクセントでした。一時留学をしていた時、本当に痛感しました。一番苦労した(笑った)エピソードは、ある時、大学のお店にアイスクリームを買いに行った時のことです。その大学は有名な農学部の農場があり、クリームたっぷりのアイスクリームが絶品なのです。しかも日本に比べて空気が乾燥していますので、ことさらおいしいのです。そこで、「バニラ」のアイスクリームを頼みました。
それが、通じません。英語が一発では通じないのは私の場合よくあることですので、丁寧に唇を噛み「ヴ」にアクセントを置いて、「ヴァニラ」と発音しましたがダメでした。ゆっくりと「ヴァ・ニ・ラ」と言っても、通じません。しかたがないので「白くて、甘くて・・・」と説明すると、ようやく「オー、ニラ!」。
エッ?「ニ」にアクセント?(下図:注3) それでは、と次から「ニラ」と発音するとスッと通じるようになりました(唇かんで苦労して「V」の発音をしなくても通じる!)・・・というくらいアクセントは重要なのです。
話が長くなりましたが、英語でアクセントは重要です。では、アクセントの概念のない私はどうしていたのかというと、アクセントの部分を強くではなく「長く」発音してごまかしていました。ネイティブに聞くと、強く発音する所は長く発音するから、それで大丈夫だと教えてもらいました。
次回も続きます。お楽しみに!
<追記> 上記の全国アクセント図(タイトル図、詳細図)を見ると、茨城県周辺は予想通り「無アクセント」地域でした。興味深いのは、無アクセント地域がもう1ヶ所あり、それが九州の宮崎周辺と初めて知りました。前回noteで、私が九州出身と間違われた話を紹介しましたが、この共通点が理由かも知れません。
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注1:wiki より
注2:大辞林、 特別ページ「全国アクセント分布図」より
注3:研究社 新英和中辞典より
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