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元教授のシンガポール滞在記(3): Sting とシンガポール国立大学(定年退職145日目)

前回、シンガポールのセントーサ島で開かれた国際会議に参加した際、ハードロック・ホテルのザ・ポリスの部屋に宿泊した話を紹介しました。実は、奥様はザ・ポリスのファンで、「Every Breath You Take」が特にお気に入りとのこと。そこで、ボーカルの Sting の最近の映像を YouTube で探してみたところ、数年前のものを見つけました。コンサートではなく、オープンエアのリラックスした場所でギターを片手に演奏する映像でした(下写真、注1)。Sting は年を重ねていましたが、その声は健在で、感動しました。ファンはもちろん、そうでない方にもぜひご覧いただきたいです。「Englishman in New York」の映像と合わせて、URL を注1に掲載しておきます。アート・ガーファンクルの最近の歌声にも感激したばかりでしたので(6/28, note)、これも嬉しい発見になりました。

Sting の映像(注1)


さて、学会終了後、翌日からの NUS(シンガポール国立大学)訪問に備え、市街地に戻りました。その際、まず驚かされたのは、地下鉄の乗客のほとんどが下を向いてスマートフォンに熱中していたことです(下写真)。今では日本の電車内でも見慣れた光景ですが、これは15年前の話。シンガポールのデジタル文化は、当時から日本をかなりリードしていたようです。

シンガポールの地下鉄の様子

地下鉄では、他にも気になる点がありました。それは、誰も車内で飲食をしていないのです。日本でも食事をしている人こそほとんどいませんが、水やお菓子を口にする人は珍しくありません。しかし、シンガポールではそれすら見かけません。聞けば、地下鉄内での飲食は禁止されており、違反すると罰金が科せられるとのこと。大人ならまだしも、小さな子供がいる場合は大変そうです。

また、シンガポールではチューインガムの持ち込みや食用も禁止されていると聞いていましたが(罰金が80万円とのこと)、ほかにもかなりいろいろ厳しい規則があるようです。例えば、街でのゴミのポイ捨て、鳩へのエサやり、トイレの水の流し忘れ、全て罰金の対象だそうです。そのため、「シンガポールは2つの意味で Fine Country だ(Fine: 素晴らしい、罰金)」と皮肉を言う人もいるらしいです。街が美しいのは素晴らしいですが、強制されるのは少し窮屈に感じてしまいました。


市内では、先日ホテルのルームサービスで美味しかったチキンライスを食べに出かけたり(タイトル写真)、足の角質を小さな魚に食べてもらう店を覗いたり、「吉野家」で日本にはなかったすき焼きメニューを楽しんだりしました。夜は、翌日の NUS での講演の準備にあてました。(下写真)

街中の様子
翌日の NUS での講演の準備も


NUS は毎年、アジアの大学ランキングで1〜3位です(THE、QS の異なる評価機構でいずれも)。東大、京大などより高い評価を受けています。一体どこにそのような魅力があるのかも、興味津々でした。そんな折、知人の NUS の L教授から「シンガポールに来るならぜひ講演を」と誘われ、喜んで訪問することに。学内を案内してもらうと、とても広いキャンパスに驚きましたが、さらに拡張開発も進められているとのこと。また、世界中から優れた教授を高待遇で招聘しているとのことでした。私にも「来ませんか?」とお世辞で誘っていただいたのですが、「さすがに暑いので・・・」とだけ答えました。それに対し、中国出身の L 教授は「そうなんですよ、四季がないのは辛い」と笑っていました。

シンガポール国立大学


研究室を訪ねると、ほとんどの大学院生は奨学金を受けており、様々な国から留学していることがわかりました。学生たちは皆、学ぶ意欲が高く、講演後にはレベルの高い質問が次々と飛び出しました。さらに印象的だったのは、研究室の設備の充実ぶりで、特に安全設備の充実に驚かされました(下写真)。最近は日本でも設備が拡充してきましたが、当時からこれだけ整備されていたことに感銘を受けました。NUSの高いランキングの理由がよく理解できた気がします。

NUS での安全設備の充実


次回はシンガポール滞在記の最終回です。あの有名なラッフルズホテルを訪れた話などをご紹介します。どうぞお楽しみに!

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注1:YouTube番組より
「Every Breath You Take」
https://www.youtube.com/watch?v=H-4yodHCvu0
「Englishman in New York」
https://www.youtube.com/watch?v=rp-Oiu3TI60


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