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高校野球の醍醐味と宮本武蔵の「五輪書」: 元教授、定年退職131日目

前回、甲子園球場での高校野球について少し書きました。自宅から1時間半の距離なので、2年に一度くらいですが(近い割には少ない!)、天気の良い日に高校野球を観戦しに行きます。

以前、高校野球ファンだった中学生の甥を甲子園に連れて行ったことがありました。その日は、私の住む豊中市が40℃を越える日本一暑い日でしたが、甥の「どうしても行きたい!」という希望で、朝一の試合だけ観戦することにしました。その試合は、甥の地元・横浜高校が登場する試合で、後に阪神の左のエースとなる伊藤将司投手が先発登板しました。万全の暑さ対策を施して家を出たものの、私の記憶には厳しい暑さしか残っていません。

甲子園で高校野球を観戦する際、友人を案内する場合いつも内野席ではなく外野席を選んでいます(タイトル写真(朝一)、下写真(第2試合前))。以前は無料だったこともありますが、何よりも両チームの応援を俯瞰で見られる楽しさがあります。特にバックスクリーン横から入場すると、その瞬間、目の前に広がる壮大なグラウンドに圧倒されます。その感動を甥にも味わってもらいたくて、今回もそのルートを選びました。

甲子園球場(第2試合前)

ちなみに、甥は1試合では物足りなかったようで、帰宅後に昼寝したあと、夜には大阪ドームでプロ野球(阪神の試合)も観戦しました(下写真)。こちらは空調が効いており、快適な環境で、私も野球を楽しむことができました。まさに野球三昧の一日でした。

プロ野球の試合、7回の風船飛ばし前  @大阪ドーム


さて、私にとって高校野球の醍醐味は、何と言っても「逆転劇」にあります。大差がついた試合でも、帰りの車内で「逆転した!」と聞かされることが何度かありました(阪神電車では、必ず乗客が教えてくれますw)。プロ野球とは違い、高校野球では9回2アウトでも全く油断できません。ピッチャーの精神状態が一度崩れると、一気に流れが変わることがあるのです。高校生の精神的な未熟さゆえかもしれませんが、観客にとってはこれ以上ないドラマが展開されるわけです。

そして、逆転劇の主役となるのは、多くの場合、伝統校と呼ばれる強豪校です。かつてのPL学園や報徳学園、横浜高校、最近では智弁和歌山高校などが印象に残っています。僅差で負けていても、後半になると応援のボルテージが一気に上がり、まだ勝っているはずの相手選手は浮足立ち、飲み込まれ、自滅する光景をよく目にしました。

智弁和歌山高校の逆転の例(2006年、夏):注1


私は宮本武蔵の「五輪書」が好きで、よく読んでいました。その中で、次のような話があります。「三尺(約90 cm)の高さの幅一尺(約30 cm)の板の上は簡単に歩けるが、同じ板でも三十尺(約9 m)の高さになると歩けない。これが剣の極意だ」という内容です。これは、高所という極限状態においても平常心を保つ能力、つまりどんな状況でもリラックスできる能力を身につけることの重要性を説いています。プレッシャーのかかる場面でこそ、日頃の鍛錬の成果が試されるのです。伝統校といわれる高校では、このような精神面の訓練にも力を入れているのかもしれません。高校野球、奥が深いです。

宮本武蔵の「五輪書」


では、また。

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注1:フリー百科事典「ウィキペディア」より



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